
「PCサーバー」部門で見事1位を獲得したのが、PowerEdgeシリーズで圧倒的な支持を集めたデル・テクノロジーズ(以下、デル)である。今回はサポート、信頼性など、全項目で1位を獲得する完全制覇となった。社内で蓄積したトラブル解決策をサポート技術者が素早く参照できる生成AIシステムを導入し、顧客を宮崎カスタマーセンターに招待して安心感を与えるなど、ユーザーへの訴求を強化した「攻めのサポート」が結実した。

デル・テクノロジーズ株式会社
執行役員
インフラストラクチャー・ソリューションズ営業統括本部
製品本部長
上原 宏氏
「PCサーバー」部門では、人気の「PowerEdgeシリーズ」のサポート強化が功を奏し、デルが全調査項目で最高点を獲得する完全制覇を達成した。同社の上原宏氏は、「これまでも価格性能比の高さは認められていましたが、今回は課題意識を高めて取り組んできたサポート面が認められ、大変感慨深い結果と受け止めています」と満面の笑みを浮かべる。
従来は、ユーザー自身が導入する部門の規模に応じて処理能力や拡張性を検討した上で、PCサーバーの機種を選定するのが一般的だったが、近年、デルでは、機種選定が容易になるように、用途別に最適化したモデルから選べる形に移行している。最近では、高性能のGPUを搭載した「生成AI用」、限られたスペースに設置できるように筐体の密度を高めた「データセンター用」、センターの外に設置するために堅牢性、防塵性を高めた「エッジサーバー用」などの需要が増えているという。また、CPUやGPUを自由に選択できる「シリコン・ダイバーシティ」にも対応。こうしたユーザーフレンドリーな製品の販売と、サポート体制の強化、アピールを両輪として、ファンを着実に増やしてきた。
デルは「サービス・モダナイゼーション」というキャッチフレーズを掲げて、全社を挙げてのサポート強化戦略を推進している。従来は製品開発を行うプロダクト・グループとサポート・グループは別組織だったが、2023年に統合し、サポートで収集した課題解決事例を商品開発に迅速にフィードバックする体制を整えている。
デル・テクノロジーズ株式会社
常務執行役員
ISGリモートサポートサービス統括本部長
木村 大氏
サポートを統括するデルの木村大氏は、「これまで従業員と顧客満足度を両輪で向上させるために、70にも及ぶ改善策に取り組んできました。そのおかげで、両方のKPI(重要業績評価指標)が向上しています。さらに、同じお客様とのやり取りの回数、技術者派遣の回数、問い合わせから解決までの時間など、サポートの精度や対応の早さを示すKPIも順調に改善しています。これらの変革を生成AIで更に加速させていきます」と語る。
同社は2024年初頭になって、社内の技術トラブル事例と解決策を蓄積したCRM(顧客管理システム)に、生成AIを追加導入した。ユーザーサポートは正社員の技術者が担当するが、それでも自力で解決できないケースがある。従来は上級技術者に対策を相談していたが、生成AI導入後は対話型チャットを介してCRMから解決策を引き出し、顧客のトラブルをスピーディーに解決できるように進化している。「このAIチャットにより、トラブルの解決率は導入してから半年ほどで大幅に向上しています。今後は精度を9割以上に高めて業務効率を図り、技術者がお客様により付加価値を提供できるようにサポートを変革していきたいと考えています」と、木村氏は言う。
デルはAIを活用したサポート強化と合わせて、サポート技術者のコミュニケーション能力を向上する取り組みも進めている。木村氏は「AIの問題解決能力が人間の技術者より高まったとしても、お客様をコミュニケーション能力で惹きつけられる社員を育成しています」と今後の展望を語った。

デルが顧客を惹きつけるために実施しているもう1つの施策は、宮崎カスタマーセンター(MCC)に見込み客や顧客、パートナーを招待する取り組みである。コロナ期間の中断はあったものの、累計で300人以上を招待するイベントを開催しているほか、ほぼ毎週、個別の顧客を招待している。「高いコミュニケーションスキルを持つ技術者が生き生きとお客様対応している姿を現地で見てもらうと、普段は電話の向こう側で姿が見えないサポート担当者を身近に感じて、安心していただけます」(上原氏)
社内で「宮崎キャンプ」と呼ばれる、この施策を始めたきっかけは、「ある顧客調査で、デルのサポート拠点に関する誤解を多く目にしたからです」と、木村氏は明かす。昨今では、ユーザーの誤解がネットで風評に拡大するケースも少なくない。そうした事態を防ぐため、「宮崎キャンプ」で「攻めのサポート」を展開した。宮崎という立地にも実は意味があるという。「宮崎には滑らかなコミュニケーションができる人材が多く、MCCでは多くの人員を現地採用しています」(木村氏)
加えて東京のコマンドセンターが、交通規制や台風など、修理部品の流通や通信に影響を与えるイベントに備えて、事前にサポートの受け入れ体制を調整する。大きな武器に成長したカスタマーサポートの機会損失が生じないよう、念入りに持続性を高めている。

デルが従来から強みとしてきた価格競争力や納期対応力、省電力性能の高さも健在だ。価格や納期の強みは主に部品の大量調達力がもたらすものである。最近は競合他社よりサーバー1台当たりの研究開発費を抑えやすい点をアピールしている。「製品の安定動作を確保するには、様々なOSやアプリケーションの組み合わせで動作検証する必要があります。販売台数が多いほど1台当たりの検証コストを引き下げられますし、動作検証をさらに充実させる余力も生まれます」と、上原氏。
デルが製品の最大の特徴に挙げる省電力性能は、サーバー本体の冷却効率を上げ、CPU冷却ファンなどの動作を抑える対策によって高めている。最近はサーバーの世代が変わるたびに、冷却効率が高い構造への改善を進めている。「使うパーツはどのサーバーメーカーも大きく変わりありませんので、こうしたハウジングの効率化が差異化のポイントになります」(上原氏)
こうした製品力とサポート力の強化を事業の両輪に掲げ、顧客をファンに昇華させる戦略がデルの総合力を高め続けている。
関連記事
関連リンクRelated Links