「技術とビジネスをつなぎ社会を前進させる」をテーマとする「Intel Connection 2024 Tokyo」(2024年9月3日、9月4日)。今回は、インテルの掲げる「Bringing AI Everywhere」を基軸に、AIを生かした製品やソリューションを取り上げた。基調講演に加え、多数の分科会を実施。この中の1つで紹介されたのが「様々な用途で活用が可能なインテル® Xeon® プロセッサー」だ。AI、HPC、エンタープライズなどの用途でインテル® Xeon® プロセッサーの利用が進む。最新の第6世代インテル® Xeon® 6プロセッサーは、パフォーマンス重視型に加え、電力効率重視型も新たにラインアップ。サステナブルを意識した企業ニーズに応える。
第5世代インテル® Xeon® 5プロセッサーは
AIパフォーマンスを大幅に向上
DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展、AI(人工知能)の発展などにより、CPUの活用用途が大きく広がっている。インテルは、AI、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、エンタープライズなど幅広いワークロードに応える、インテル® Xeon® プロセッサーの改良とプラットフォームのアップロードを行ってきた。
パフォーマンスに関して、第5世代インテル® Xeon® 5 プロセッサーは第4世代インテル® Xeon® 4 プロセッサーと比較し、AIで1.42倍、HPCで1.4倍、汎用コンピューティングで1.2倍の性能向上を実現した。注目すべきは、第3世代インテル® Xeon® 3 プロセッサーとの比較では、AIで14倍の性能向上を実現している点だ。大幅な性能向上において、インテル®アドバンスト・マトリクス・エクステンション(インテル® AMX)が果たした役割は大きい。インテル® AMXは推論と機械学習処理のパフォーマンスを向上させる内蔵アクセラレーターだ。第4世代インテル® Xeon® 4 プロセッサーからサポートを開始。第5世代インテル® Xeon® 5 プロセッサーはAI向けに足回りも強化された。
インテルは、ハードウエアはもとよりソフトウエアの支援にも力を注ぐ。インテル® AIソフトウエアの提供に加え、オープンソースの機械学習ライブラリPyTorch、AIプラットフォームHugging Faceなどオープンソースのソフトウエアスタックも用意。また、AI推論を高速に実行するための無償ツールOpenVinoTMツールキットを提供している。他のフレームワークで学習したモデルをOpenVinoTM ツールキット対応形式に簡単に変換可能。ハードウエアの性能を最大限に引き出して推論を実行できる。
なぜ、インテル® Xeon® プロセッサーでAIのパフォーマンス向上を図るのか。AIの計算処理と言えばGPU、AIアクセラレーターが思い浮かぶ。AI活用シーンの拡大に伴い、すべてをGPUやAIアクセラレーターで対応するのは、コスト的に限界がある。推論において、パラメーター数が7ビリオン(70億)、10ビリオン(100億)など軽量なケースではインテル® Xeon® プロセッサーを活用するのが有効だ。プロセッサーを適材適所で使い分けることが本格的なAI時代では重要になる。
インテル® Xeon® 5プロセッサーは、幅広いワークロードでAIパフォーマンスを大幅に向上した
第6世代インテル® Xeon® 6プロセッサーは
電力効率重視型とパフォーマンス重視型の2タイプ
生成AIや自動運転など高い計算能力が必要となる領域が増えている。それに合わせ、プロセッサーの消費電力は増加傾向にある。一方で、カーボンニュートラルやコスト削減に向けて消費電力の抑制も重要なテーマだ。インテル® Xeon® 4 プロセッサー、インテル® Xeon® 5 プロセッサーでは、最適化電力モード「Optimized Power Mode(OPM)」を利用することで、消費電力当たりの性能向上が図れる。インテル® Xeon® 5 プロセッサーでOPMを利用すると、30~40%の使用率レベルでサーバーの消費電力を最大110W削減が可能だ。構成変更の必要はなく、バイアスの設定を変更するだけでメリットを享受できる。
サステナブルな社会を実現するために、さらなる電力効率が求められている。消費電力当たりの性能向上の切り札となるCPUが市場に投入された。電力効率を重視した「Eコア(開発コード名:Sierra Forest)」搭載の「Xeon® 6 6700Eシリーズ」は、パフォーマンス向上と消費電力抑制の両方を実現する点が革新的だ。
第6世代インテル® Xeon® 6 プロセッサーのロードマップは、電力効率重視型とパフォーマンス重視型の2つに分かれる。Eコア搭載モデルは、インテル® Xeon® プロセッサーで初搭載の製品となる。Eコアはマルチスレッド非対応で、それぞれのコアが完全に独立しており、消費電力を最適化しやすい点が特長だ。小型で電力効率に特化しており、コア数を多くしても消費電力を抑制できる。Xeon® 6 6700Eシリーズは、CPUコア数が最大144基。第2世代インテル® Xeon® 2 プロセッサーとの比較において、性能が2.6倍、電力効率が4.2倍、ラック数では3分の1まで集約が可能だ。
過去に導入した旧製品からのリプレースを検討する際には、Xeon® 6 6700Eシリーズは有力な選択肢となる。コストの観点では、構築コストなどに目が向きがちだが、オペレーションコストも重要なポイントとなる。サーバーの集約によりオペレーションコストの削減が図れる。さらに、消費電力抑制により脱炭素化にも貢献できる。
会場ではインテル® Xeon® 6プロセッサーの実物を展示
パフォーマンス重視型の「Pコア(開発コード名:Granite Rapids)」はインテル® Xeon® 4プロセッサー、インテル® Xeon® 5 プロセッサーで採用されており、インテル® Xeon® 6 プロセッサーもそれを継承するかたちだ。さらに性能を追求し、計算処理能力を求めるニーズに応える。
PコアとEコアはどのようなワークロードに適しているのか。Pコアは、HPCやAIなど計算負荷の大きい用途に最適だ。AIでは、軽量なLLM、画像生成をスムーズに動かすことができる。またコストの観点から、GPUで学習し、推論は別の環境で動かしたいというニーズは多い。軽量なものはPコア搭載モデルを利用することで、コストと性能のバランスを最適化できる。
Eコアは小さいワークロードを複数立てるWebサービスや、小さな独立した複数のサービスを組み合わせて、1つの大きなアプリケーションを構築する、マイクロサービスに向いている。1コア当たりの性能をそれほど求められないからだ。近年、存在感を増すモダンなサービスにEコアは適している。
Pコア、Eコアは、ワークロード特有の性能や電力効率などの要件に対応する
HPI、AI、エンタープライズにおいて、システム構成を考える際に、ワークロード固有の要件に対応したインテル® Xeon® 6 プロセッサーの検討は必要条件となるだろう。
インテル® Xeon® 6プロセッサーは、小型パッケージの「Xeon® 6 6700シリーズ」と、大型パッケージの「Xeon® 6 6900」シリーズの2本立てで展開。それぞれにPコア、Eコア搭載モデルが用意される。Pコア搭載Xeon® 6 6700Pシリーズ(2025年第1四半期発売予定)のCPUコア数は最大86基(マルチスレッド対応)。Pコア搭載Xeon® 6 6900Pシリーズ(2024年第3四半期発売予定)のCPUコア数は最大128基(マルチスレッド対応)。
Eコア搭載Xeon® 6 6700Eシリーズ(2024年6月発売)のCPUコア数は最大144基(マルチスレッド非対応)。Eコア搭載Xeon® 6 6900Eシリーズ(2025年第1四半期発売予定)のCPUコア数は288基(マルチスレッド非対応)。
2つのシリーズにより、用途や必要な機能、パフォーマンス、電力効率などに応じて選択の幅が広がる。またPコアとEコアは互換があり、共通のハードウエア、ソフトウエアスタックの使用が可能だ。
パネル展示ではインテル® Xeon® 6 プロセッサーを利用したデモも実施
「Intel Connection 2024 Tokyo」では、インテル® Xeon® 6 プロセッサーを紹介するパネルとともに、パフォーマンスを体験できるデモを実施。Eコア搭載Xeon® 6 6700Eシリーズは、インテル® Xeon® 2 プロセッサーに比べて、ビデオトランスコードで4.2倍、データベース処理で3.7倍、性能が向上した。デモで見ると、その差は明確だ。電力効率を重視したEコアは、パフォーマンス向上と消費電力抑制の両方を実現する製品であることを体感した。
最新のEコア搭載インテル® Xeon® 6プロセッサーを中心にパネルを展示
Xeon® 6 6700Eシリーズとインテル® Xeon® 2 プロセッサーを比較したデモを実施。電力効率重視であっても、高いパフォーマンスを発揮できることを実証
2024年から2025年にかけて次々と新製品が登場
インテル® Xeon® 6 プロセッサーへの期待が高まる
インテル® Xeon® 4 プロセッサー、インテル® Xeon® 5 プロセッサーは、エンタープライズ用途はもとより、AIやHPCの用途ですでに多数の実績を有している。Pコア搭載のインテル® Xeon® 6 プロセッサーは、これまでの方向性を維持し、高性能が求められるワークロードのニーズに応える。Eコア搭載のインテル® Xeon® 6 プロセッサーは、性能向上と消費電力の最適化の両方を実現し新しい価値をもたらす。クラウドネイティブで、数千台以上のサーバーが稼働するハイパースケーリングなどのワークロードで大きなアドバンテージを発揮する。
DXの進展に伴い、ワークロードの要件に合わせたプロセッサーの利用がますます重要となる。企業の用途やニーズによってプロセッサーに求める性能は異なる。また、サステナブル社会の実現に向けて電力効率化はキーテクノロジーの1つだ。インテル® Xeon® 6 プロセッサーは、2024年から2025年にかけて次々と製品が販売される。様々なワークロードをアップデートし、企業の競争力を高めていく。そのポテンシャルの高さに期待が高まっている。

