NTTデータグループが電力効率重視型 Xeon 6 Eコアをリアル検証 前世代よりも消費電力40%削減パフォーマンスも遜色なし

サーバーの性能と消費電力はトレードオフの関係にある。それを埋めるのが技術革新だ。インテルは、第6世代インテル® Xeon® 6 プロセッサーにおいて電力効率重視型Eコアを市場に投入。マルチスレッド性能の向上と消費電力最適化の両方を実現し新しい価値をもたらす。NTTデータグループは、顧客に提供するWebシステムに近い環境で、前世代Pコア(パフォーマンス重視型)とEコアを比較しリアルな値を検証した。実際に利用するうえで問題ない性能を出しつつ、消費電力の大幅削減が図れることを確認。驚く結果となったのは高いエネルギー効率だ。

ソフトウェアとハードウェアの両輪で消費電力を削減

2030年は、2018年との比較でデータ量は16倍、消費電力量は14倍になるとの試算もある※1。ICTの発展は止められない。しかし、消費電力量は技術革新により抑制できる。ポイントは、企業として成長を続けながら、いかに持続可能な社会の実現に貢献していくか。2022年にNTTデータは、グローバルデータセンター事業を展開するNTT Ltd.との統合による事業拡大を踏まえ、温室効果ガス排出量実質ゼロ達成時期を2050年から2040年へ前倒しを行い、この目標を「NTT DATA NET-ZERO Vision 2040」として新たに策定した。

「NTT DATA NET-ZERO Vision 2040」では目標実現に向け、データセンターは2030年、オフィス・その他を含めた自社全体は2035年、サプライチェーン全体は2040年を目標達成時期とした。NTTのデータセンター事業は世界シェア第3位※2。生成AIなどによる需要増大を背景に、積極的に事業拡大を図るとともに、テクノロジーの力を駆使したグリーンイノベーションにより2030年の目標実現に取り組んでいる。

NTTデータグループは、2040年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すビジョンを策定した。

NTTデータグループは、2040年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すビジョンを策定した。

末永 恭正 氏

株式会社NTTデータグループ
技術革新統括本部
Innovation技術部
IOWN推進室
テクニカルリード
末永 恭正 氏

IT分野の消費電力量削減では、データセンター、クラウド、ハードウェアで取り組みが進む。今後、有望領域となるのがソフトウェアだ。サーバーの稼働、オンラインサービスの提供、生成AIの活用、機械学習などソフトウェアの活用範囲は幅広い。NTTデータグループは、IT分野の炭素排出量削減を目指す世界的組織「Green Software Foundation(以下、GSF)」の運営メンバーに参画。GSFでオープンソース開発などに携わる、NTTデータグループ 技術革新統括本部 Innovation技術部 IOWN推進室 テクニカルリード 末永恭正氏は、「消費電力量の削減ではハードウェアとソフトウェアの両輪が必要です」と指摘し、理由を述べる。

末永 恭正 氏

株式会社NTTデータグループ
技術革新統括本部
Innovation技術部
IOWN推進室
テクニカルリード
末永 恭正 氏

「ハードウェアとソフトウェアは、切っても切り離せない関係です。例えるなら、自動車がハードウェア、ドライバーがソフトウェアです。ドライバーの運転技術が乗り心地や燃費を左右します。同様に、ソフトウェアによってハードウェアのパフォーマンスやエネルギー効率も大きく変わります。重要なポイントは、ハードウェアの機能を理解し、ソフトウェアによってハードウェアの機能を使い切ることです」

性能を高めるためにCPUの能力を引き上げても、プログラムの書き方によってその一部しか使っていないケースもある。「Javaテクノロジーを使って、CPUのポテンシャルを効率的かつ最大限に活かすことで、処理時間の短縮、消費電力の最適化を図ることで、エネルギー効率を高めることができます」(末永氏)

※1 出展:国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センター
※2 中国事業者を含まず

お客様に提供するWebシステムに
近い環境でリアルな値を検証

ITの消費電力削減のためには、ソフトウェアとハードウェアの両方で技術革新が求められる。末永氏が高エネルギー効率なハードウェアとして注目したのが、電力効率重視型Eコアだ。第6世代インテル Xeon 6 プロセッサーから、従来のパフォーマンス重視型Pコアに加え、脱炭素社会実現のニーズに応えるEコアが加わった。

Eコアはハイパースレッディング非対応で、それぞれのコアが独立しており、消費電力を最適化しやすい。Eコア搭載のXeon 6 6700EシリーズはCPUコア数が最大144基。パフォーマンスを高めるためにコア数を多くしても消費電力を抑制できる。Eコアはすべての活用シーンをカバーできるわけではない。小さいワークロードを複数立てるWebサービスや、小さなサービスを複数組み合わせて1つの大きなアプリケーションを構築する、マイクロサービスなどに適している。

「インテルの資料で、Eコアの高エネルギー効率に関する情報には触れていました。実際に現場で使った時に、本当に効果が出るのか。様々な角度から検証しました」と末永氏は話し、こう続ける。「NTTグループで使っているアプリケーション開発フレームワークを利用し、Javaで開発したサンプルアプリケーションを使いました。航空会社のチケット予約システムを模したもので、お客様に提供するWebシステムに近い環境でリアルな値を検証しました。CPUの性能はもとより、システム全体で炭素排出量を減らすという観点からサーバー全体の消費電力を重要評価項目としました」

検証では、Pコア(第5世代インテル® Xeon® 8558Pプロセッサー、48コア96スレッド)と、Eコア(第6世代インテル® Xeon® 6746Eプロセッサー、112コア)を使って比較した。検証結果について末永氏は話す。「Eコアのほうが前世代のPコアよりもサーバー筐体の消費電力が40%近く下がっていました。性能に関しても遜色なく、今回私たちが想定した使い方に関しては全く問題がないことを確認できました。また、EコアがWebシステムに適していることの裏付けもとれたと考えています」

Pコアに比べEコアのほうが、筐体消費電力が低いものの、レスポンスタイムに大きな違いはなかった。

Pコアに比べEコアのほうが、筐体消費電力が低いものの、レスポンスタイムに大きな違いはなかった。

今回の検証で驚いたことがあると末永氏は話す。「Webシステムでは、レスポンスが遅くなるとサービス品質低下につながります。今回の検証において、Eコアは消費電力が下がっているのにも関わらず、Pコアと比べてレスポンスタイムが変わっていなかったのです。また、Eコアでピーク時と平常時のレスポンスタイムを比較しました。その結果、ほぼ誤差レベルでした。多くのエネルギーを使ってパワーを出すのではなく、高いエネルギー効率でパワーを出す。自動車に例えるなら“燃費”の良さを感じました」

今回の検証における成果について末永氏は言及する。「当社の典型的なワークロードにおいて、Eコアは有効であるとの見解を導き出すことができました。お客様に対し、性能と消費電力最適化の両方で価値ある提案が行えます。また今回の検証結果を生かし、“燃費”をさらに高めるソフトウェア開発に取り組んでいきます。さらに当社データセンターにとっても電力効率の観点でEコア搭載サーバーは有力な選択肢の1つになると考えます」

今回の検証において、インテルからアプリケーションやそれを駆動する基盤となるOpenJDK(Javaのオープンソース実装)のさらなる改善点へのインプットとなるプロファイリングデータの提供と議論も実施したと末永氏は付け加える。

インテル® Xeon® プロセッサーの省電力関連機能の効果検証の詳細については、ホワイトペーパーをご覧いただきたい。

環境負荷を考慮した調達が今後グローバルトレンドに

サステナビリティの観点からパフォーマンスのあり方も問われているという。「例えば、夜間バッチ処理が深夜の1時から3時の間に終了するという条件の中で、これまで2時40分に完了できていたものを、エネルギー効率を高めたことで10分遅くなったとしても許容範囲です。GSFは、ソフトウェア開発においてコスト、パフォーマンスだけでなく、『サステナビリティを評価基準とする』ことが広く浸透する世界の実現を活動理念としています。世界的な方向性として、性能と省エネルギーのバランスをとる重要性が高まっていると思います」(末永氏)

2024年5月、GSFが策定したSoftware Carbon Intensity(SCI)1.0版が「ISO/IEC21031:2024」として国際規格化された。SCIは、ソフトウェア利用時の炭素排出を構成する電力、ハードウェア利用量などをもとに、炭素排出量をスコアとして評価する手法だ。

「従来、ソフトウェアにおける炭素排出量などは企業個別の基準だったり、開発費に比例する形で算出されることがほとんどで、実際の値とは乖離しがちでした。これからは、同じ国際標準のもとで各製品・サービスを比較できます。その計算ではハードウェア利用量も考慮されるため、Eコアの特性を活かし切るといった観点も重要です。ISO化により多くの企業で導入が進むと思います。NTTデータグループでは2022年よりSCIを算定するサービスを欧州で提供を開始しています。欧州では、環境負荷を考慮した調達を行う動きが出てきており、今後世界のトレンドになっていくと思います」(末永氏)

NTTグループは、ICTのさらなる発展と持続可能な社会の両立を目指す次世代情報通信基盤構想「IOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Networkの略)」を進めている。インテルは高エネルギー効率のCPU開発を通じて、NTTグループ、NTTデータグループのサステナビリティ戦略を支援していく。

末永 恭正 氏

Intel XEON

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