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Vol.3 中野区×生成AI 職員と住民を幸せにする働き方を追求

生成AIが実現する豊かな未来 Vol.3 中野区×生成AI 職員と住民を幸せにする働き方を追求

東京都中野区は1966年に中央電子計算組織を導入して以来、積極的に情報化施策に取り組んできた。一方で、区役所は竣工後約50年が経過し、急速に進展する情報通信技術を効果的に活用し、行政サービスの質を向上させるには、情報基盤インフラの改善が急務であった。2024年5月の新庁舎移転は、インフラ整備の絶好の機会の一つであり、ネットワーク環境や職員が利用する機器・システムなどについて、基盤インフラの抜本的な整備にも取り組んだ。また、職員の意識改革・ワークスタイル改革にも併せて着手。今後は、様々な行政課題に対してスピード感を持って解決していくため、生成AI活用にも取り組む。職員の業務効率性・生産性を向上させ、住民サービス向上にもつなげたい考えだ。

情報基盤インフラの課題と新庁舎移転

中野区長
酒井直人

中野区は、東京23区西部に位置する特別区で、多くの魅力を持った多様性のあるまちである。約15km²に約34万人が暮らす、日本でも有数の人口密度を有しており、区内には多く鉄道・バス路線があり、交通の利便性は抜群。中でも若い世代に人気があり、学生や若い社会人が多く住んでおり、最近では外国人住民も増加している。一方で活気ある商店街も多く存在し、まちのにぎわいを生み出している。また、中野駅周辺では再開発が進展しており、新たな施設が次々と建設されているとともに、再開発事業の一環で区役所新庁舎の整備事業も行った。

中野区は、以前から自前で電算システムを運用しており、積極的に情報化施策に取り組んできた。中野区の職員を経て2018年から区長を務める酒井直人氏は、「職員時代情報システム部門を担当しており、電子決裁や文書管理、財務会計などのシステム化に自治体の中でも比較的早く取り組みました。電子決裁率が日本一という時代もありました」と説明する。

一方で区役所は竣工後約50年が経過し、急速に進展する情報通信技術を効果的に活用できていないという課題が生まれていた。例えば従来の庁舎のネットワーク環境は、基本的に有線LAN接続のみが可能で、連絡手段も電話・メールに限られるなど、職員が場所にとらわれず、効率的な働き方ができる環境ではなかった。とはいえ全庁的に情報基盤インフラを刷新しようとすると多額の費用を要する。

2024年5月に予定する新庁舎移転はこれらを解決する絶好の機会ととらえ、新しい働き方に適応する環境を整えるべくデジタル化や意識改革に取り組み始めた。

※特別区:市町村に準じる基礎自治体で、現時点では東京都23区のみが該当する。

意識改革を進め、新庁舎移転を機に
情報基盤インフラも刷新

中野区は働き方改革を目指し、デジタル化を推進。その活動を加速するため、2022年7月には日本マイクロソフトと、全国で5番目、都内の区市町村では初となる「DX推進協定」を締結した。マイクロソフトについて酒井氏は、「昔手作業で給与計算をしていた時代は、丸2日かかりました。それがExcelの登場によって1時間に短縮できました。その後もOfficeはどんどん進化し、仕事が楽になっていきました。現在は生成AIの登場によって、さらに仕事の仕方が変わっていきます。これら技術基盤を提供するマイクロソフトと一緒に取り組むことで、効率化の実現と区民サービスの進化を実現したい」と語る。

日本マイクロソフトの協力のもと、「管理職向けDXマインドセット研修」「サービスデザイン思考研修」「Power Platform活用研修」などを実施し、デジタル化に向けた意識改革を進めていった。さらに区民の声を効率的に集約する実証実験などにも取り組んだ。「我々自治体の職員は、当然のことですが、区民の幸福度・満足度を高めるために仕事に取り組んでいます。これに加え、デジタル化を進めることで働き方改革と効率化を実現し、職員にも幸せになってほしい。職員の満足感が高まれば、ひいてはさらなる区民サービス向上にもつながると考えています」(酒井氏)。

デジタル化を加速した要因に、新庁舎への移転もあった。中野区役所は2024年5月7日に移転。酒井氏は「職員の働き方改革(旧態依然からの脱却)、そして情報インフラ基盤を更新するチャンスとして移転も活用し、できることは全部やるという意気込みで臨みました」と語っている。

新たなオフィスはシームレスな無線LAN環境を整備し、決まった座席はないフリーアドレス制を採用。部門ごとに大まかな配置のみ決め、人数の増減があってもレイアウト変更を不要とした。部長室も廃止し、職員がフラットに働ける環境を実現。自由な移動を阻害しないよう、業務端末はすべてモバイルノートPCにリプレースし、ペーパーレス化も推進している。また、Microsoft 365を導入し、チャットやオンライン会議でコミュニケーションが取りやすい環境も整備するとともに、PCと外線電話を統合した「Teams電話」を整備し、固定電話に頼らず通話が可能なため、場所にとらわれない新しい働き方を実現した。

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