Digital Back Office Summit REVIEW

日鉄ソリューションズ

業務の効率化を阻む“個別最適化”の壁
ワークフローに不可欠な4つの要件

一般企業には様々な業務部門が存在しており、各部門の業務内容に最適化した情報システムを採用しているケースが多い。一方、営業部門のように他部門との連携が多い部署では、各部門と柔軟に連携できるワークフローシステムを導入する企業が増えている。このワークフローシステムを提供する日鉄ソリューションズの肥後 毅氏は、業務効率化を進める上で必要となる「4つの要件」があると提言する。

コロナ感染症の影響で在宅勤務を導入する中で、社内業務をデジタル技術で改革するDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進がブームとなり、企業が情報システムを導入・強化する動きは一段と拡大している。とはいえ、一般的に「集計業務が多い経理や総務、販売など、特定の部署内に特化する業務システムから導入する企業が多い」と、肥後氏は現状を分析する。

個別最適化が進むことでシステム間にムダが発生

肥後 毅氏

日鉄ソリューションズ デジタルソリューション&コンサルティング本部 デジタルテクノロジー&ソリューション事業部 肥後 毅

例えば、多くの企業が似た業務フローであることが多い経理のシステムには、経理に特化したパッケージソフトやクラウド環境で使えるSaaS(Software as a Service)などを利用している。必要な機能がほぼ盛り込まれているこれらを使えば、自社でシステムを開発するより安価に導入できるからだ。

業務ルールや依頼(起票)の仕方、伝票のチェック項目など企業によって異なる業務については、ある程度カスタマイズして対応できる機能やサービスが多い。仮にシステムに盛り込めない業務がある場合は、社員の手作業に委ねる考え方もある。

こうして「業務システムは部署の業務形態や社員のスキルに適した個別最適化が進むことで、一定以上の生産性を生み出せる状況になっている」(肥後氏)という。

だが、異なる部署で個別最適化したシステムが企業内で併存していると、社内で同じデータを二重入力してしまうケースなどが発生する。システム間でうまくデータを連携できないと、営業部員が複数の部署を回って書類捺印を依頼するなど、連携の不十分な部分を穴埋めする手作業が必要になる。こうしたムダを解消するには社内全体で最適化したシステムを構築するのが理想的だが、そう簡単ではない。

ワークフローシステムで社内全体を最適化

複数の業務システムを更新して、社内全体で最適化されたシステムにまとめ上げるには、莫大なシステム改修費用がかかる。また、ソフトウエアやサーバー、端末などをサポート期間の終了に合わせて更新する計画を持っている企業では、システムの改修に3~4年かかるケースが多い。加えて、複数の業務システムを理解している人材がほとんどいない企業もある。これら複数の問題によって、社内全体で最適化したシステムを構築することは困難になっている。

この課題を解決し社内全体のシステムを最適化する手法として、日鉄ソリューションズが顧客企業へ導入を進めてきたのがワークフローシステムだ。既に部署ごとの業務システムが存在していることを前提に、それらのシステム間でデータを連携させ、複数部署をまたぐ業務の円滑な遂行を支援するシステムである。

「例えば、経理や法務、技術開発など、社内の多くの部署から伝票や書類の審査を受ける必要がある営業部は、ワークフローシステムの導入に適した部署と言える」(肥後氏)。営業部の業務フローはシステム化が困難な面がある一方で、生産性を改善する余地が大きい。だが、WordやExcelで作った伝票や審査用書類をメールで送受信するやり取りを単に置き換えるだけのシステムでは、社内業務の効率化は思うように進まない。業務改善に効果的なワークフローシステムを選定することが重要である。

ワークフローシステムを活用した業務システム間での連携イメージ

ワークフローシステムを活用した業務システム間での連携イメージ

データ連携やシステム修正に柔軟に対応

ワークフローシステムによる社内最適化の成果を確実に得るための要件として、肥後氏は4つを挙げる。1つ目は、複数の業務システムの間の連携が柔軟にできることである。ワークフローシステムは、会計、契約管理、販売管理、営業支援、プロジェクト管理、人事、電子契約、文書管理といった、様々な個別業務システムの間に存在し、データを連携させる役割を果たす。これにより社員が同じデータを何度も入力する手間を解消し、入力ミスの機会を減らせる。

このようなデータ連携のためには「データのマスター情報やコード体系などの整合性を取る機能と、データの様々な連携手法に対応できる機能が必要になります」(肥後氏)。具体的には、ファイルの送受信による連携、データベースを介した連携、APIを介した連携など、様々な連携手法が想定される。これらの中から適切な手法に柔軟に対応することが求められる。

2つ目の要件は、それぞれの部署が決定する業務ルールの変更に対応できる柔軟性である。ルール変更で多いのは、別部門に業務を依頼する際に提出する文書への入力項目が増えるケースだ。例えば、会計システムに受注を登録する際に、顧客が新規か既存かによって入力項目を変えて経営分析に活用したい局面がある。その際に、社員がワークフローシステムの変更に迅速に対応できるように、ローコードの環境で変更できる仕組みなどが求められる。

全社業務の管理で運用を効率化、可用性も確認

ワークフローシステムでは、複数の業務システムをまたがる形で業務が進行する。3つ目の要件は、その各業務の状態を管理する機能だ。この機能が無いと、営業担当社員は各部門の担当者に対して、電話やメールなどで頻繁に確認する手間が発生する。1つひとつは小さい手間でも、積み重なれば社員の業務生産性は確実に低下してしまう。

4つ目の要件は、ワークフローシステムの運用が止まらないよう十分な可用性を持つことである。文書ファイルをメールで送受信するといった従来の業務形態と違い、ワークフローシステムを導入して全社の業務や状態管理を担う態勢にしていると、システムの停止が全社の業務に多大な影響を与えてしまう。こうした事態を未然に防ぐため、システムの処理能力と可用性は十分確認しておきたい。

なお、ワークフローシステムの構築業務を20年以上手掛けている日鉄ソリューションズでは、今回指摘した4つの要件を満たす製品として、最近はエイトレッド社製の「AgileWorks」を取り扱うケースが多い。

エイトレッド社製のワークフローシステム「AgileWorks」

エイトレッド社製のワークフローシステム「AgileWorks」

また、業務システム間の連携にBPMS(Business Process Management System)を使うケースにおいては米Pega社製「Pega Platform」や米Appian社製「Appian」などで対応している。肥後氏は「システム選びの参考とし、社内の業務効率化につなげてもらえれば幸いだ」と講演をまとめた。