株式会社TMEIC
役員理事
パワーエレクトロニクスシステム事業部
副事業部長 兼 技師長
吉村 誠 氏
化石燃料に頼る海運も
脱炭素化
TMEICの取り組みの一例として、港湾施設を電化する取り組みを紹介する。
港湾施設の電化に至る背景として、多くの船舶がエンジンやタービンで化石燃料を燃やして動力源や船内で消費する電力の発電に利用している。ところが近年、物資のサプライチェーン全体を脱炭素化したいという荷主や船会社の要求が高まり、こうした領域でも脱炭素化の動きが顕在化してきた。
船舶の動力に関しては、小型の船からより大きな船へと、電化や水素などの代替燃料活用がジワリと広がりつつある。そしてこれと同時に、港湾施設において、船舶へのエネルギー供給や施設運営の脱炭素化を推し進めたカーボンニュートラルポート(CNP)へと刷新していく動きが活発化してきている。
しかし海運業は、多様なシーンに化石燃料を有効活用する仕組みが浸透しているため、脱炭素化はそれほど容易なことではないという。「例えば、港に停泊中の船内では、冷凍冷蔵設備の稼働や船員の生活に少なからず電力を消費しており、大型客船ともなれば消費電力はホテル1棟分に匹敵する規模になります。これまでこうした電力は、船内に搭載した発電機で化石燃料を燃やして生み出していました。船舶や港湾施設を脱炭素化するためには、こうした部分も電化し、再エネの活用を可能にしていく必要があります」(吉村氏)。
ただし一般に、船内設備の電源には西日本地域と同じ60Hzの交流が使われている。東日本地域で使われている50Hzよりも、電力設備を小型・軽量化できるためだ。このため東日本地域の港には、停泊中の船に安定した電力を供給する設備に加え、50Hzから変換する設備が必要になってくる。現在、各自治体は、管轄下の港湾施設を荷主や船会社に選ばれるCNPに変えるために、パワエレ技術を利用した高効率な電力供給・変換施設の導入に積極的に取り組んでいる。
あらゆる分野の
脱炭素化を支援
同様の再エネ活用を前提として装置・設備を電化していく動きは、情報化社会の進展でデータセンターや重化学工業のプラント、社会インフラ、さらには建設業や農林水産業の現場まで、あらゆる分野へと広がっていくことだろう。それぞれの分野で、生み出した再エネ由来の電力を無駄なく安定的に活用していくため、「TMEICは電力を作り、送り、貯め、利用するそれぞれの環境やシーンに合わせて電力を高効率かつ柔軟に管理・制御できる、インテリジェントで信頼性の高いパワエレ技術の開発と提供を推し進めていきます」と吉村氏は話す。カーボンニュートラル達成に向けて、TMEICが担う役割は大きい。
カーボンニュートラル実現
