SDV実現に向けたソリューションを提供
そもそもSDVのシステムは、「多様で大規模なソフトウエアが複雑に絡み合い、人手のみで設計・検証できるものではありません」と稲垣氏は語る。同時に、新しいソフトウエアを導入しても、ユーザーが既に利用する車両の安全性や信頼性を損なうことなく、新機能が想定通りに動くことが大前提となるため、開発の難易度は高い。
こうしたソフトウエア開発を効率的に進めるための施策の一つとしては、確実に動作し、相互連携が可能な標準化・体系化を推し進めたソフトウエアの設計資産を有効活用することが挙げられる。
ベクターでは、SDVを迅速かつ効率的に開発するため、スケーラブルで包括的なSDV用プラットフォーム「ソフトウエアベースレイヤー」を提供(図1)。「AUTOSAR Classic」や「AUTOSAR Adaptive」といった業界標準に対応したソフトウエアならびに「MICROSAR Connect」など、SDVに必要になってくる機能を持ったソフトウエアを中心に、SDVに搭載するHPC(ゾーン型アーキテクチャの中央に置く高性能コンピュータ)、ゾーンコントローラ、バックエンドであるクラウド上で利用するSDV用のソフトウエアを他社製も含めて統合。パートナー企業と緊密に連携しながら、互換性の維持、既存機能の調整、パフォーマンス最大化を継続的に図り、サイバーセキュリティや機能安全などの要求に準拠した形での提供も行っている。
迅速かつ効率的なSDV開発が可能になる、車両/クラウド用ソフトウエアソリューション。OEMやティア1などのユーザー企業は、独自のソフトウエアプラットフォームを構築するための基盤として利用できる。Vehicle OSの一部として提供。
さらに、車載システムの開発・検証に伴う作業の自動化も、開発効率化を実現する有効な対策となる。これまでの自動車開発では、モデルベース開発(MBD)を導入することで、大規模システムの高品質かつ高い生産性での開発を可能にしていた。しかし、それだけではSDVで求められる、例えば2週間で作業を完了するような短期間の開発・検証などは実現し難い。
ベクターでは、開発と運用を連携させたDevOpsアプローチでのアジャイル型開発に適応可能なSDV向けソフトウエアの自動化を推し進めた開発ハブ「ソフトウエアファクトリー」の構築を支援するソリューションを提供(図2)。ベクター製の自動車開発ツールだけでなく他社製のDevOpsツールも組み合わせ可能で、SDV向けソフトウエアの開発・検証に関わるより多くの作業を自動化する。環境構築に際しては、ベクターが保有する広範な知見とスキルを基にして、「アドバイザリーサービス」と呼ぶ、コンサルティング、エンジニアリングサポートも提供する。
SDV向けソフトウエアの開発・検証環境の構築を支援。各ツール間で円滑に連携しながら、DevOpsアプローチでの迅速な開発を実現する。車両側とクラウド側、双方のソフトウエアを対象にした開発環境を構築可能。
本格的なSDV時代の到来を目前に控え、いかなる開発体制を構築するかが、自動車業界各社の近未来における競争力を決める要因となることだろう。
「車載システムの開発ツールと組み込みソフトウエアの両方を提供するベンダーであるベクターは、開発環境の整備と運営に必要な技術と知見を提供できます。また、安全最優先といった自動車業界が重視する価値観を共有しながら、ITベンダーの言葉や発想も深く理解しており、双方の橋渡し役となることもできます。SDV開発で必ず貢献いたしますので、まずはぜひご相談ください」(稲垣氏)