桔梗原 倉庫現場を可視化する仕組みはどのようなものでしょうか。
玉井 倉庫で動いている様々なシステムと連携し、すべての稼働データを収集してデータ基盤に格納し、それらのデータを基に、作業状況をリアルタイムで表示します。また、スタッフの配置をシミュレーションし、作業時間を予測する機能なども搭載しています。お客様からは「こういうものが欲しかった」という声が寄せられており、発売前から複数の予約注文がありました。Analyst-DWCは現在の倉庫運用を最適化するものであり、前述のMMLogiStationは自動化によって倉庫の運用そのものを変革するものという位置付けです。
物流DXの取り組みのもう1つの柱が、ITカスタマサービスセンターの「Smart Service AQUA」(北九州市)内に今年1月開設した「物流DXサービスセンター」です。オンライン化された物流システム専用の運用拠点であり、物流業務と物流システムを熟知したプロフェッショナルが、お客様のシステム運用管理を引き受けます。当社が提供したシステムだけでなく、他社が導入したシステムを含めてトータルな運用管理を担います。
桔梗原 一種のアウトソーシングサービスですね。他社システムの運用も行うという点では困難があったのではないでしょうか。
玉井 私たちはこれまで、物流分野で様々なベンダーの製品を使ったシステム構築に携わってきました。同時に、ベンダー各社から多くを学び、ノウハウを蓄積してきたことによって実現できています。お客様は面倒なシステムの運用管理から解放され、倉庫自動化の企画・検討など、より付加価値の高い業務に集中することができるでしょう。システムの運用管理にとどまらず、改善提案や効率化支援などを含め、倉庫のシステム全体をサポートする一気通貫のサービスです。
桔梗原 物流DXを支えるソリューションに加えて、会社全体として進めている変革はありますか。
玉井 物流システム構築プロジェクトの進め方も大きく変わりました。最近取り組んだのは、「見積もらない営業」です。従来は、お客様の要件を詳しく聞いた上で、技術部門が工数などを細かく計算してお客様に回答していました。この方法では、回答までに数週間かかります。にもかかわらず、常に高精度の見積もりができたわけでもありません。そこで、思い切って見積もらない営業にシフトしたのです。
きっかけは、私個人のマンションリフォーム体験でした。依頼したリフォーム事業者は、「広さ何平米」と伝えるだけで金額を提示してくれ、実際の費用もその金額内に収まりました。同じことが物流システムでもできるのではないかと考え、見積もりのためのツールを開発しました。営業担当者がお客様からいくつかのポイントを聞いて入力すると、その場で金額が弾き出される仕組みです。瞬時に回答できるのでお客様からも好評で、技術部門の負荷を大幅に軽減できました。