株式会社ALiNKインターネット
取締役 システム開発部 部長
松本 修士氏
2000年代以降の情報爆発によって多様化する顧客ニーズ、自然災害の激甚化、世界情勢の変化などによって、現在のビジネス環境は大きく変化している。想定外の事態が次々起こる中で、先を見通すことは難しい。だが、何もせず立ち止まっていると時代に取り残される。「変化」そのものではなく、「変化に対応できない」ことが大きなリスクになる。
企業・組織がこの状況を生き抜くためには、経営意思決定を迅速に行い、適切なアクションにつなげることが不可欠だ。これを実践し、リスクを速やかに乗り越えた企業が、天気や防災を軸とした情報提供ビジネスを展開するALiNKインターネットである。主要サービスが、日本気象協会と共同で運営する「tenki.jp」(図1)。日本最大規模の気象情報サイトであり、年間60億PVを誇る国内有数の大規模サイトでもある。
「転機になったのは2025年1月です。tenki.jpが断続的なDDoS攻撃を受け、サイトが利用しづらい状況に陥りました。正直、サイトを運営・管理する我々にとって、トラフィックの急増が実はDDoS攻撃だったことは、青天の霹靂でした」と同社の森島 昌洋氏は驚きを隠さない。なぜなら、tenki.jpはその特性上、日ごろから膨大なアクセスと突発的なトラフィック急増が発生するサイトであり、それに対応できるサービス提供体制を整えてきたからだ。
例えば、国内で地震や災害が発生すると、被害状況や津波リスクを確認するため、tenki.jpへのアクセスは数秒の間に激増する。東日本大震災や熊本地震、能登半島地震や奥能登豪雨など、過去の多くの大規模災害でそのような状況が発生したが、2008年9月のサイト開設以降、サービスが長期間、断続的に停止したことは一度もなかったという。
「1時間当たり50~150万セッションのトラフィックを処理しているほか、台風の接近時にはじわじわと高負荷が続くこともあります。加えて、学習型IPフィルタリングなどのDDoS攻撃対策も実施していました」と同社の松本 修士氏は説明する。
しかし、今回のDDoS攻撃は、その体制をもってしても吸収できない最大60Gbps超という強烈なものだった。いったん引いたと思ったら、また大量のトラフィックが襲ってくる。断続的かつ執拗な攻撃が続き、サイトはダウンしてしまった。
「手口も巧妙でした。攻撃先のIPアドレスが次々移り変わるほか、攻撃元のIPアドレスも頻繁に変化していました。従来の攻撃であれば学習型IPフィルタリングで対応できますが、今回はダメでした」と森島氏は振り返る。
株式会社ALiNKインターネット
執行役員 サービス統括部 部長
森島 昌洋氏