ビデオ監視システムにおける世界的リーディングカンパニーであるスウェーデンのAxis Communicationsが、「物体検出オーケストラ」なるユニークな実験を行なった。同社のAI技術をフル活用し、カメラでテニスボールやコーヒーカップなどを検出して音に変換。「ツァラトゥストラはかく語りき」のファンファーレを見事に、物体の動きだけで再現してみせたのだ。百聞は一見にしかず。実際の演奏動画とともに、技術の詳細を紹介する。
今や社会の隅々に設置されたネットワークカメラ。物理セキュリティーの要として防犯・監視の役目を務めるのはもちろんのこと、工場や建設・物流現場での産業用途、人の導線や混雑の可視化、さらには滞在時間の分析によるマーケティング活用など、そのユースケースは実に幅広い。スマート社会の実現には欠かせない存在と言っても過言ではないだろう。
1984年、スウェーデンのルンドで設立されたAxis Communications(アクシスコミュニケーションズ)は、1996年に世界で初めてネットワークカメラを開発した業界のパイオニア。世界50カ国で事業を展開し、5000人以上の従業員を擁する。現在はキヤノンの子会社だが独立性は担保されており、主力のネットワークカメラを筆頭に、入退室管理システム、オーディオソリューション、インターホン、分析ソフトウエアなど広範なセキュリティー/モニタリング製品を提供している。
近年、AIの実装はネットワークカメラのトレンドだが、Axis Communicationsでもかなりの力を入れている。よりスマートなセキュリティーや自動化を実現するために、AIは必須の技術だからだ。同社の技術力を凝縮したのが、極めてユニークな試みであるネットワークカメラを駆使した「The Object Detection Orchestra(物体検出オーケストラ)」。まずは以下の動画にて、驚くようなパフォーマンスをご覧いただこう。
動画を見れば分かるように、4人のミュージシャンがテニスボール、コーヒーカップ、消火器を手に持ち、カメラの前で特定の場所に動かすことで音楽を奏でている。カメラのフレーム内に割り当てられた音符が正方形として表現され、それをガイドにミュージシャンが音を拾っていく仕組みだ。
ゾーンを物体が移動すると、MTTQ信号(IoTで使用される軽量な通信プロトコル)がMIDIシステムに送られるという。このシステムをAxis CommunicationsのAIベースの物体検出、リアルタイムのMTTQ信号と外部デバイスのシームレスな統合が支える。
パフォーマンスに選ばれたのは映画『2001年宇宙の旅』で名高いリヒャルト・シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」のファンファーレ。未来を感じさせる演出として格好の選曲と言えよう。スウェーデン出身の音楽プロデューサー、ヨナス・クァント氏(ノー・ダウト、カイリー・ミノーグなどを手掛けた人物)が編曲を務めたが、彼自身も興奮を隠せないとのコメントを残している。
Axis Communicationsはこうした高度なAI技術を発展させ、スマートシティ、製造、物流、小売、医療、交通などで拡大していく構えだ。ネットワークカメラの進化を知る身近な教材として、物体検出オーケストラを楽しんでほしい。