ついに始まる欧州サイバーレジリエンス法にも応答 産業機器に最適化したリアルタイムOS

ついに始まる欧州サイバーレジリエンス法にも応答
産業機器に最適化したリアルタイムOS

産業機器の新たなトレンド
「ソフトウエア・デファインド」に応答

 ミッションクリティカルなシステムを含めてQNX OSが産業機器に適する理由の一つは、「その設計思想にある」と、QNX Japanのプリセールスエンジニア業務を率いる木内志朗氏は説明する。

木内 志朗氏
QNX Japan
Principal Field Application Engineer
木内 志朗

 「QNX OSはセーフティとセキュリティを考慮して設計されています。最小限の機能で構成したマイクロカーネル・アーキテクチャーもその一つであり、OSの中核部品であるカーネルのアタック・サーフェス(攻撃対象領域)が小さいためセキュリティの観点でも極めて強固です」(木内氏)

 QNXはセーフティの各種規格の第三者認証を取得するとともに、認証に関連するセーフティドキュメントなどを顧客に提供している。具体的には、産業機器を対象にしたIEC 61508 SIL 3、自動車や建機などを対象にしたISO 26262 ASIL-D、医療機器ソフトウエアを対象にしたIEC 62304 Class Cの第三者認証をそれぞれ取得済みである(「QNX OS for Safety」パッケージ)。顧客は最終機器やシステムの認証取得を効率的に進めることができる。

 「こうした機能安全認証が採用につながった例もあります。ドイツのFERNRIDE社は、自動車業界における最高水準の機能安全規格であるISO 26262 ASIL-Dの認証を取得していることを主な理由に、港湾向けの遠隔運転ターミナル・トラクターにQNX OS for Safetyを採用していただきました」(アガルワル氏)

マーケットで証明された信頼性の高い安全認証ソリューション

最高のパフォーマンスと信頼性を必要とする安全でセキュアな組み込みシステムのための
包括的な機能安全認証済み基盤ソフトウエア開発プラットフォーム
図2:マーケットで証明された信頼性の高い安全認証ソリューション

 またQNXは、産業機器の分野で新たなトレンドになっている「ソフトウエア・デファインド・システム」にも適している。従来の産業機器にも制御ソフトウエアは搭載されているが、機能は基本的にハードウエアによって実現され、かつ固定的だった。

 一方のソフトウエア・デファインド・システムでは、多くの機能はソフトウエアによって実現される。スマートフォンと同じように機能(アプリケーション)を追加したり、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を更新したりすることも容易に可能だ。

 そこで、QNXがプラットフォームとして提供するのが「QNX Hypervisor」である。ハードウエアを仮想化し、QNX、Linux、Androidなど複数のOSを分離した環境で動作可能。例えば、セーフティクリティカルなアプリケーションはQNX OS for Safety上で動作させ、HMIのような非クリティカルなアプリケーションはAndroid上で動作させるなど、複数の安全度水準(Safety Integrity Level、SIL)を混在させることが可能だ。

無償提供や包括ライセンスを新たに開始

 さらにQNXでは、新たに2つの取り組みを始めた。

 学生、学校や研究機関、パーソナル・ユーザーなどへQNX SDP (Software Development Platform) 8.0を無償で提供する取り組みが、「QNX Everywhere」イニシアチブである。開発者コミュニティーの裾野を広げることを目的に、QNX OSの最新バージョンを非営利ライセンスとして提供する。

 もう一つの取り組みが「QNX GEDP(General Embedded Development Platform)」である。従来、QNXは提供物ごとにライセンスが必要で、例えば通常版のQNX OSを機能安全認証版のQNX OS for Safetyに変更したい場合も新たな契約が必要だった。QNX GEDPはすべてのソリューションを一括で提供するライセンスである。

 「個別契約に比べて料金も抑えていますので、QNX OS、QNX OS for Safety、QNX Hypervisor、QNX Hypervisor for Safetyといった各種のツールチェーンなどを、お客様のニーズや開発フェーズに応じてご活用ください」と木内氏は説明する。

 最後にアガルワル氏は、「OSのコストとは、初期の導入費用だけではありません。認証取得をはじめ、セキュリティの維持、さらにはメンテナンス人材の確保などを含めた総コストを加味する必要があります。CRAをはじめ、今後さらに加速するセーフティやセキュリティの要求に応えられるように、QNX OSはお客様をサポートさせていただきます」と話す。

 日本市場に対しては、国内のパートナーやインテグレーターと連携しながら、QNX Japanが中堅・中小の機器メーカーも含めてサポートしていく考えだ。QNXは、優れたセーフティとセキュリティで産業機器ビジネスのさらなる強化を支えていく。