AI時代に目指すべきデータ連携 Boomi+AIでビジネスの分断を解消

ヴァレリー・レイニー氏/マット・マクラーティ氏/河野 英太郎氏

データ連携・自動化を担うiPaaSソリューション「Boomi Enterprise Platform」を提供するBoomiは、2025年9月、大規模プライベートイベント「Boomi World Tour 東京 2025」を開催した。イベントのテーマは「UNLIMITED」。すべてのデータやシステムをつなぐ「Boomi Enterprise Platform」とAIを組み合わせることで、いかにデジタルイノベーションが実現できるかを来場者に体感してもらうのが狙いだ。「Boomi World Tour 東京2025」では、リリースされたばかりのAIエージェントの設計・管理・ガバナンスを連携する新機能や国内企業の導入事例、製品ロードマップなどが紹介され、複雑化するビジネス環境をBoomi+AIで切り拓く姿が提示した。

AI活用の根本課題はデータのサイロ化や断片化の解消

河野 英太郎 氏

Boomi株式会社

代表取締役社長 CEO

河野 英太郎

ヴァレリー・レイニー 氏

Boomi本社

社長

ヴァレリー・レイニー

マット・マクラーティ 氏

Boomi本社

最高技術責任者(CTO)

マット・マクラーティ

「Boomiは、今後3年間で日本市場に70億円以上を投資します。日本市場に対するコミットメントを感じていただけるでしょう」。こう語るのは、Boomi株式会社 代表取締役社長 CEOの河野英太郎氏だ。Boomiは、毎年米国で大規模イベントを開催してきたが、日本での開催は今回が初めて。「東京でのイベント開催も、日本に対するコミットメントの象徴です」と河野氏は強調した。

続く基調講演に登壇したのはBoomi米国本社の社長であるヴァレリー・レイニー氏。「企業が直面する課題は『複雑さ』であり、その核心はデータのサイロ化や断片化にあります」と指摘した。「これはITの問題ではなくビジネスの問題です。データが必要な場所になく、つながっていないと分析が遅れ、洞察が得られません」と強調。「データの分断を修正できれば、すべては変わります」と断言した。

さらに、企業はAIやCRMといったツールには投資する半面、データの分断解消への投資は遅れていると指摘。「このギャップを解決することこそが、Boomiが存在する理由です。Boomiはデータを瞬時に連携し、ビジネスの停滞を招く摩擦を排除します。AI時代となり、その使命は重要性を増しています」とレイニー氏は語った。

続いてBoomi本社CTOのマット・マクラーティ氏が登壇、AI時代におけるBoomiの位置付けについて提示した。「生成AIの登場は、ドラスティックに世の中を変えていきます。しかしAIはあくまでもツールでしかなく、目的ではありません。すべてをつなぐBoomiによって多様なデータからコンテキストを作り出すことで、はじめてAIがビジネス状況を理解できるようになります」と語り、Boomiでデータをつなぐプラットフォームを用意することが、ビジネスの結果に直結すると指摘した。

Boomi+AIの組み合わせは、すでに効果を上げている。オフィスや学校、高齢者施設、病院などでフードサービスを手掛けるコンパスグループ・ジャパンのCIO イゴリ・ダンシン氏は次のように語る。

国内1,600サイトでフードサービスを提供している同社では、利用者や患者の体調や病状の変化によって目まぐるしく変わる献立の作成に課題を抱えていた。しかし、Boomi+AIを導入した結果、「栄養士が自然言語で『朝と昼は軽め、夜はしっかり』などと入力するだけで、健康状態やアレルギー、予算に応じたメニューを自動生成できるようになりました。結果として献立作成に要する作業が大幅に削減され、生産性と安全性が向上し、コスト管理の効率化にもつながった。

レイニー氏は基調講演の最後に再び登壇、「すでにAIはオプションではなく、必須の時代に突入しています。AIを活用することで、人間は人間にしかできないことに注力できるようになります。そのためには、すべてのシステムやデータをつなぐ必要があります」と述べて締めくくった。

ビジネスの分断を解消するBoomi Enterprise Platform
ビジネスの分断を解消するBoomi Enterprise Platform

AIの登場は、日本企業の遅れをリセットする契機に

辻野 晃一郎 氏

アレックス株式会社

代表取締役社長

辻野 晃一郎

続く特別基調講演には、アレックス代表取締役社長で元Google日本法人 代表取締役社長の辻野晃一郎氏が登壇した。辻野氏は、「変化が激しいVUCA時代においては全体を俯瞰する力が重要ですが、日本企業は部分最適にとらわれがちです」と指摘する。その上でDXが進まない要因として、経営トップがデジタルを理解せずに現場に丸投げする「昭和型のITゼネコン体質」を挙げた。

「生成AIは生活やビジネスを根本的に変えつつあり、導入に躊躇すれば人材流出や競争力低下につながります。まずは小さな事例から、AIとの共存を前提に取り組みを進めることが必要です」と語った。人とAIの分担は気になるところだが、方法として「人は課題設定や要件定義などの入口と成果物の品質評価や応用といった出口に集中し、中間作業はすべてAIに任せることで価値創出を最大化できます」と強調した。

講演後に行われたBoomiの河野氏と辻野氏のトークセッションでは、「なぜ日本企業は変われないのか」との河野氏の問いかけに辻野氏は「失敗を許容しないフィックスト・マインドセットが根深い問題です。失敗は成長や成功に必要なステップと捉え、萎縮せずに新しいことにチャレンジするグロース・マインドセットが重要」と指摘。「AIの登場は遅れをリセットできる契機です。今こそ日本企業は再スタートを切るべきでしょう」と日本企業にエールを送った。

国内企業でも進むBoomi+AIによるエンパワーメント

Boomiは、すでに日本市場で数多くの実績を残している。イベントでは3つの事例が紹介された。

JALの3つのデータ基盤をBoomiで統合

内海 智大 氏

日本航空株式会社

デジタルテクノロジー本部 システムマネジメント部

プラットフォーム企画グループ アシスタントマネジャー

内海 智大

1社目に紹介されたのは日本航空(JAL)である。パートナー企業である野村総合研究所が支援し、複雑化していた3つのデータ連携基盤を統合した「OneBridgeプロジェクト」の経緯が語られた。

日本航空の内海智大氏は、「JALには旅客系、運航系、その他という3つのデータ連携基盤が存在します。現場で使用するシステム数は約200、インターフェースは2500にも上り、複雑化していました」当時の課題に言及した。

そのため、「OneBridgeプロジェクト」は、単なるシステムの置き換えではなく、連携とシンプル化を目指したという。クラウドやSaaS利用のほかオンプレミスもある中で、環境をまたぐデータ連携が多くなる。「Boomiは豊富なコネクタを持ち、幅広いSaaSのサービスやレガシーシステムとの連携が可能です。さらにローコードで直感的に開発できることや、高いセキュリティ環境も評価しました」と内海氏はBoomi導入の決め手を語った。

さらにJALでは、AIエージェントを設計・管理する「Boomi Agentstudio」を導入、業務システムを自らが開発する方針を打ち出している。例えば、現在は担当社員が開発しているプロセスのドキュメント作成をAIが自動化。社内にナレッジを蓄積しながら自然言語でのやり取りを推進し、AIによる生産性向上を目指している。

JERAの数百のシステムを連携し、全社基盤へ

松原 泰也 氏

株式会社JERA

エンタープライズアーキテクト部

デジタルテクノロジーユニット課長代理

松原 泰也

2社目に紹介されたのは、日本最大のエネルギー企業であるJERA。アバクシアアジアがパートナーとなり導入を支援した。JERAではまず、1部門でBoomiによるデータ連携を開始。効果を積み重ねながら、顧客管理や分析、人事などへと対象を拡大し、現在では数百のシステムを連携する全社的な基盤へと進化した。JERAの松原泰也氏は、「電力、ガスなどそれぞれの基幹システムやERPなどが乱立しており、Boomi導入前はデータ連携の概念すらありませんでした。そこで、アバクシアアジアにBoomiの説明から始めてもらいました」と当時を振り返る。

規模が大きく、公共性が高いシステムだけに、単純にツールを導入するだけでは十分ではなく、現場に即した定着と拡張が求められる。そのため、Boomiを生かしたデータ連携の手法について、各プロジェクトの担当者に向けてトレーニングを実施し、Boomiを身近に感じられる存在へと育てていったという。その結果、「データがつながるようになり、可視化や業務プロセスの連携が実現しました。なかでもリアルタイムのデータ連携が必要な業務では、ビジネスの俊敏性と拡張性が両立できるようになりました」と松原氏は語った。

日華化学が提示するデータ連携基盤導入の3つヒント

川上 稔広 氏

日華化学株式会社

管理部門 情報戦略部

部長

川上 稔広

最後は繊維加工薬剤や化粧品事業などを手掛ける日華化学のデータ連携基盤の事例である。パワーソリューションズがパートナーとして協力しており、まだ構築に着手した段階だ。日華化学では、2027年の新ERP稼働に向けて、ServiceNowやSnowflakeなどのSaaSと連携した“つながる業務基盤”を構築している。日華化学の川上稔広 氏は、Boomiを活用したデータ連携基盤のスムーズな導入に向けたヒントを紹介した。

1番目のヒントは「切り替えは全体を見直すチャンス」であること。システムの刷新を単なるERPの入れ替えではなく、業務全体を見直す機会と考えるべきだという。「Boomiで柔軟に接続できる業務基盤を作っています。AI活用も見据えています」と川上氏は語る。2番目のヒントは「まず、データ連携の基盤を固めておくこと」。データ連携は後から課題が出てくることも多いため「最初に連携基盤を固めておくことは重要です。今回はERP選定段階からデータ連携はBoomiと決めていたことで、手戻りが減り、リスクも下げられました」と話す。

さらに3番目のヒントは「業務部門を最初から巻き込むこと」だという。「業務部門を巻き込んでおくことで認識のズレが減り、受け入れが早くなります。SaaSでは業務をツールに合わせる必要がありますが、業務部門の理解が進んでいれば抵抗が少なくて済みます」と川上氏は語った。

「Boomi Agentstudio」の日本語化などで日本企業にコミット

Boomiが提供する価値について、Boomi本社CTOのマクラーティ氏は以下のように語る。「Boomi Enterprise Platformはアプリケーションやデータ、APIをつなぐ連携基盤であり、AIエージェントを設計・管理できる『Boomi Agentstudio』を今後の機能の中核に据えています。エージェント同士が連携するための新プロトコルMCP(Model Context Protocol)やA2A(Agent to Agent)への対応も進め、AI時代に求められる“すべてをつなぐ力”を拡充している段階です」

イベントでは「Boomi Agentstudio」の活用法のデモも行われた。架空の小売企業「Starlight Retail」を想定したユースケースとして紹介。NetSuiteとShopifyの連携、信頼できる在庫・価格データの生成、Snowflakeとの同期、自然言語でのAPI生成、エージェント作成とガードレール設定までを実演した。複雑な設定をせずとも直感的に連携や自動化が行える点を示し、Boomi+AIの価値を簡単に享受できることを印象づけた。

本イベントでは「Boomi Agentstudio」の日本語版も発表された。国内ユーザーにとって、よりスムーズにBoomiを活用できる環境が整ったと言えるだろう。マクラーティ氏は「今後はマーケットプレイスの拡充やパートナーとの協働を通じて、200を超えるAIアセットをはじめとするソリューションを継続的に提供していきます。お客様の声を反映し、日本市場でもBoomiと新しい価値を共創していきたいと考えています」と語った。

複雑化するシステム環境において「すべてをつなぐ」ことの重要性をアピールした「Boomi World Tour東京 2025」。AIの部分最適を越えた全体最適を目指す企業こそが次の時代を切り拓く。Boomiはその変革を支えるプラットフォームとして、日本市場でもビジネス変革に貢献していく。

534

協賛11社がBoomi関連ソリューションを展示

「Boomi World Tour 東京 2025」の会場には、協賛企業11社による展示ブースが設けられ、それぞれのBoomi関連ソリューションが紹介された。

あらゆるデータとシステムをつなぐBoomiの特性もあり、パートナー企業との連携ソリューションには来場者の高い注目が集まった。各ブースは終始活気にあふれ、イベントの盛況ぶりを象徴していた。

展示ブース出展企業

  • 野村総合研究所、
  • パワーソリューションズ、
  • Sazae Pty Ltd、
  • アヴァクシアアジア、
  • インフォシスジャパン、
  • IFSジャパン、
  • デジタルフォルン、
  • Solace Corporation、
  • TDCソフト、
  • サイオステクノロジー、
  • アオラ
展示ブース出展企業