「映像活用」を掲げる次世代の映像セキュリティ
防犯・監視が主な用途だった従来のセキュリティカメラ。だが少子高齢化が加速して現場の担い手が圧倒的に不足するに伴い、「人の目」に変わるツールとして広範な活用が進んでいる。最新型はもはやスマートエッジデバイスと言っても過言ではない。AI(人工知能)やIoTを搭載し、不審人物検知、人流分析、混雑状況可視化などに用いるケースも増えてきた。
カメラ本体の進化と歩調を合わせ、クラウド録画サービスも年々伸長を続けている。これまでのセキュリティカメラは現地の機器に映像を保存するオンプレミス型が主流だったが、クラウド型の普及によって遠隔から場所や時間を問わずに映像を確認できるようになった。複数の目で確認すればするほど誤認が少なくなり、何より現場担当者の負担が軽減される効果がある。
パナソニックは約60年にわたるセキュリティ事業で実績と信頼を培ってきた。この強みを活かし、BtoBソリューション事業を展開するパナソニック コネクトでは2023年3月からクラウド録画サービスの「Cameleo」を開始した。いつでもどこでも映像にアクセスできるため、従来の防犯・監視用途の効率化はもちろん、それに留まらない幅広い業務における“映像活用”を可能にするソリューションとして、順調にユーザー数を伸ばしている。
Cameleoの機能は豊富だ。市場に数多く普及するi-PRO社のカメラをはじめ、「Cameleoゲートウェイ」接続によってONVIF準拠カメラ※にも対応。これによりメーカーに縛られることなく、既存カメラを活用しながらのクラウド上でのカメラ映像の一元管理を実現した。保存先はクラウドサーバーのため、録画機器は不要。映像、画像、音声、メタデータを集約可能だ。保存した映像はインターネット経由でPC、タブレット、スマホからすぐに確認できる。
※ONVIF Profile Sが対象。ONVIF(Open Network Video Interface Forum)はIPベースの物理セキュリティ製品向けの規格標準化を推進するフォーラムのことで、映像セキュリティ業界の標準規格を策定している。使用するカメラとCameleoの接続可否については、事前に検証が必要
パナソニック コネクト
SaaSビジネスユニット
企画・マーケティング部 マーケティング課
プロダクトマネージャー
新井 浩樹氏
パナソニック コネクト SaaSビジネスユニット 企画・マーケティング部 マーケティング課 プロダクトマネージャーの新井 浩樹氏は、Cameleoの特長について次のように語る。
パナソニック コネクト
SaaSビジネスユニット
企画・マーケティング部 マーケティング課
プロダクトマネージャー
新井 浩樹氏
「パナソニックはカメラのハードとソフトを一体的に提供してきた背景があり、使用できるカメラの種類が多岐にわたるのがメリット。Cameleoは『セキュリティカメラをエッジとしたクラウド型プラットフォーム』が最適な表現かもしれません。防犯意識が高まる昨今だけに、クラウドでフルHDの高解像度で映像を記録できる点も好評です。当初は多拠点の一元管理が求められる店舗系のニーズが多いと考えていましたが、業界を問わずにさまざまな場所に導入され、店舗や倉庫などの施設管理をはじめ、介護施設での見守りや地方自治体の街頭防犯などにも幅広く活用いただいています」(新井氏)
社会のニーズを拾い上げ、顧客の声をベースに出発した「Cameleoモバイル」
2025年1月には、スマホがクラウドカメラになる新プランの「Cameleoモバイル」が追加された。Cameleoモバイルも、現場の声を拾い上げて誕生した。
「Cameleoを提案する中で、施設に設置したカメラの映像だけではなく、作業現場の最前線でさまざまなシーンを記録するニーズがあることが分かってきました。実際にお客様からも『スマホで手軽に撮影したい』との要望をたくさんいただいていました。現状、ウェアラブルカメラなどの専用端末を利用する現場が多いですが、現場で複数の端末を管理する手間やコストが負担になっていることも分かりました。そこで誰もが持っているスマホのカメラで撮影してクラウドで保存・共有できれば、お客様の困りごとを解決できると考えたのです」(新井氏)
パナソニック コネクト
SaaSビジネスユニット
開発部 開発2課
スクラムマスター
三好 健吾氏
アプリ開発のリーダーを務めたSaaSビジネスユニット 開発部 開発2課 スクラムマスターの三好 健吾氏は、開発に至る経緯をこう話す。
パナソニック コネクト
SaaSビジネスユニット
開発部 開発2課
スクラムマスター
三好 健吾氏
「開発メンバーが雑談しているとき、『スマホで撮影した映像をCameleoに接続できれば新しいサービスができるのではないか』とのアイデアが生まれたんです。ちょうどマーケティング側からお客様のニーズも聞いていたので、アプリを作って2024年春ごろの展示会で試験的に披露したのが最初になります」(三好氏)
展示会の反応は上々で、新井氏らは既存の顧客を含めてさらに需要を深堀りした。ヒアリングの結果を踏まえ、2024年夏から本格的にCameleoモバイルの開発がスタート。前述の通り三好氏がスクラムマスターとなり、アジャイル開発フレームワークの「スクラム」を採用してスプリント(短期開発期間)の積み重ねによってアプリの完成度を高めていった。
「当部門では、大阪、横浜、福岡の3拠点にまたがって開発メンバーが勤務しています。今回、私はスクラムマスターとして、勤務地も、専門分野も異なるさまざまな開発メンバーを束ねました。2週間のスプリントを合計10回ほど繰り返し、スプリントが一区切りするたびにアプリをステークホルダーに使用してもらい、フィードバックを反映しながら開発を続けました。スマホ(iOS)から取得した映像データをCameleoで扱いやすいフォーマットに変換する過程で試行錯誤しましたが、その課題もチームワークで乗り越えました。この手法だからこそ短期間でリリースできたのだと思います」(三好氏)
Cameleoモバイルは事前にアカウントを登録すれば、スマホにアプリをインストールするだけで利用できる。もちろんBtoBツールなので法人契約は必須だが、感覚的には日常生活でスマホを操作するのと変わらない。「アプリデザイナーも参加してUI/UXにこだわったのも特徴です。録画ボタンを押せばスタートして、再び押せば終了する。現場で使用するものなので、とにかく操作は簡単で分かりやすくしました」と三好氏は言う。
もう1つ、モバイルアプリの特性を活かしているのが録画した映像へのテキストコメントの追加機能である。撮影者はシーンを指定して100文字までのコメントを入力でき、より正確な情報共有をサポートする。
さらに、映像を共有された相手はコメントをタップすれば該当部分をすぐに再生でき、映像を全て再生しなくても重要なポイントをスピーディーに把握できる。こうした点もユーザーファーストを貫くパナソニック コネクトらしさと言える。
「テキストコメントは非常に喜ばれています。現場での報告作業の工数が大幅に削減されますし、遠隔の管理者もコメントを見ながら、より正確に状況を把握できるからです。報告する側、報告される側の双方に効率化をもたらすと考えています」(新井氏)
Cameleoモバイル想定利用シーンの一つ。インフラメンテナンス業務において、作業者は現場の状況を手軽に、かつタイムリーに共有できる。作業場所や点検内容をテキストコメントで補足することで、管理者は見るべき映像を探す手間を削減できる
ユースケースは無限大、使うほどに可能性は広がる
まずは社会インフラのメンテナンス作業等での利用を中心に展開していく。「最近では上下水道のトラブルが頻発するなど、日本各地で社会インフラの老朽化対策が喫緊の課題となっています。フレキシブルに対応できるCameleoモバイルによって、現場の作業負荷を軽減してメンテナンスの効率化や迅速化に貢献したい。それ以外にも、ベテラン作業員の減少に伴い若手育成が大きな課題になる中、技術伝承の観点でも映像を役立ててもらえたら嬉しいです」と新井氏は話す。
そのほかのユースケースとしては建設現場、巡回警備、事故・災害時の応急カメラなどを想定する。現在は製造現場における作業記録やビルメンテナンスの用途でCameleoモバイルが早速試用されており、鉄道、訪問介護なども興味を示している。
「訪問介護は在宅ケアの様子を記録してトラブルを回避することが目的だそうです。警備や小売、飲食などでも利用したいとの問い合わせをいただいています。Cameleoモバイルのアイデアはシンプルですが、これまで市場になかったツールなので使っていただくことで新たなユースケースが出てきます。アジャイル開発の体制を生かし、ヒアリングを重ねて順次サービスを拡張していく予定です」(新井氏)
現時点では現場からの映像を管理者が確認する一方通行の仕様だが、双方向でやり取りしたいとの要望は少なくない。例えば映像を見ながらベテランの社員が指示を出すなど、技術継承や新人教育に役立つからだ。「単に映像を確認する機能を超えてコミュニケーションツールとして活用できるようになれば、可能性は大きく広がります」と新井氏は期待を寄せる。
最終的にはAPI連携によって、Cameleoモバイルで撮影した映像が、他社サービスの中で活用されることを目指す。昨今、業界特化型の業務アプリは増えており、それらのアプリとCameleoモバイルが連携することで、より幅広い業界・用途で映像活用によるお役立ちを実現できると考える。そのため、広く現場に普及しているiPad※に適応したアプリの開発を進めている。
※ 取材時点ではiOSのみ対応。2025年4月からiPadOSにも対応。
三好氏は「お客様からのフィードバックをもとに、今後も積極的にアジャイル開発を進めていきます」と語った。いずれは生成AI技術と組み合わせてさらなる業務効率化を視野に入れるなど、未来に向けた構想は膨らむ。日本の構造的な社会課題を解決する現場第一主義のツールとして、これからもCameleoに注目したい。
IOSは、Cisco の米国およびその他の国における商標または登録商標であり、ライセンスに基づき使用されています。
iPadOSは米国その他の国や地域で登録されたApple Inc.の商標です。



