ソフトウエアも含めてフルスタックで提供

自動運転の次なる進化へ
4Dイメージングなどミリ波レーダーを強化

車載用ミリ波レーダーのグローバルサプライヤーである独コンチネンタルは、来るべき自動運転の時代に向けて、ロングレンジレーダー(ARS)やサラウンドレーダー(SRR)の機能強化を進めている。同社の取り組みから「4Dイメージングレーダー」と「レーダー・ビジョン・パーキング」を中心に紹介する。
貫原氏
コンチネンタル・オートノモス・モビリティー・ジャパン株式会社
先進運転支援システム事業本部(ADAS)
日本・韓国・インド
事業戦略・製品企画室 室長
貫原 謙一

世界的な自動車部品サプライヤーであるコンチネンタルは、1999年に初めてロングレンジレーダー製品を発売して以来、ADASや自動運転に取り組む自動車メーカー(OEM)の高度なニーズに応えながら、常に業界をリードしてきた。車載用ミリ波レーダーの累計出荷数は、2021年時点で1億ユニットを達成している。

同社日本法人の中で、ADASや自動運転を担う事業ユニットが、コンチネンタル・オートノモス・モビリティー・ジャパンだ。

「コンチネンタルは、ADASや自動運転に必要なコンポーネントをフルスタックで揃えています。レーダーやカメラなどのハードウエアだけではなく、人や物体を認識するパーセプション(認識処理)、複数のセンサーを組み合わせるフュージョン、さらにACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)といった、アプリケーションやソフトウエアまで、トータルかつスケーラブルに提供しています」と、同社の貫原謙一氏は説明する。

4D化で高さ方向も精度高く識別

最初に、同社の主力ソリューションの一つである「4Dイメージングレーダー」を紹介する(図1)。

図1
図1
4Dイメージングレーダー
4Dイメージングレーダーで取得した点群データ。横浜みなとみらい地区にある楕円形の歩道橋(新港サークルウォーク)が高さ方向を含めて映像化できているのが分かる。

「4D」とは、従来のロングレンジレーダーの検知対象である距離、相対速度、方位角(水平方向)という3要素に加え、仰俯角(上下方向)を検知できることを意味する。

「従来の3Dレーダーでは、上下方向は推定によって得ていたため、対象物の正確な情報を得るのが難しいという課題がありました」と、同社の内藤公人氏は指摘する。「アンテナアレイを増やすことで、レーダーユニットから見た左右および上下の角度分解能を高めたのが、4Dイメージングレーダーです。対象物までの距離や相対速度、水平位置に加えて、高さを検知するため、信号機や看板などの位置や、路上の落下物やキャッツアイ(道路鋲)を精度高く識別することが可能です」(内藤氏)。

2021年発売の4Dイメージングレーダー「ARS540」は、ドイツの自動車メーカーで量産を開始し、採用を広げている。さらに電波干渉性能やサイバーセキュリティー機能を強化した「ARS640」を計画している。

「低コストかつ軽量で、LiDARで得られるような点群イメージを生成できるのが4Dイメージングレーダーの特長です。現在1レーダーサイクル当たり取得できる点群はおよそ2000点ですが、4000点以上を目指して開発を進めています」と、内藤氏は述べる。

レーダーを自動駐車にも応用

次に、実用化に向けて開発が進む「レーダー・ビジョン・パーキング」を紹介しよう。これはサラウンドレーダーとカメラを組み合わせることで、近距離測定が必要とされる駐車の各種ユースケースに対応したソリューションだ。

同社の第6世代サラウンドレーダー「SRR630」は、検知距離の伸長、ターゲット分離性能の向上、コンパクト化と低コスト化の向上を図った製品である。さらに、従来のサラウンドレーダーではできなかった高さ推定も可能となった。

特徴的な機能が、通常の76GHz帯からモード切り替えだけで利用できる、79GHz帯の「広帯域モード」の搭載だ。79GHz帯は距離分解能が4倍程度になり、クルマ周囲を精度高く検知できる。

「この広帯域モードの特性と、建物、植栽、他車、歩行者、縁石などをセグメンテーションする独自のAIアルゴリズムを用いて、サラウンドレーダーとリアカメラのみでパーキングアシストやオートパーキング機能を実現するのがレーダー・ビジョン・パーキングです。フロントバンパーやリアバンパーに見られる丸いソナーセンサーをなくせるため、意匠性も向上します。2024年1月に米ラスベガスで開催されたCES 2024では、車両技術&アドバンスド・モビリティ部門でイノベーション・アワードを受賞しました」と内藤氏は説明する。

内閣府のプロジェクトに参画

さらにコンチネンタルでは、製品の提供に留まらず、自動運転の実用化に向けた研究開発にも取り組んでいる。

その一つが、ミリ波レーダーのシミュレーションモデルを構築するプロジェクトへの参画だ。内閣府が戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)として進める「自動運転評価プラットフォーム(DIVP)」の一環である。

「コンチネンタルは外資企業ですが、日本産業界だけでなく、日本社会に貢献すべく2年以上前から取り組みを進めてきました。当社のレーダー製品やテストコースを使いながらモデル化の様々な課題を抽出し、プロジェクトにフィードバックしています。将来的には、カメラとレーダーとのセンサーフュージョンをバーチャル環境で再現するなど、自動運転における安全性評価基準の確立に貢献できればと考えています」と貫原氏は述べる。

コンチネンタルのビジョンとして掲げる自動運転の実用化と普及の実現には、レーダーの搭載のしやすさが欠かせない。貫原氏は「ミリ波レーダーの進化や低コスト化と共に、ECUの集約といった車載ネットワークの進化への対応にも引き続き注力します」と語った。

貫原氏/内藤氏
図2
コンチネンタル・オートノモス・モビリティー・ジャパン株式会社の先進運転支援システム事業本部(ADAS) 事業戦略・製品企画室を統括する貫原謙一氏(写真左)と、同事業部の内藤公人氏(写真右)。