──サイバートラストとInsignaryの両社は、中堅製造業が抱える課題の解消に向け、提携を決断しました。そのきっかけと両社のソリューションの概要についてお聞かせください。
北村氏 当社は近年、SBOM管理と脆弱性運用の自動化に注力してきました。そのためのSaaS型ソリューションである「MIRACLE Vul Hummer」(以下、MVH)は、OSからアプリケーションまで、ベンダー固有の拡張タグを含む様々な形式のSBOMを一元管理して、脆弱性を正確にチェックすることができます。日々新たに発見される脆弱性情報の収集とSBOMとの突合・紐付けを自動化できるため、CRA運用の工数・コストの大幅な削減につながるのが特徴です。
一方で、中堅製造業のお客様にお話を聞くと、「実はSBOMを持っていない、作れる状況にない。その代わりソースコードやバイナリはある」というケースが多々あります。また、組み込み業界では、メモリ操作などHWを意識した上で開発することからC言語やC++言語が多く利用されていますが、これらの言語で開発されたソフトウエアは、対応するツールが限られているためSBOMの生成が難しいのです。 これらのお客様をなんとかCRAに対応させるにはどうすればいいかと考えたところ、バイナリを解析して精度の高いSBOMを生成できるツールをMVHと組み合わせ、一気通貫でCRAに対応できるソリューションを作ることではないかと気づきました。
さっそく国内外の製品を調べたところ、Insignary Clarityが技術面でもコスト面でも非常に優れていることがわかりました。そこで当社から「互いの強みを組み合わせて、お客様に価値あるソリューションを提供しませんか」と、Insignaryに協業のお願いを差し上げました。すると代表であるTJさんご自身から早々に「ぜひ、やりましょう」という回答を頂くことができたのです。
──すぐに回答を返されたということは、Insignaryとしてもそのようなソリューションが必要なのではないかという考えを持っていらしたということですか。
TJ氏 もちろんです。以前からInsignary Clarityは日本の販売パートナーを通じて提供させていただいており、大手メーカーを中心とするお客様に広くお使いいただいています。しかし、その革新的なテクノロジーを、まだ認知されていない日本のお客様にお届けするには、サイバートラスト様の優れた製品と当社の製品を一体的に提供して付加価値を上げることが、より良い機会になると考えました。
──Insignary Clarity(以下、Clarity)の特徴を簡単に教えてください。
TJ氏 Clarityは、バイナリ解析を軸としたOSS管理ツールです。Binary-firstという理念のもと、OSSを含む各バイナリファイルからSBOMを生成し、脆弱性やライセンス違反のリスクを容易に検出することができます。最も優れた点は、米国・韓国で特許取得済みの「Deep Fingerprinting技術」です。バイナリに残るソースコード情報の断片を基にOSSを探索するため、ソースコードが入手できない対象についても実体に即したSBOMを自動生成し、脆弱性やライセンス違反の有無を確認することができます。
北村氏 つまり、SBOM生成はClarity、運用はMVHという明確な役割分担で、これまで個別最適に陥りがちだったSBOMライフサイクルを、一気通貫で継続的に管理していただく。これが提携による最大の狙いです。