
デル・テクノロジーズは2025年1月にPC製品のリブランドを発表。製品カテゴリーが「Dell」「Dell Pro」「Dell Pro Max」の3つに集約され、自社に必要な製品が選択しやすくなった。さらにこの春には、新ブランドに合わせたPC製品のラインアップを拡充。シンプルなラインアップでありながらも幅広い選択肢が用意されている。特に注目したいのは、AI時代を強く意識した製品・サービス構成になっている点だ。ここでは、ノートPC、デスクトップPC、モニター、サービスを俯瞰しつつ、注目すべきポイントについて紹介していきたい。


デル・テクノロジーズは2025年1月の「CES 2025」において、PC製品のリブランディングを発表した。その最大のポイントは、すべての製品やサービスの名称が「Dell」に統一されるとともに、製品カテゴリーが「Dell」「Dell Pro」「Dell Pro Max」の3つに集約された点だ。
「Dell」はエンターテインメント用途や学生、個人・ビジネス向け、「Dell Pro」は管理されたIT環境で使用するプロフェッショナル向け、「Dell Pro Max」が極限のパフォーマンスを求めるユーザー向け、となっている(図1)。
シンプルで分かりやすくなったことで、製品選択が容易になった
デル・テクノロジーズ株式会社
マーケティング統括本部
クライアント製品 ブランドマーケティング 部長
佐々木 邦彦氏
「以前はブランド名が製品種類ごとに存在し、実際に購入する際に『どれを選択すればいいのか分かりにくい』と感じるお客様も少なくありませんでしたが、今回のシンプルなリブランディングは、その問題を根本から解決するためのものです」とデル・テクノロジーズの佐々木 邦彦氏は説明する。
一般企業や官公庁のユーザーであれば「Dell Pro」が第一選択肢となる。「Dell Pro」はさらに、基本的なパフォーマンスと生産性を発揮できる「Dell Pro」、選択オプションが広く拡張性が高い「Dell Pro Plus」、先進的なデザイン性を備えモバイルに適した「Dell Pro Premium」の3ラインが用意されている。企業ユーザーはこの3つの中から、自分のワークスタイルに最適なものを選択すればいいわけだ。
そしてこの春、新たなブランドの枠組みに合わせた製品ラインアップが、ほぼ出揃った。それではこの新ブランドのもとで、どのような製品が提供されているのか。まずはノートPCから見ていきたい。
いずれもNPU搭載プロセッサーを採用し、AIを快適に利用できるようになっている

「Dell Pro」の中で最もハイエンドとなる「Dell Pro Premium」では、13インチディスプレイを装備した「Dell Pro 13 Premium」と、14インチディスプレイを装備した「Dell Pro 14 Premium」がラインアップされている。
プロセッサーは「インテル® Core™ Ultra 200Vシリーズ」を採用しており、インテル® Core™ Ultra 5 プロセッサー 236V vPro®/238V vPro®/266V vPro®/268V vPro®の4モデルから選択可能でMicrosoft CopilotなどのAIも快適に利用できる。
この2製品で特に注目したいのは、その外観だ。マグネシウム合金でつくられたシンプルな筐体は、強い自己主張がなく、さりげない高級感がある。モビリティ性に優れている点も大きな特徴だ。重量は、Dell Pro 13 Premiumが1.071kg、Dell Pro 14 Premiumが1.141kgとなっており、厚さはいずれも17.95mm(最厚部)しかない。
細部にも様々なこだわりが見て取れる。ディスプレイとキーボードをつなぐヒンジ部分はその1つ。キーボード部分を押さえなくても片手でディスプレイを開けるように設計されている。また、キーボードは、キーとキーとの間に隙間がない「ゼロラティス」キーボードを採用しており、快適なタイピングを行うことができ、長時間仕事をしても疲れにくい。
14インチモデルのディスプレイには、デル・テクノロジーズの法人向けモデルとしては初となる、鮮やかな表示が可能なタンデムOLED(有機EL)を選択可能。これによって明るさを49%高めながら、消費電力を24%削減することが可能。画面の縦横比は16:10だ。
デル・テクノロジーズ株式会社
マーケティング統括本部
クライアント製品 ブランドマーケティング
シニア・アドバイザー
吉田 将信氏
「最近のノートPCは一般的なテレビに合わせて16:9になっていますが、これは動画鑑賞には向いているものの、様々なファイルを操作するには少し縦方向の長さが足りません」と説明するのは、デル・テクノロジーズの吉田 将信氏。これに対して16:10の縦横比は、仕事で使う上で最適な比率なのだという。「タンデムOLEDの採用とこの縦横比で、目の疲れも軽減されるはずです」。
業務視点での配慮という点では、USBポートにも注目したい。耐久性を従来に比べ4倍に向上した上で、モジュラー化されているのだ。USBポートは抜き差しが多いためほかのポートと比べると故障しやすいが、万が一の故障時にマザーボード全体の交換ではなく、該当モジュールのみの交換できるため、Windows Autopilotによるデバイスの展開でも、修理後にAutopilotのデバイス更新をせず、戻ってきたらそのまま利用でき、業務のダウンタイムを最小化できるという。また、E-waste(電子廃棄物)の観点からも、環境への悪影響を軽減できる。

「Dell Pro Plus」では、ディスプレイサイズが13インチの「Dell Pro 13 Pro」、14インチの「Dell Pro 14 Pro」、16インチの「Dell Pro 16 Pro」がラインアップ。プロセッサーアーキテクチャは「インテル® Core™ Ultra プロセッサー (シリーズ 2)」を採用、AI PCとして高いパフォーマンスを発揮できるようになっている。ディスプレイは、液晶の中でもより鮮明で正確な色表現が可能なIPSパネルを採用、縦横比はDell Pro Premiumと同様に16:10となっている。筐体の素材はアルミニウムだ。
「Dell Pro Plusの最大の特徴は柔軟性と拡張性の高さです」と吉田氏。例えばプロセッサーは、インテル® Core™ Ultra 5 プロセッサーとインテル® Core™ Ultra 7 プロセッサーの中から幅広く選択可能、高解像度カメラやセキュリティーなどのオプション機能も数多く用意されている。また最近のノートPCでは省略されがちな有線LANポートも標準装備。前述のモジュール式のUSB Type-CポートやI/Oボードなどの採用で、耐久性と修理のしやすさも実現している。
最後に無印の「Dell Pro」だが、これはディスプレイサイズが14インチの「Dell Pro 14」と、16インチの「Dell Pro 16」をラインアップ。エントリーモデルに位置付けられており、コストパフォーマンスの高さが最大の特徴になっている。
ここで興味深いのが、すべてのラインで「14インチディスプレイモデル」が用意されている点だ。これについて吉田氏は、次のように説明する。
「以前の日本ではノートPCの主流は15インチであり、モビリティへの要求が高いユーザーは13インチを選択する傾向がありました。しかしグローバル市場では14インチが主流であり、最近では日本でも14インチを選択するお客様が増加しており、販売数は以前の倍になっています。ここ数年でビジネスのグローバル化がさらに進んだ結果、日本でも14インチを採用する流れが生まれているのだと考えています。そのためデル・テクノロジーズも、日本でいまだに根強い人気があるインチ数をラインアップする一方で、すべてのラインで14インチを選択できるようにしています」
また、デル・テクノロジーズのノートPCでもう1つポイントといえるのが、サステナビリティへの積極的な取り組みだ。同社は以前から再生素材の使用を進めてきたが、新ブランドの製品ではその比率がさらに向上しているのである。
「例えば、リチウムイオン電池にはレアメタル(希少金属)のコバルトが使用されていますが、使用されるコバルトを20%削減したり、再生コバルトを50%利用するなどの対応をしています」と吉田氏。Dell Pro Premiumの筐体に使われているマグネシウム合金もリサイクルマグネシウムの比率が90%に達しており、Dell Pro Plusの筐体で使われているアルミニウムも再生品の利用率が50%になったという。

ここからはデスクトップPCのラインアップを見ていきたい。フォームファクタ(筐体形状)は、タワー型、スリム型、マイクロ型、オールインワンの4種類。それぞれ「Dell Pro」と「Dell Pro Plus」が用意されており、合計8モデルとなっている(図3)。
4種類のフォームファクタごとにそれぞれ2モデルをラインアップすることで、合計8モデルが提供されている
タワー型は14.6Lという比較的大型の筐体を持ち、複数のSSD/HDD、複数のPCI-Expressスロット、複数のディスプレイポートを持つなど、拡張性が極めて高い。「Dell Pro Tower」と「Dell Pro Tower Plus」の2モデルが用意され、前者は「インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー」または「インテル® Core™ i7 プロセッサー」のプロセッサーを選択可能、後者は「インテル® Core™ Ultra 9 プロセッサー」を搭載し、各社GPUの内蔵も可能となっている。拡張性の高いタワー型でAIを積極的に活用したいならDell Pro Tower Plus、主に拡張性を求めるのであればDell Plus Towerを選択するといいだろう。
スリム型は8.4Lの比較的コンパクトな筐体の製品。タワー型ほどではないが、複数のSSD/HDDを搭載でき、複数のディスプレイポートや8~10のUSBポートを内蔵するなど、柔軟な使い方が可能だ。「Dell Pro Slim」と「Dell Pro Slim Plus」が用意されており、搭載プロセッサーはタワー型と同様となっている。
マイクロ型は、コンパクトさを極限まで追求した製品であり、筐体サイズはわずか1.18Lしかない。ただし、ストレージはSSD(2スロット)のみとなり、GPUは内蔵できない。「Dell Pro Micro」と「Dell Pro Micro Plus」が用意され、搭載プロセッサーはタワー型やスリム型と同様だ。デスク周りのスペースを有効に使いたい場合に適している。
そしてオールインワン型は、PCとディスプレイが一体となった製品であり、さらなる省スペース化が可能だ。「Dell Pro 24 All-In-One」と「Dell Pro 24 All-In-One Plus」がラインアップされ、前者はさらに「65ワットモデル」「35ワットモデル」に分かれている。プロセッサーは、35ワットモデルのDell Pro 24 All-In-Oneが「インテル® Core™ Ultra 5(35-Watt) プロセッサー」または「インテル® Core™ i5(35-Watt) プロセッサー」、65ワットモデルのDell Pro 24 All-In-Oneが「インテル® Core™ Ultra 7(65-Watt) プロセッサー」、Dell Pro 24 All-In-One Plusが「インテル® Core™ Ultra 9(65-Watt) プロセッサー」となっている。
「ここで注目していただきたいのは、デスクトップ製品で初めてNPUを搭載したことです。特に無印の『Dell Pro』では一世代前のNPU非搭載プロセッサーも搭載でき、プロセッサーの選択肢がとても広いことも大きな特徴です」と佐々木氏は話す。

PCにあわせて、モニターのブランドも一新された。そのポートフォリオは以下のように、「Dell Pro」「Dell Pro Plus」「ウルトラハイエンド(Dell Pro Premiumに相当)」にカテゴライズされている。ここで注目したいのは、大きく3点だ(図4)。
Dell Display ManagerがDell Peripheral Managerと統合され「Dell Display Peripheral Manager」になったことも、注目すべきポイントだ
1つ目は「曲面モニターがラインアップされていること」。曲面モニターというと、ゲーミングPCなどでの利用を思い浮かべる方もいるかもしれないが、法人向けにもかなり浸透しているという。しかも従来の湾曲タイプに加えてビジネス用途に特化し、CADユーザーでも利用可能な“ほぼフラット”な曲面モニターもラインアップされている。「横長の画面を生かして、2台のPCを接続して左右に分割して表示するという使い方をするケースもあります。例えば開発部門であれば、左側に開発環境のPC、右側にテスト環境のPCを接続し、1つのモニターでシームレスに作業する、といったことが可能です」(佐々木氏)。
2つ目は、PCとの「接続方式としてUSB Type-Cが主流になっており、かつデル・テクノロジーズは USB Type-Cモニター出荷台数のブランド別で日本&世界で5年連続1位であること」。USB Type-Cモニターと接続したPCは、画面表示だけではなく充電も同じケーブルで行える。つまりモニターが「ハブ」の役割を果たすのである。Dell Pro Plusとウルトラハイエンドの中には、有線LANポートを備えたモデルもある。つまりUSB Type-CでPCと接続すれば、有線LANも使えるようになるわけだ。
そして最後の3つ目が「ユーティリティの進化」だ。デル・テクノロジーズは「Dell Display Manager」と「Del Peripheral Manager」という2種類のユーティリティを提供していたが、これらが1つに統合され「Dell Display and Peripheral Manager」となった。
ツールが統合されたことにより、モニター画面の分割やカスタムだけでだなく周辺機器の設定なども容易に集中管理できるようになった
「このユーティリティをインストールしておくことで、デル・テクノロジーズのモニターや周辺機器をまとめて、直感的に管理することができます。ファームウエアのアップデートも集中的に行えます」と佐々木氏は説明する。

このように新ブランドに合わせて大幅な進化を遂げたPC製品のラインアップだが、その活用を支援するためのコンサルティングサービスも拡充されている。その一例が、AI活用を意識した支援内容の追加だ(図6)。
例えば、「Microsoft 365 Copilot アドバイザリーサービス」は、Microsoft 365 & Copilotを利用しビジネス成果を上げたノウハウを基に顧客へベストプラクティスを提示するという内容になっている
「この中にある『ワークフォースペルソナアセスメントサービス for Microsoft 365 & Copilot』は、ユーザーグループごとに、ニーズや、優先項目、想定されるアウトプットをお客様のビジネス環境に合わせて整理し、そのアプトプットに対する費用対効果などを基に最適な導入計画や定着化に向けたアセスメントを実施するサービスです。従来、ペルソナ分析を通してお客様の最適なハードウエアの選定をご支援して参りましたが、Microsoft 365 Copilotの活用によるユースケースや、新しいPC製品ラインアップも踏まえたペルソナ分析に進化しています。これにより、様々な職種・働き方における生産性の最大化を狙います」(佐々木氏)
このように、デル・テクノロジーズは単に製品のリブランドを行っただけではなく、それぞれの製品そのものの強化や、そのポテンシャルの最大化に積極的に取り組んでいる。今度も同社ではユーザーの声を常にフィードバックし、すべてのジャンルのPCを拡充していく予定だ。