Dell PowerStoreが切り拓く次世代ITインフラの道

不透明な時代を

勝ち抜くためのストレージ戦略

データのサイロ化やデータ保護といった課題をクリアし、データ活用をいかに図っていくか。その有効な手段として期待を集めているのが「Dell PowerStore」シリーズだ。これはデル・テクノロジーズがデータ中心型の設計のもと開発した製品。特に注目したいのは、2020年にDell PowerStoreOS 1.0がリリースされて以来、継続的に機能拡充が進められていること。ここではNECとCTCの専門家の話をもとに、企業が考えるべきストレージ戦略や最新ストレージの活用メリットについて紹介したい。

「垂直統合型」システムの存在がDX推進の障壁に

日本電気株式会社(NEC)
インフラ・テクノロジーサービス事業部門
データストレージ統括部
ディレクター
安孫子 尚弘氏

経済産業省が「2025年の崖」への警鐘を鳴らした2018年から既に7年が経過。その間に多くの企業でDXへの取り組みが進んだ。しかしここに来て、DXが停滞してしまうケースも少なくない。その理由の1つとして「サイロ化された既存システムがまだそのまま残されており、データもサイロ化されていることが大きな要因です」と指摘するのは、日本電気(NEC)の安孫子 尚弘氏だ。

また最近では生成AIの活用が広がることで、社内外のデータをどのように蓄積・管理するかも重要な課題になってきた。データを安全かつ有効に活用するため、クラウドとオンプレミスをベストミックスさせたIT基盤の確立を目指す企業も増えているようだ。

「従来の企業システムは、現場のユーザーの使い勝手を徹底的に追求していった結果、業務部門や業務内容ごとにシステムが垂直統合されるケースが一般的でした。しかしこれによって運用管理の負担が増大し、システム運用コストが高止まりしたことが、経済産業省の『2025年の崖』の警鐘につながったわけです。クラウドサービスの活用によってその一部は解消されましたが、オンプレミスシステムがすべて不要になるわけではありません。最近では企業システムの最適解として、オンプレミスシステムとクラウドサービスを連携させたITインフラが求められています。そのためにはオンプレミスシステムも、あらゆるシステムリソースの要求に柔軟に対応できる『水平統合型』になる必要があると考えています」(安孫子氏)

水平統合型への移行によって多様な要求に対して柔軟に対応できるようになるが、そのためにはデータを統合できる「スケールアウト型ストレージ」が必要になる

そのためには、ベアメタルから仮想化基盤、コンテナ基盤など、多様なアプリケーション基盤から共通して利用できる「スケールアウト型ストレージ」を、ITインフラ層の土台にすべきだと指摘。その土台として有力な選択肢となるのが、デル・テクノロジーズの「Dell PowerStore」(以下、PowerStore)だという。

NECが高く評価するPowerStoreの優位性

NECがPowerStoreをスケールアウト型ストレージとして重用するのは、旧EMC時代から「技術に裏打ちされた安全・安心なストレージ」だと評価しているからだ。その評価ポイントは大きく3つある。1つ目は「高パフォーマンス」である点だ。

「特に注目しているのが、保証値でも5:1という高いデータ削減率と、300万を超える最大IOPS値(ストレージが1秒間に処理できる読み書きの回数)です。データ削減率が高ければバックアップなどが高速化しやすくなり、IOPSが高ければアプリケーションからのアクセススピードを高められるからです」と安孫子氏は話す。

2つ目は「柔軟な拡張性」である。これについては、5機種が用意されているラインアップと、スケールアップ/スケールアウト対応、ドライブ1本から増設可能なことなどを評価しているという。

 

3つ目は「高い統合性」だ。「vSANを利用しないディスクレスのVxRailである『Dynamic Node』への対応や、PowerStoreOS 3.5で追加された『Storage Direct』が大きなポイントです。後者はバックアップサーバーを用意せずにデータをバックアップできるため、バックアップシステムのコストダウンも可能になります」と安孫子氏は話す。

これらに加え「持続的に機能・性能が向上しているコンテナベースのストレージであること」「機械学習による最適化など、常に最新テクノロジーを採用した進化が図られていること」「管理者でも削除できない『セキュアスナップショット』などのセキュリティー機能が実装されている点」も高く評価しているという。

高いパフォーマンスに加え、拡張性や統合性に優れている点や、顧客満足度でNo.1を獲得していることにも注目している

どの顧客にも提案できる「隙のないストレージ製品」

NECプラットフォームズ株式会社
ITプラットフォーム事業部門
コアシステム統括部
プロフェッショナル
古澤 謙介氏

これらの優位性に加え「保守性が高いこともPowerStoreの大きなメリットです」と述べるのは、NECプラットフォームズの古澤 謙介氏だ。

「私たちはお客様にITインフラの保守を提供していることもあり、常に実機を使いながら、各製品の保守性を確認しています。これにより、私たち自身の保守品質や保守スピードを高めるとともに、お客様への提案にもつなげています。その点、PowerStoreは保守に手間がかからず、ビジネス部門の多様な要求にも柔軟に対応できると評価しています」(古澤氏)

さらに、2020年に「PowerStoreOS 1.0」がリリースされて以来、継続的に機能拡充が進められてきたことも注目すべきポイントだと指摘する。2021年には「PowerStoreOS 2.0」、2022年には「PowerStoreOS 3.0」、2023年には「PowerStoreOS 3.5」、2024年には「PowerStoreOS 4.0」へとほぼ1年サイクルでメジャーバージョンアップされており、そのたびにデータ削減率やパフォーマンスの向上、セキュリティー機能やネットワーク機能の強化、リモートレプリケーションやセキュアスナップショットの追加などが行われてきたのだ。

「特に2024年5月にPowerStoreOS 4.0が登場してからは“隙のない製品”になりました」と古澤氏。水平統合型のストレージに求められる基本的な機能はもちろん、Storage Directのような「尖った機能」もあるため、どのような顧客に対しても提案しやすくなったという。また、PowerStoreが提供している幅広い機能をうまく活用するためのプログラムが用意されていることも、評価すべきポイントだと語る。

「こうした特徴は、お客様のDXを今後さらに前進させていく上で、大きな貢献を果たすはずです。NECでは『BluStellar(ブルーステラ)』という価値創造モデルによって、業務変革や顧客体験変革、社会とビジネスのイノベーションなどをお客様と共に推進しますが、PowerStoreはそれを担う製品の1つとして登録されています。BluStellarが志向するモダンなITインフラには、高効率であることや、高い運用性、ビジネス部門のニーズに対応できる柔軟性・拡張性が求められますが、PowerStoreはこれらすべてを満たしているからです」(安孫子氏)

データバックアップが抱える3つの課題

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)
情報通信ビジネス企画本部
情通事業開発部
ビジネスデザイン第2課
町田 勇一氏

一方、バックアップソリューションの優位性について評価するのは、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の町田 勇一 氏だ。その具体的な優位性を語る前に、町田氏はストレージのバックアップが抱える3つの課題について、次のように説明する。

「第1の課題は、バックアップにはなかなかコストがかけられないこと。理想は本番ストレージと同等機能を備えたバックアップストレージを用意し、本番ストレージからデータレプリケーションを行うことですが、そのためには本番ストレージと同等の投資をバックアップストレージにも行い、通信回線にもコストをかけなければなりません。しかし実際には、本番ストレージと同等の投資を行うことは難しいのです」(町田氏)

そのためバックアップアップストレージとしては、本番ストレージよりも安価なストレージを用意し、バックアップサーバー経由でバックアップを行うケースが一般的になっている。しかしこの方法では管理が煩雑になってしまい、これが第2の課題となっているという。

「まずバックアップサーバーを構築し、その後もバックアップサーバーの運用を継続的に行う必要があります。バックアップストレージのコストを下げることはできても、バックアップサーバーへの投資や運用コストが追加されてしまうのです」(町田氏)

そして第3の課題が、バックアップサーバーを利用する方法では、すぐにバックアップ運用を開始することが難しいという点だ。

バックアップストレージに加えてバックアップサーバーのための機器を調達する必要があり、それらの設計や設置、必要なソフトウエアのインストール、各種設定、稼働テストなどを行う必要もあるからだ。またバックアップサーバーの運用が追加されるため、その運用手順の明確化や、操作マニュアルの作成なども必要になる。つまり、データバックアップの実施を決定してから実際にその運用が始まるまで、かなりの時間がかかってしまうわけだ。

「これらの問題を解決できるのが、PowerStoreと『Dell PowerProtect Data Domain』の組み合わせであるStorage Direct Protection for Dell PowerStoreです」と町田氏は語る。

レプリケーションではバックアップストレージが高価になるが、バックアップサーバーを介した場合でも様々な問題が生じることになる

レジリエンス強化も可能なバックアップソリューション

「Dell PowerProtect Data Domainはバックアップストレージならこれ一択、といっていいほどユーザー企業からの評価が高く、一度導入すると他社製品に入れ替えずに拡張しながら使い続けるケースが圧倒的に多い製品です。一方のPowerStoreは、オールフラッシュに特化することで高いパフォーマンスを発揮し、高い圧縮率でコストを抑えた高効率な利用が可能であることが大きなポイントです。PowerStoreOSのバージョンが上がるごとに機能や性能が強化されている点も、高く評価されています」と町田氏は語る。

それではこの組み合わせによって、どのようなバックアップシステムが構築できるのか。

まずPowerStoreからDell PowerProtect Data Domainに対して、ネットワーク経由で直接バックアップすることが可能。そのためバックアップサーバーは不要になり、アプリケーションホストへの影響も極小化できる。また、PowerProtect Data Domainのインライン重複排除、圧縮により最大で65分の1のデータ削減も可能となるので「日次で150TBのデータをバックアップすることも可能です」と町田氏は指摘する。

 

さらにもう1台のDell PowerProtect Data Domainを組み合わせ、Dell PowerProtect Cyber Recoveryによって「エアギャップ」で隔離された場所に重複排除レプリケーションを行えば、さらなるレジリエンス強化も実現可能になるという。

「最近ではバックアップデータを狙うランサムウエアも増えており、データをバックアップするだけでは被害防止が難しくなっています。データの安全性を担保するには、隔離された環境における2次バックアップ及びイミュータブルデータ(変更不能なデータ)が必須なのです。そのため既にDell PowerProtect Data Domainを導入していたお客様から、Dell Cyber Recovery Solutionによるエアギャップを用いた隔離環境をつくりたい、というご依頼をいただくことも増えています」(町田氏)

バックアップサーバーが不要になる上、DD Boostによってデータ転送量を大幅に削減できる。また「エアギャップ」を介した2次バックアップを行うことで、レジリエンスのさらなる強化も可能だ

DXを加速するには「ディスアグリゲーション」が必要に

このようにPowerStoreは、DXのさらなる加速とその根幹となるデータ保護を可能にするストレージであると評価されているが、2025年4月9日にはPowerStoreOS 4.1が発表されており、その機能はさらに強化されている。これをまとめたのが図5だ。

特にAI分析の強化、ファイル管理の強化、リストア時間の大幅な短縮が目玉となる

デル・テクノロジーズ株式会社
インフラストラクチャー・ソリューションズ SE統括本部
クラウドプラットフォーム ソリューションズ
アドバイザリ システムズ エンジニア
市川 基夫氏

「その中でも特に注目していただきたいポイントが3点あります」と語るのは、デル・テクノロジーズの市川 基夫氏だ。

第1は「AI分析が強化されていること」だ。PowerStoreではこれまでもAIを活用した管理機能を提供してきたが、この度、機械学習ベースの「スマートサポート」機能が追加された。グローバルのPowerStoreのインストールベース情報を基に、問題が発生しそうな相関関係をAI分析が検出し、自動的に推奨アクションとアラートを実行、ケースの自動作成と必要に応じたプロアクティブな部品交換などを行う。このようなデル・テクノロジーズ主導のプロアクティブレスポンスによって、問題の最大79%が事前に解決されるという。

「Dell AIOps」を介した消費電力や温度、CO2排出量など、環境関連データも可視化可能になった。またパフォーマンス分析も強化されており、アプリケーションの観点からストレージの余力を評価することも容易になっている。これまでは分かりにくかった「ワークロードをストレージにオフロードした場合のパフォーマンス指標」も、把握できるようになっているのだ。

第2は「ファイル機能の強化」だ。ブロック環境と同様に、NAS環境においてもファイルシステムやNASサーバーごとに実際の削減効率や削減可能性などの可視化が可能になった。ファイルに対するQoSやセキュアスナップショット機能も加わった。また日本企業での導入事例が多いDell Unityからのファイル移行も容易になっている。

「これまでブロックストレージのみの対応だった機能が、ファイルでも利用可能になったことは重要なポイントです」と市川氏。これによって、ファイルサーバーやNASに対するより広範な顧客ニーズに、対応しやすくなるという。

そして第3が「レジリエンスの強化」である。先述のStorage Direct Protection for Dell PowerStoreがPowerStore 4.1と新たにリリースされたDell PowerProtect DD6410の組み合わせにより、データリストア速度がこれまでの最大4倍になる。

最後に市川氏は「以前は垂直統合でベンダーロックインが進んでいきましたが、これからはこれを水平方向にほぐしていく『ディスアグリゲーション(分離型アーキテクチャ)』が必要です」と指摘。デル・テクノロジーズも、ストレージを水平統合の基盤にすることで、垂直方向の分業化を進めるべきだと考えているという。

垂直統合から水平統合へ。既に2025年を迎えた今、このチャレンジを行うことで、DXの新たな道が拓けてくるはずだ。

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