日経コンピュータ 顧客満足度調査2025-2026

「ストレージ部門」No.1企業に訊く

顧客の求める「信頼性」「サポート」で高評価

マルチクラウド向け問題解決力の強化が結実

「ストレージ部門」では、デル・テクノロジーズが4年ぶりにNo.1の栄冠に輝いた。かねてからの強みであるコスト競争力に加えて、インシデントの低減やサプライチェーン管理の厳格化で製品の品質、信頼性を高めたことが評価された。課題だったサポート力も重点的に強化し、社内AIツールによる効率化や、国内顧客や本社とのコミュニケーションを強化し問題解決力を向上させてきた。これらの取り組みが今回の高得点につながった。

拡大するマルチクラウド市場で
多様な製品ラインアップが強みに

デル・テクノロジーズ株式会社
執行役員
インフラストラクチャー・ソリューションズSE統括本部
統括本部長
森山 輝彦氏

「信頼性」「サポート」「コスト」の評価項目で全社平均を上回り、ストレージ部門で首位の座を獲得したデル・テクノロジーズ(以下、デル)。同社の森山輝彦氏は「社会インフラとして求められる、3つの重要項目で高い評価を頂きました。企業のITインフラも同様の視点が重要だと思っていますので、とても光栄に感じております」と喜びの気持ちを語った。

デルのストレージ事業は、オンプレ ミスとクラウドサービスを適材適所で使い分けるマルチクラウド環境向けのシステム提供を主軸としている。森山氏は、近年は特に生成AI向けデータを保存する用途が拡大していることを指摘する。

「AIの導入効果を追求する企業では、顧客データなどの個人情報や、生産現場の品質管理データなどの活用を重要視しています。これらのデータは社外に出し難く、オンプレミス環境での管理を望む声が多く聞かれます」(森山氏)

ストレージを分散配置するニーズが高まり、ソフトウエア定義型ストレージ(SDS)、サーバー、ネットワークを統合した「ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ(HCI)」の市場が、この5年間は特に増えている。AI用途ではプロジェクトの再編に応じてデータ容量を追加・削除する機会が多いが、SDSを使うと仮想化技術を活用した柔軟な容量変更が可能になる。

様々な顧客層を対象とした多様な製品ラインアップも、同社の強みの1つだ。近年は、AI解析用の非構造化データの管理に特化したストレージ製品「PowerScale」への注目が高まり、ミッションクリティカルな用途向けのハイエンド製品「PowerMax」の利用も堅調に拡大。優れたデータ圧縮による省スペースや高速アクセスで、エンタープライズ向けのオールフラッシュストレージ「PowerStore」も人気の製品である。

インシデント低減で品質、信頼性を向上
サプライチェーン全体でセキュリティ管理

デルはストレージ製品の“ 品質”、“信頼性”を高めるために、インシデントの低減を目標としてきた。歩留まりの良い高品質のパーツを厳選し、ソフトウェアのコード開発・検証にはAI自動化ツールを採用することで、ハード・ソフトの障害が発生する確率を低く抑えている。稼働中はエラー発生やCPU使用率、データ転送速度などをモニターするテレメトリーデータを収集して、障害発生の前兆を管理者に通知し、障害発生前にAIが自動修正、修復提案する機能を提供する。こうして収集した情報を生かし、同様の環境で運用している顧客に修正用パッチを配信する機能も実施している。

製品の信頼性を高めるため、社内だけでなくパーツベンダーの製造工程を含めたサプライチェーン全体でセキュリティ管理体制を確立している。一例として「パーツの物流の過程で生じた問題を確実に検知するため、サーバーのパーツ管理で実績のある仕組みをストレージにも取り入れています」(森山氏)。また、同社はパーツや本体の製造工場を世界規模で分散しており、地域的なトラブルの影響を最小化する体制も整えている。「例えば、特定地域の工場が稼働できない時に他国の工場から出荷したこともあり、特にパンデミック系のトラブルに対する備えは万全です」(森山氏)。こうした信頼性対策の認知が進み、特に官公庁や役所など公共系の顧客拡大につながっている。

デル・テクノロジーズが提供するストレージ製品群

社内AIツールで顧客サポートを強化
国内顧客とのグローバルな交流を強化

もう1つの高評価ポイントの“ サポート”は、デルがここ数年で重点的に強化している領域だ。例えば、マルチクラウド環境で使う同社の顧客に対してストレージの分散配置に関するコンサルティングを提供し、データの保存や解析の効率性、システム全体の費用対効果を最大限に高められるよう配慮している。また、生成AI向けの非構造化データを保存する顧客に対しては、メタデータの検索機能を飛躍的に向上させており、AIデータセット管理を効率化、AI利用の精度を強化するとともに、RAGとの連携を高めている。

デル・テクノロジーズ株式会社
常務執行役員
ISGリモートサポートサービス統括本部長
木村 大氏

同社は抜本的なサポート体制の強化にも取り組んでいる。まず、顧客のシステム用途や障害のインパクトまでを認識できるようなトレーニングを実施し、日本法人のエンジニアが各案件のトラブル処理以外にも対応できるようサポートレベルを改善した。さらに「従来は人手で顧客フロントに立つL1エンジニアを支援していたL2エンジニアを、社内AIツールで代替し、技術的な問題だけでなく、顧客の契約内容や過去の履歴も含め、迅速に包括的な支援をL1に提供できるようになりました」とサポート部門を統括する木村大氏は明かす。現在はトラブル解決の精度は大幅に向上し、顧客システムの迅速な復旧につながっている。

一部の製品において営業時間外にトラブルが起きた際は、通訳を介して国外にいる外国人エンジニアが対応しているケースもある。欧州拠点では、問題解決の期待値が他国よりも高い日本企業向けに日本人エンジニアチームを立ち上げるなど、営業時間外のサポート向上にも力を注ぐ。また、「複雑な障害対応時には、海外拠点の製品エンジニアと協業が必要になるケースもあります。日本の顧客の期待値に合わせた迅速な障害復旧ができるよう、製品エンジニア向けのサポートガイドラインを作成し、エンジニアとのコミュニケーションが円滑に進むよう配慮しました」(木村氏)。最近は、米国本社の責任者と国内顧客が直接コミュニケーションを取れる機会を増やしている。「問題改善に向けて率直な意見を交換することで、双方の歩み寄りを醸成できる効果を感じています」(木村氏)

今後は “運用性”の強化に注力し、さらにストレージ製品の魅力を高めていく考えだ。利用中に容量を追加して新しい仮想マシンを作るなど、異なるハイパーバイザーの利用が多い同社のストレージ製品は、全モデルで稼働を止めずに機能を追加可能になっている。顧客の利用用途に合わせてシステム環境の変更を柔軟に設定できる新ツール「Dell Automation Platform」を5月に発表し、提供を開始している。インフラ環境構築の経験が十分でない場合でも、数クリックの簡単操作な操作で、プライベートクラウド環境の構築、変更、再設定ができる。「顧客からは『まさにこうした機能の登場を待っていた』との声が寄せられており、非常に手応えを感じています」(森山氏)

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