戸田 覚

こんにちは、戸田 覚です。最近「AI PC」という言葉を耳にすることが増えてきました。でも実際にそれが何なのか、まだピンときていない方も多いようです。2025年10月に開催されたイベント「Dell Technologies Forum」では、「AI PCと普通のPCってどう違うんですか?」とか「AI PCで何ができるのかもっと知りたいです」など、AI PCについて理解を深めたいと考えている来場者が目立ちました。そこでこの記事では、AI PCの世界を分かりやすく解説したいと思います。AI PCの世界を一緒に探っていきましょう。

戸田 覚氏株式会社アバンギャルド、株式会社戸田覚事務所代表取締役。著書150冊以上、連載月間30本以上。IT関連の数多くの著作に加え「ガジェット【辛口】点数評価」「戸田覚Biz」といったYouTubeチャンネルでも多くのファンを獲得している

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最近よく耳にする「AI PC」とは何か

それではまず、そもそも「AI PC」とは何なのか、基本的な内容から解説していきます。

AI PCとは、AI処理専用のチップである「NPU」を搭載した、新しいタイプのPCです。PCの中で実際の処理を行っているプロセッサーとしては、ほかにも「CPU」や「GPU」というものがあります。CPUは「Central Processing Unit」の略で、コンピュータがこの世に登場してから長い間、処理の中核を担ってきました。GPUは「Graphics Processing Unit」の略で、もともとは画像処理に特化したものでしたが、並列処理が得意であるため近年ではAIの処理や科学技術計算など、画像処理以外の分野でも広く活躍しています。

ではNPUとは何か。これは「Neural Processing Unit」の略で、「AI処理に特化したプロセッサー」のこと。そのためAIの学習や推論に必要な計算を、CPUやGPUよりも高速かつ低消費電力で実行できます。つまりAI PCはこのNPUを搭載することで、画像処理や音声処理、自然言語処理などを、PC単体で高速にこなせるようになるというわけですね。

具体的にいうと、例えばユーザーが音声で話した内容をリアルタイムで文字起こしする、といったことを、PC内で完結した形で実行できます。従来はAIというと、クラウド型で提供されたサービスを使うことが一般的だったため、PCとクラウドの間でデータのやり取りを行う必要がありました。しかしAI PCならその必要がないため、AIによるしっかりとした業務サポートを、スピーディに実行することが可能になります。

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AI PCが重要である「3つの理由」とは

私自身、AI PCの登場は、AIの進歩の流れの中で極めて重要なトピックの1つだと考えています。そして実際に、AI PCに注目されている方も増えています。ではなぜ今、AI PCに期待が集まっているのでしょうか。大きく3つの理由があります。

第1は業務効率の向上に大きく寄与すること。AIが議事録を自動で作成したり、メールの下書きを提案してくれたりすることで、作業時間が大幅に短縮されます。もちろんクラウド型のサービスでも同じことはできますが、それを手元のPCの中だけで行うことができるので、待ち時間なしで利用できるのです。

第2はセキュリティーが強化されること。クラウドに頼ったAI活用ではクラウドにデータを送る必要があるため、どうしても情報漏えいのリスクがあります。しかし手元のPCだけでAI処理を行えば、このような不安を解消しやすくなります。

そして第3が、通信環境に左右されないことです。AI PCならオフラインでもAIが使えるため、通信環境がよくない場所や、そもそも通信できない場所でも問題ありません。

ただし一言でAI PCといっても、ベンダーごとに様々な定義が行われているため「ちょっと分かりにくいな」という側面があります。このような状況に一石を投じたのが、マイクロソフトが提唱する「Copilot+ PC」です。

これは「AIをローカルで快適に使うにはこれだけのスペックが欲しいよね」といったことを、明確に定義したものです。必要なNPU性能やメモリ容量、ストレージ容量が明確に規定されており、Copilot+ PCを名乗るにはこれらすべてを満たす必要があります。

そしてこのようなAI PCを選択することで、過去の画面を自動的に記憶して必要なときに瞬時に検索して表示できる「リコール」や、オンライン会議などの音声をリアルタイムで翻訳・字幕化できる「ライブ キャプション」、様々な効果で映像の質を劇的に向上できる「Windowsスタジオ エフェクト」といった、AIを活用した様々なWindows機能を活用できるようになります。

こういった機能を使うことで、仕事はもっと楽に進められるようになるはずです。AI PCは単なる「高性能PC」ではなく、文字通り仕事の「副操縦士(Copilot)」になり得る存在なのです。

これを体験すれば間違いなく「これはすごい」と手放せなくなるはずです。ローカルで快適にAIを動かせるPCの登場は、Eメールが登場したときの10倍くらいの、凄まじいインパクトをもたらすと考えています。

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製品選定で着目すべき3つのポイント

それでは実際に「使えるAI PC」を選ぶには、どのようなポイントに着目すればいいのでしょうか。大きく3つのポイントがあります。

まずは何といっても「NPUの性能」です。先程も申し上げた通り、これはAI処理に特化したプロセッサーであり、SLMと呼ばれる小規模言語モデルや、TeamsやZoomといった背景処理のような、持続的なAI処理に有効です。SLMは「Small Language Model(小規模言語モデル)」の略で、ChatGPTなどの大規模言語モデル(LLM)に対して、比較的小規模なAIモデルのことを指します。

それではなぜ「持続的なAI処理に有効」なのでしょうか。NPUはGPUに比べて電力効率が高いため、ノートPCでずっとAIを使い続けてもバッテリー駆動を長時間行えるからです。例えばTeamsやZoomで背景処理をONにしたままでも、バッテリー消費をそれほど気にしなくていいわけです。

AI PCの“コア”ともいえるこの部分は、AI PCの選定時に必ずチェックしたいポイントです。インテル® Core™ Ultra プロセッサーでは、40TOPS以上のNPU性能を実現しており、十分な能力があるといえます。もちろんCopilot+ PCの要件も満たしています。なおTOPSとは「Tera Operations Per Second」の略で、1TOPSは「1秒間に1兆回の演算を行える」ことを意味します。つまり40TOPSは1秒間に40兆回の演算が可能なわけです。驚くべき処理能力ですよね。

第2は、NPUだけではなく、CPUやGPUも組み合わせたトータルな性能です。インテル® Core™ Ultra プロセッサーシリーズはNPUとCPU、GPUの全体で、120TOPS以上の性能を実現しています。これもすごい。ではなぜこれら3種類のプロセッサーを実装しているのでしょうか。それは処理内容によって、最適なプロセッサーが異なるからです。

まず、AIの推論を行うには、最も電力効率が高く推論を高速処理できるNPUが適しています。その一方で学習や科学計算など、大規模な並列処理を必要とするタスクを高速処理するにはGPUが適しています。ただしGPUには、消費電力が極めて大きいという問題があります。つまり大規模演算を必要としないAI処理をGPUで行うと、必要以上の電力を消費するというわけです。さらに、一般的なアプリケーションやOSそのものの処理は、汎用性の高いCPUで処理する必要があります。

つまりAI PCが最適な状態で動くには、これら3種類のプロセッサーを最適な形で使用することが重要になるわけです。実際にインテルでは独立系のソフトウエアベンダーと協業しており、2024年には300以上のAI PC向けアプリケーションがリリースされています。これらのアプリケーションのCPU/GPU/NPUの使用割合を見ると、35%/40%/25%になっていると伺っています。つまりバランスが重要なのですね。

そして第3が、使いやすさとセキュリティーの両立です。インテルは「AI PCは優れたPCであるべき」だと考えており、使用するすべてのアプリケーションが快適に動作すること、周辺機器との接続性に問題がないこと、そしてサイバー攻撃に強いことを重視しているといいます。これなら安心して採用できますね。

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私が推したいAI PCはこれ

これらの3つの条件を満たしたAI PCとして、私がぜひ推したいのが、今年1月7日に発売された「Dell Pro 13 Premium」です。推しのポイントは大きく4点あります。それを以下に列挙しましょう。

戸田氏が推したいという「Dell Pro 13 Premium」。その理由は大きく4点あるという

1.Copilot+ PCの条件を満たすべく、インテルの最新プロセッサーである「200Vシリーズ」を搭載

200Vシリーズは、先程紹介したインテル® Core™ Ultra プロセッサーです。薄型・軽量ノート向けに特化しており、当然ながらマイクロソフトがCopilot+ PCで定めている「40TOPS」以上のNPU性能を満たしています。またバッテリーの持続時間が約21.2時間と格段に長いことや、2つの冷却ファンの搭載で前世代製品比20%エアフローが向上し、静かに動作することも見逃せません。これだけの持続時間があれば、1泊2日の出張でも充電する必要はなさそうです。

2.プレミアムの名にふさわしい体験

Dell Pro 13 Premiumで注目したいのは、プロセッサー由来の性能や電力効率だけではありません。デル・テクノロジーズ製品ならではのクオリティの高さも大きな魅力です。

その1つが、コンシューマー製品やフラッグシップモデルで採用されてきた「ゼロラティスキーボード」の採用です。これは、キーとキーとの隙間を極限までなくしたキーボードであり、限られたスペースでも大きなキーキャップを確保できるため、スムーズにタイピングすることができます。また見た目も洗練されており、実にスタイリッシュです。

キーとキーとの隙間を極限までなくしたゼロラティスキーボード

また、Teams/Zoomに対応している「コラボレーションタッチパッド」も搭載されています。これによって会議中のミュート/アンミュートや資料共有を、マウスで画面を操作することなくボタン1つで簡単に行えます。

3.環境への配慮と耐久性

Dell Pro 13 Premiumは、シャーシに90%の再生マグネシウムを使いながら、1.07kgの軽量化と、厳格なMIL-STD-810Hテスト(米軍調達規格)も取得した高い耐久性を実現しています。また世界で初めての「モジュール型USB Type-C」を採用していることも注目してほしいポイントです。

Type-Cポートは映像・データの転送や給電などで非常に頻繁に抜き差しされるため、故障する危険性が高いポートだといえます。これを、マザーボードにはんだ付けするのではなくネジ止めにすることで、標準的なポートと比較して耐ねじれ性能が4倍、耐衝撃性能が33倍となっているのです。もし故障して修理する必要が生じても、マザーボードすべてではなくこのモジュールだけを交換できます。サステナビリティに優れた設計だといえるでしょう。

4.周辺機器やサポートまでカバーしたトータルソリューション

デル・テクノロジーズはPC本体だけではなく、純正の周辺機器も幅広くラインアップしています。複数の周辺機器を管理するためのアプリケーションも備わっており、設定変更やファームウエアのアップデートも一括で管理できます。また注目したいのは機器に加えて、サービスも手厚い点です。「ワークフォースペルソナ アセスメントサービス for Microsoft 365 & Copilot」のようなAI導入支援のコンサルティングや、「ProSupport」といった保守サービスも充実しています。

その中には、ハードウエアのオンサイト修理に加えて、Office 365に含まれるソフトウエアのトラブルシューティングや、24時間365日サポートエンジニアやエキスパートにアクセスできる「エキスパートサポート」も提供されています。

さらに、デル・テクノロジーズはグローバルに展開する企業ならではの強みも持っています。世界規模のサプライチェーンと調達力があるため、国内外の拠点にまたがる導入でも、スムーズかつ安定した製品供給が可能です。実際、ほかの取材でも「海外拠点でも同じモデルを揃えられるのはありがたい」といった声を聞くことがあります。AI PCのように業務効率に直結するデバイスだからこそ、こうしたグローバルな対応力は大きな安心材料になると思います。

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AI PCは間違いなく大きな変革をもたらす

ここまで、AI PCの基本からその重要性、選定の際の着目ポイント、私の「推しAI PC」まで語ってきました。ここ数年間のAIの進歩は世の中を大きく変えつつありますが、その中でもAI PCのように「ローカルでAIが使えるデバイス」の登場は、今後間違いなく大きな変革をもたらすと考えています。

最適なAI PCを選択して業務の飛躍的な効率化を図っていく上で、この記事が参考になれば幸いです。ありがとうございました。

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