- 生成AI/ハイブリッドクラウド/日立ヴァンタラ
生成AIの利活用で
求められる次世代ストレージ
企業において自社の業務に即した生成AI基盤の構築が目指される中、必要な大量のデータをパブリッククラウドではなく、オンプレミス環境で管理・運用する「オンプレ回帰」に向けた動きが活性化している。日立ヴァンタラが提供する「Hitachi Virtual Storage Platform One 2U Block Appliance」は、求められる「効率性」「信頼性」「環境配慮」の要件をトータルに満たすストレージ製品だ。(聞き手:日経BP総合研究所 エグゼクティブフェロー 望月洋介)
生成AI基盤の構築が進む中
「オンプレ回帰」への指向が顕著
ストレージ事業本部ハードウェア設計部 担当部長
Data Foundation Studioストレージアーキテクト
保坂 文昭 氏
望月 生成AIの利活用が進む状況にあって、あらゆる企業で急増するデータへの対応が求められています。そうした中で、各企業が直面している課題とはどのようなものでしょうか。
保坂 特に米国の状況などを見ると、「クラウドリパトリエーション」や「デクラウド」といった言葉が一般化しつつあります。要するにこれは、これまでクラウド上に保持してきた大量のデータの「オンプレ回帰する」ことを指します。背景には、クラウド上でのデータ運用をめぐるセキュリティ上の脅威や管理コストの増大、さらには障害発生時の対処の困難さなどがあり、経済性や運用効率を考慮した結果、オンプレミスでのデータ管理・運用を検討する動きが見られるのです。
一方、企業内で自社の業務に特化した生成AI基盤を構築する上でも、複数のクラウドからオンプレ側にデータを集約していこうという傾向も見られます。そうした中で、蓄積した大量のデータを効率よく保持・活用するとともに、堅牢な保護を実現しながら、省電力、省資源化など環境にも配慮したシステムを目指す取り組みが顕著になっています。
LZMAの圧縮処理をFPGAにオフロード
性能低下なく75%の容量を削減
望月 日立ヴァンタラは、国内で磨き上げた高信頼なものづくり技術と、グローバルでの豊富な事例に基づく顧客の声、海外の最先端技術をいち早く反映したエンタープライズ・ストレージ製品を提供し、世界的な市場で高い評価を得ています。そのようなオンプレ回帰の動向を見据えて、どのようなソリューションを提供していますか。
保坂 当社ではかねてより、データインフラの専門会社として、コアストレージを軸に、「Hitachi iQ」などの生成AI基盤や、SDSを活用したハイブリッド環境などに加えて、それらを統合的にマネジメントするためのソリューションも含めて提案しています。特に、2024年には「Hitachi Virtual Storage Platform One 2U Block Appliance」(以下、VSP One)というミッドレンジストレージ製品をリリース。お客様のオンプレ回帰のニーズに対応しています。
望月 VSP Oneの具体的な特徴について教えてください。
保坂 大きくは3点が挙げられます。すなわち、「効率性」「信頼性」「環境配慮」です。まず効率性ですが、データ圧縮機能を常時ONにして、ストレージの容量効率を高め、データの保持コストを低減します。ポイントは、独自ハードウェアを用いてFPGAへとオフロードする形で、LZMAによる圧縮処理を行い、CPU性能を落とすことなく高い圧縮率を実現しています。これにより、平均75%の容量削減が可能となり、ストレージコストを大幅に低減できます。
再生部材の積極利用と省電力化で
環境配慮型の製品を実現
望月 信頼性は、セキュリティ対策にかかわる部分でしょうか。
保坂 はい、おっしゃる通りです。特に近年では、ランサムウェアの脅威がさらに増大しています。これに対しVSP Oneでは、スナップショット機能による差分データでのバックアップの取得を行います。これにより有事の際には、スナップショットを取得した任意の時点にシステムを復旧させることができます。最大1024世代のバックアップが採れ、リストアに要する時間もせいぜい数秒程度で済むので、万一のランサムウェア感染による影響を最小化できます。
望月 最近ではそうしたバックアップデータを攻撃して、復旧を妨げるようなランサムウェアも登場していますが。
保坂 それについてもVSP Oneは、ストレージ管理者の権限を有していても、データの変更・削除が行えないような領域を設けて、そこにバックアップを取得することで対策にかかわる堅牢性の担保に万全を期しています。
望月 なるほど。ありがとうございます。それでは3点目の環境配慮はどうでしょう。
保坂 まず廃棄物を最小限に抑えるという視点では、当社からの保守対応期間を従来の5年から7年に延ばしています。また、サーキュラーエコノミーへの取り組みの観点からは、回収した製品から部品を取り出して、選別・試験したものを新品と同等の機能・性能を満たす部品として再利用するといった対応も行っています。これに関し、もともと製品には再生材を用いています。
具体的には、例えば製品のプラスチック部品には、再生プラスチックを利用。ストレージ製品に求められる難燃性や長期耐久性の担保を、日立の独自技術によってクリアしているというところが重要なポイントです。また製品の消費電力についても、夜間にファンの回転数を省電力モードに移行する機能などにより、旧機種比で最大66%の削減を実現しています。
望月 特に7年間という長期保守の実現はメーカーとしては非常に困難な対応ではないでしょうか。
保坂 それは、日立ヴァンタラがハードウェアからOSに至るまで、ストレージ製品を自社で一貫して設計・製造する体制を整えているからこそ実現できていると自負しています。
望月 企業の間で自社の業務に即した生成AI環境の社内での構築が取り組まれ、オンプレ回帰が進む今、効率性、信頼性、環境配慮という3つの要件を満たすストレージ製品として、まさにVSP Oneには大いに注目が集まるものと言えますね。
