- 生成AI/PKUTECH
生成AIの活用によって実現する
COBOL資産のピュアJavaへの変換
基幹システムで稼働し続けてきたCOBOL資産のモダナイゼーションがいよいよ待ったなしの状況だ。仕様書がなく、開発に当たるエンジニアもリタイアしてしまっている状況にあって、システムのブラックボックス化が進んでいる。そこで期待されているのが生成AIを活用した既存COBOL資産の正確な把握と可視化、そしてピュアJavaへの変換である。PKUTECHが提供する「Egeria-NextCode」がそうした要請に応える(聞き手:日経BP総合研究所 フェロー 桔梗原 富夫)。
COBOLのJavaへのマイグレーションが
多くの企業にとって喫緊の課題に
代表取締役社長
劉 甚秋 氏
桔梗原 現在多くの基幹システムで現役として活躍しているCOBOL資産。今日の技術環境の変化に伴って、いくつかの課題も浮き彫りになってきており、モダナイゼーションに着手、あるいは検討している企業も多い。先日、IBMの「watsonx」を活用してCOBOL資産のJavaへのマイグレーションを支援するAIソリューション「Egeria-NextCode」の提供がPKUTECHによって発表されました。まずは、自社について簡単にご紹介ください。
劉 PKUTECHは2002年の8月に設立された企業で、主にJavaシステムの開発を銀行や保険といった金融業界向けに行ってきました。2012年には、DXおよびAIの分野への投資を強化し、AIのドクター数名を採用。さまざまなAIテクノロジー、ソリューションを開発し、その中で三菱総研さんとの共同研究も経験しています。現在はAIの基礎研究を行うドクターが11名在籍しているほか、AIの部門の規模が60~70名程度にまで拡大。AI関連事業の売上は、現在では会社全体の約3割を占めています。
COBOL資産のピュアJavaへの変換を中心に
マイグレーションの全工程を支援
桔梗原 先ごろPKUTECHが発表した、Egeria-NextCodeの内容についてご紹介ください。
劉 Egeria-NextCodeでは、現在のCOBOLのソースコードから仕様書を作成できます。実際、長期にわたり利用されてきたCOBOL資産については、仕様書が残っていない、あるいはそもそも仕様書を作成していないというケースが多いのです。また、資産分析を行い、現状のシステムの中で実際には使われていない関数や手続きを洗い出すことができるというのもEgeria-NextCodeの特徴です。これより既存資産のマイグレーションや再構築を無駄なく、最適な形で行えるよう支援しているのです。
さらに、一般にCOBOLからJavaへの変換にあたり利用されてきた、従来のルールベースの変換ツールでは、自動生成されたコードをそのまま使うことができず、結果、人手によって多くの修正を加える必要がありました。具体的には、COBOLの手続き型プログラムの特徴を持ったままのJavaコード、俗に“JaBOL”と揶揄されるJavaプログラムが生成されてしまうわけです。これに対しEgeria-NextCodeでは、生成AIの技術を用いたCOBOLから97.4%という高度な精度を持ったピュアJavaへの変換を実現します。
加えてEgeria-NextCodeでは、単体テストの自動化もサポートしています。こうした一連の仕組みにより、高品質でスピーディなCOBOL資産のマイグレーションを実現することができます。それはまさに、業界に大きな変革をもたらすソリューションであると当社では自負しています。
桔梗原 コードの自動変換については、watsonx Code Assistantが担っているということですね。
劉 そうです。ただしLLM(大規模言語モデル)については、お客様の具体的な課題や業務に合わせて、細かくパラメータやデータを修正したり、モデルを作成したりなど、さまざまな工夫をPUKTECHで行っています。これは、当社のAIドクター数名が半年以上の時間をかけて仕上げたものです。そうした意味では、こうした対応も我々のAIドクターの有する高度な技術力があればこそ実現できたものだと考えます。
桔梗原 生成AIの技術自体は、IBMに限らず他ベンダーからもさまざまリリースされていますが、特にIBMの技術を選んだのはなぜですか。
劉 それについてPKUTECHでは、IBMとの協業を前提にwatsonxを使っているのではなく、あくまでも当社のAIドクターが他ベンダーのさまざまな生成AIを綿密に比較・評価し、実現可能な精度やコストパフォーマンスといった観点から、watsonxが最適であると判断しました。さらに当社では、watsonxで提供されているモデルをそのまま使っているわけではなく、すでに述べたようにオーダーメイトのかたちで手を加えて利用しているわけですが、それに当たってIBMからはwatsonxの製品サポートが得られることも、非常に大きなアドバンテージだったといえます。
COBOL-Java変換にとどまらず
RPAシナリオの自動生成にも着手
桔梗原 Egeria-NextCodeの今後の展開についてお聞かせください。
劉 こうした生成AIを活用した開発の効率化・自動化は、COBOL-Java変換のみの領域に限定されることなく実現していけると考えています。事実、先ごろ当社ではRPAであるWinActorのシナリオの自動生成をAIで行う仕組みも発表しています。また最近では、UiPathなどの資産をPower Automateへと移行したいという相談も金融機関などから受けており、そうした要望にも生成AIの活用で応えていきたいと考えています。
桔梗原 COBOL資産のマイグレーションに頭を悩ませている企業は、生成AIの活用により大きな進化を遂げているCOBOL-Javaのコンバージョンツールの新たな世界に、ぜひ目を向けてみてはいかがでしょうか。
