- AI×HR/HRBrain
AIの活用によってさらに加速する
企業のHR領域にかかわる業務変革
タレントマネジメントなどHR領域の高度化に向け、人事データをフル活用する動きが活性化している。今日ではそこに生成AIを取り込んで、さらなる業務効率と戦略人事のレベルアップにより「新しい人事」を目指す取り組みも始まっている。企業の人事業務を支援するトータルソリューション「HRBrain」が、そうしたAI時代を見据えて進化を遂げている(聞き手:日経BP総合研究所 上席研究員 渡辺享靖)。
過去データだけではなく
未来データも含めた一元管理
事業統括本部 執行役員
エンタープライズセールス部
部長
中野 太朗 氏
渡辺 今日では、HRの領域における業務効率化や戦略の高度化を推進すべく、生成AIの活用が進んでいます。それに当たり、企業はどのような課題に直面しているとお考えですか。
中野 AIを活用していく上で重要なのは、HRの領域に限らず、データ基盤がしっかりと整備されていることだといえます。つまり、あらゆる人事データが、常に一元的に収集・管理され、適切に運用されている状態が維持されていなければ、AIが適切なアウトプットをもたらすことができません。
渡辺 具体的にはどのようなデータが必要ですか。
中野 例えば氏名、年齢、性別といった基本情報に加え家族情報や、その人が持つスキルや資格、異動履歴や研修履歴、適正検査の結果など、個人に紐づくすべてのデータ。これはいわば過去データであり、「ハードデータ」とも呼ばれます。それに加えて、個人や組織に対し行ったサーベイの結果や上司との1on1ミーティングなどによって得られた、その人が組織に何を求め、どう成長していきたいと考えているか、それに対する現時点での実感値などを含む未来データ、すなわち「ソフトデータ」もあわせて、一元的に管理されていることが重要です。これらすべてのデータの項目が、見たいときに、見たい形で、いつでも抽出できるような運用が実現されている必要があります。
継続的な業務の実践を支え得る
システム運用体制の構築が必須
渡辺 そうした環境を維持するには、しかるべき運用体制も必要ですね。
中野 おっしゃる通りです。今述べたようなハードデータ、ソフトデータを含む、あらゆる人事データがHRTechのシステムで管理され、しかもそれらが常に最新の状態に維持されていなければなりません。これまで紙やExcelで保持していたデータをシステム的に管理できる形を整えることで、例えばタレントマネジメント業務の効率化などによって新たな時間が創出されるといったメリットがもたらされます。しかしその一方で、当然、システムを適切に運用し、分析の作業に要する工数が膨らんでいくことになります。したがって、システムの活用により課題を解決するためには、導入に当たって、システムの機能面などの要件を満たすかどうかを検討するのと同等の労力をかけて、最適なシステム運用体制を築き上げていくことが肝要だといえます。
渡辺 なるほど、そうですね。実際にデータの活用を実践していく上での留意点とはどのようなものでしょう。
中野 仮に人事データを活用して、適切な人材配置を検討するケースを考えてみてください。それに当たっては、例えば論理的思考や問題解決力、リーダーシップ、あるいは海外勤務経験や資格など、人材側とポストの双方で統一化されたスキルの定義が必要です。両者の適合率を参考に配置検討を行うという方法が効率的であり、そうしたアプローチをどう実現していくかということも重要な課題になるものといえます。
渡辺 今ご紹介いただいたようないくつかの課題の解消を、HRBrainではどのように支援していますか。
中野 それに対する端的な答えは、すでに述べたハードデータとソフトデータを含むすべての人事データを一元管理できる基盤を整備し、その上に、タレントマネジメントやスキル管理、360度評価、診断サーベイ、さらに労務管理や人事評価などの仕組みをワンプラットフォームで提供することで、企業の人事DXを支援している点にあります。
渡辺 つまりシステム的には、統合化されたデータ基盤をベースに、人事領域全般を網羅したシステムを提供しているということですね。では、それらシステムの運用にかかわる負荷の問題についてはいかがでしょうか。
中野 それについては運用支援サービスなどを用意しています。システム上にしっかりデータを集めた上で、そのデータをどう活用していくかについての戦略検討から運用実行までを一気通貫でサポートできる体制を、カスタマーサクセスやデータアナリスト、人事コンサルタントなど、専門的な知見を持った当社の人員を配備して整えています。これにより、運用代行に加えて、離職予兆分析やキャリア研修など、企業の人事領域の多様なニーズに応えています。
AIがHR領域にもたらす
新たな付加価値とは
渡辺 HRBrainが提供しているソリューションに実装されているAI関連の新機能についてもお聞かせください。
中野 「人事に、AIというもう1つの脳を」というキャッチフレーズで取り組みを加速させているところです。例えば、360度評価の機能では、人材データベースに基づいて行った360度評価のスコアをもとに、AIが自動診断を行って、対象となる個人について、業務上留意すべき点はなにか、今後成長していくためにはどういうことが必要かなど、さまざまなフィードバックを伝えてくれます。
また人事評価の領域では、AIが一人ひとりの目標設定をレビューし、具体性や定量性を明確にするということを上長に代わって実施してくれる機能を現在開発中です。これにより目標設計も効率的に進めることができるわけです。
加えて現在開発を進めているのが、Chat型AIサポートの機能です。例えば、あるポストが空いたときに、「最適な候補者を5名あげてほしい」とチャット形式で伝えれば、HRBrain上のデータなど、社内のデータを検索、精査して候補者をあげてくれるなど、ChatGPTやGeminiと同様の使い勝手や機能を人事の領域にもたらします。
渡辺 すでにHRTechの分野でも、そうしたかたちでAI活用が現実のものとなっているわけですね。今後の展開が大いに期待されます。
