- 生成AI活用|レッドハット
Private AIによって拓かれる
企業における生成AI活用の可能性
生成AIの活用が企業の業務効率化やイノベーションの源泉になりつつある。現状、国内のLLMの利用形態としては、多くの場合、大手クラウドベンダーが提供する「Public AI」が利用されているが、本格的な活用に際して機密情報の取り扱いなどの課題も浮上する。そこで注目されるのが、より柔軟に企業のAIニーズを満たすことができる「Private AI」だ。Private AIをめぐるRed HatのAIプラットフォーム戦略について解説する。(聞き手:日経BP総合研究所 フェロー 桔梗原富夫)
データを社内環境に格納できる
Private AIへの注目が高まる
テクニカルセールス本部
クラウドサービス スペシャリストソリューションアーキテクト部
スペシャルソリューションアーキテクト
石川 純平 氏
桔梗原 生成AIの活用が企業の間に浸透し、もはや試す段階から業務利用する段階へとシフトしてきているものといえます。現状、利用形態として多いのは、大手クラウドベンダーのパブリッククラウドも生成AIサービス(Public AI)を使うというパターンだと思いますが、今後の本格的な活用に向けては、機密情報の取り扱いなどさまざまな課題が指摘される中、そうした課題解消に向け、今、Private AIへの注目が高まっていますね。
石川 MetaのLlamaやフランスのスタートアップ企業が提供するMistral、IBMのGraniteなど、さまざまLLMのモデルがオープン化している状況にあって、それらを自社のサーバーの上にホストしてプライベートの環境で使っていくというのがPrivate AIのアプローチです。Public AIと違い、利用に際してサーバーを調達するなどの初期投資が必要であるものの、AIの利用自体にはコストがかからないだけでなく、何よりもデータを自社内の環境の中に格納できる点が大きなメリットだといえます。企業では今後、Public AIとPrivate AIを、用途に合わせて併用していくかたちになると思います。
桔梗原 両者の使い分け、特にPrivate AIの活用が適しているケースについて、具体的に教えてください。
石川 3つの観点があると考えます。「データ」「ネットワーク」そして「サービスレベル」です。まずデータについて、企業ではその保有する顧客情報などの機密情報をパブリックな環境に出しづらく、すでに述べたように自社内の環境に格納しておきたいと考えるケースが多いはずです。そうしたデータを扱う際にはPrivate AIを活用することになると思います。またネットワークについては、企業の中にはクラウドにつなぐことができないシステムも多いはずです。特に行政や防衛、製造、医療といった領域では、そうしたシステムも多く抱えていますが、その他の業界にもあてはまる話だと思います。そうした際には、Private AIの活用が適していると考えます。さらにサービスレベルについては、Public AIの場合、リージョンによって使えるモデルに違いがあったり、モデルのアップデートで急に仕様が変わったり、さらには現状のモデルが廃止されてしまうリスクなども考えられます。それによるビジネスへのインパクトを避けたいケースでは、当然、モデルの選択や継続利用にかかわる運用を自社でコントロールできるPrivate AIの利用が望まれます。
任意のオープンソースLLMを
選択できるプラットフォーム
桔梗原 今後企業では、Private AIをニーズに応じて適材適所使っていくことになるということですが、Red Hatではどのようなソリューションを提供していますか。
石川 具体的には、「Red Hat Enterprise Linux AI」(RHEL AI)と「Red Hat OpenShift AI」というプロダクトを用意しています。これらのプロダクトを使うことで、オープンソースで提供されている任意のLLMをその上で動かし、Private AIを実現していくことができます。ポイントは、「Trust(信頼性)」「Choice(柔軟性)」「Consistency(一貫性)」をそれぞれ担保できるということです。システムの本番環境で安全にAIを使い、最先端のAIの技術、モデルをその上で動かす。オンプレミスはもちろん、ハイブリッドクラウドの環境での利用にも対応しています。
桔梗原 製品の内容についてご紹介ください。
石川 まずEnterprise Linux AIについては、その名称が示す通り、ベースとなっているのがRed Hatの基幹プロダクトである「Red Hat Enterprise Linux」。LLMには、Apache 2.0ライセンスで提供され、IBMとRed Hatが一緒にオープンソース化しているGraniteが提供されています。そのほか、LLMをチューニングするためのツールである「InstructLab」というオープンソースプロジェクトのプロダクトもそこに含まれています。またGPUを管理するデバイスドライバも同梱され、AIの推論やチューニングをすぐに開始できます。
オープンソースに大きな強みを持つ
Red Hatならではのメリットを提供
石川 OpenShift AIについては、コンテナプラットフォームのOpenShiftの上で動かすプロダクトで、先ほどの RHEL AIよりも、より広範な機能を提供しています。例えばLLMのサービングに関して、今日デファクトになりつつある「vLLM」というオープンソースのプロジェクトを提供。こちらを使ってオープンソース化されている任意のLLMを即座にホストできたり、モデルの監視を行うことも可能です。また学習の支援についても、データサイエンティストが多用する「Jupyter」といったツール、あるいは複数のGPUを使ってモデルの学習やファインチューニングを行う分散学習のためのオープンソースのツール群も包含しており、AIのライフサイクル全体をサポートできるようになっています。
桔梗原 なるほど。今後の技術動向や環境変化、ニーズに応じて、オープンソースのLLMを切り替えたり、NVIDIAのGPUだけでなく、IntelやAMDのデバイスを稼働環境として選択できるようになっていると。そうした視点を踏まえた、オープンソースの領域で圧倒的な強みを持つRed Hatのソリューションは、まさに今後生成AIの本格的なビジネス利用を目指す企業にとって心強い味方だといえますね。

