- 次世代ERP|IFSジャパン/ワークスアプリケーションズ
ERPベンダー2社の戦略的連携で描く
コンポーザブルERPの新たな可能性
ERPの活用におけるアドオン開発を最小化するアプローチとして注目される「コンポーザブルERP」。これに関し業務特化型で製品をグローバルな市場に向けて提供してきたIFSと、日本型の業務標準化に大きな強みを持つワークスアプリケーションズの両社が戦略的業務提携を先ごろ発表した。これにより、両社のERPが標準で接続されるなど、製造業などの日本企業に対し、双方の強みを活かした新たな価値が提供されることになる。(聞き手:日経BP 総合研究所 主席研究員 小林 暢子)
グローバル標準への準拠だけではなく
ローカルな要件にもフィットするERP
プリセールス本部
本部長
竹中 康高 氏
小林 近未来のERPの動向をどうご覧になっているか、ご意見をお聞かせください。
竹中 私自身、ERP製品をおよそ四半世紀にわたって日本の企業様に展開しながら、その変遷を見てきた立場です。もともとERP自体は、業務をグローバルスタンダードに合わせて標準化し、内部統制などコンプライアンス上の要件を満たすべく、いかに業務データを正しく入力し、適正にオペレーションして、監査に耐え得る健全な経営に役立てるかを主眼に導入されてきました。これに対し近年では、グローバルスタンダードへの準拠にとどまらず、特に日本ならではの業務環境に目配りして、よりローカルな要件にもフィットできる機能の提供が大きな差別化になってきているというのが製品のトレンドになってきています。
外村 そうですね。グローバルスタンダードを無理矢理適用するのではなく、日本企業が強みとするローカルな文化を反映した機能を搭載して、それをタイムリーに製品として展開していく。その活用によりユーザー企業は、データ活用やAIによる自動化などを進めながら、時代の変化に合わせた組織運営、業務の実践を実現していこうとする指向性が顕著に見られます。
「脱アドオン」への有効な手段となる
「コンポーザブルERP」に注目が集まる
プロダクトマネジメント本部
本部長
外村 卓也 氏
小林 そうした動向を受けて、ERPの活用をめぐり「脱アドオン」が重要な視点となり、複数の機能部品を必要に応じて疎結合によって組み合わせていく「コンポーザブルERP」といったキーワードも取り沙汰されていますね。
竹中 米中の貿易摩擦やコロナ禍を経て、ロシア・ウクライナ戦争のような国際紛争などさまざまな地政学的要因により、サプライチェーンに大きな影響が及ぶ状況にあって、例えば在庫を悪とするかつての考え方は、在庫を持っていたほうが有利であるという考え方に変化してきました。要するに企業の市場における戦い方が変わってきたわけで、そうした変化に対しては、事業での優先度を決めて対象範囲を捉え、データを活用してそれを経営や現場の業務にタイムリーに活かした対応をとっていくことが必要です。コンポーザブルERPという考え方は、そうしたユーザーのニーズにより生まれてきたものだといえます。
外村 そこで重要なのは、ただ単に必要に応じて組み合わせるという一時的な対応ではなく、中長期的に見たときに、どこが変化しやすいのか、どういうツールをAPI経由の疎結合によりつないでいくのかをしっかりと見据えて対応していくことです。
ユーザーに新たな価値を提供する
ベンダー2社による戦略的業務提携
小林 2024年7月には、IFSとワークスアプリケーションズがコンポーザブルERPの可能性を広げる戦略的業務提携を発表しました。経緯を教えてください。
竹中 最初は耳を疑いましたが、仮に実現できるのであれば、まさに両社の「競創×共創」によって新たな価値を紡ぎ出していく土壌が整備されると考え、その後、議論に議論を重ねて発表にこぎつけました。その根底には、すでに述べたような、激しい環境変化に速やかに追随できる経営を実現したいという企業のお客様の現実的なニーズがあったといえます。
外村 今回の提携がユーザーのニーズに起因しているものだというのは、まさにその通りだと思います。事実、複数のERPを自社内で運用し、データを連携組み合わせて利用していくというのは、特に大手企業が利用している大規模なERPの場合、例えばデータ接続に双方のAPIの利用料がかかるなど、手間やコストの点で難しい点が多いかと思います。そもそもベンダー自体あまり開放的ではなく、排他的に利益を独占したいという考え方もいまだ根強い。そうした現状を打破して、IFSとワークスアプリケーションズのERPを相互に標準で提供されるコネクタで接続できる仕組みを提供します。当然、そうした部分はメーカーによって保証されるので、将来的なバージョンアップに向けての安心もユーザーには感じていただけるものと思います。
小林 今回の提携により、両社のERPがそれぞれに持つ強みが融合されることになりますが、そもそも両社の製品の強みがそれぞれどこにあり、提携によりどんな新たな価値が生み出されるのかについてお聞かせください。
竹中 当社のIFSでは、適用のターゲットを防衛や生産、建設など6業種に絞り、それぞれの業種の高度なニーズに応えていこうとしています。例えば生産でいえば、部品表(BOM)の統合や、BOPの標準化、複数工場間のターミノロジーの統一、さらにはMESの領域なども得意にしています。こうした機能を駆使することで、生産量の拡大や縮小を経営的視点に立った意思決定を適切に行えるほか、現場での材料などリソースの共有等にかかわる判断なども的確に行えます。
外村 我々ワークスアプリケーションズの製品については、日本のお客様ならではの業務をERP上で実現できることが最大の強みだといます。グローバルベンダーの製品ではアドン開発になるような領域も標準機能として提供しています。つまり、IFSの業種特化型での業務標準化に対し、我々は日本型の業務標準化を進めてきたわけで、両社の製品が連携されることで、特に国内の組み立てや半導体といった製造業をはじめとするお客様における高度な業務フィット率を実現。アドオン開発が最小化されることになります。
小林 まさに、今後のコンポーザブルERPの普及に弾みをつけるものとして、今回の両社の戦略的業務提携は、大いに注目されるものといえますね。
