「孤独な戦い」から「頼られる存在」になるための処方箋

~セキュリティ担当者だって会社のヒーローになれる~第3回

HENNGE Oneの導入、利活用を一貫支援 成果を実感できるまでとことん寄り添う

HENNGE Oneの導入、利活用を一貫支援 成果を実感できるまでとことん寄り添う
第1回 “守るだけ”のセキュリティでは不十分 社員×IT部門が働きやすい環境づくりを支援する第2回 誰でも使える「分かりやすさ」が強み デザインの力で新たな価値を創造する誰でも使える「分かりやすさ」が強み デザインの力で新たな価値を創造する第3回 HENNGE Oneの導入、利活用を一貫支援 成果を実感できるまでとことん寄り添う

セキュリティ製品は“現場が使いこなしてこそ”初めて価値が出る——。こうした考えのもと、HENNGEは他社とは一線を画す支援活動を展開している。重視するのが顧客の成功体験、すなわち「カスタマーサクセス」だ。これを徹底することにより顧客企業の成長を後押しするのだという。クラウド型セキュリティソリューション「HENNGE One」の提供においても、導入のみならず定着、利活用に至るまで、専門部署が伴走し続ける。第3回は、カスタマーサクセス部門でマネージャーを務める田代 聡氏にインタビューし、HENNGEのカスタマーサクセス活動の実像に迫る。

(聞き手:日経BP 総合研究所 大和田 尚孝)

先手の支援が満足度を高め、直近の解約率はわずか0.45%

HENNGE株式会社 田代 聡氏

大和田セキュリティ業務の人手不足、スキル不足は中堅・中小企業共通の課題です。それだけに外部の専門人材などによるサポートが重要になります。HENNGEにおけるヘルプデスク的なサポートの取り組み状況はいかがでしょう。

田代HENNGE Oneの導入から定着、さらには利活用に至るまで幅広く支援しています。というのも、HENNGE Oneの提供を始めてまだ間もないころ、十分使いこなせないとの理由で解約されるお客様がいらっしゃいました。であれば、使いこなすための支援が必要ではないか。そう考えて、徹底した伴走支援を始めることにしたのです。

お客様が期待する成果を達成し、成功体験を実感してもらう。口で言うのは簡単ですが、実現は容易なことではありません。そこで「待ち」の姿勢を捨て去り、こちらから能動的に関わり、先回りして支援することにしています。この活動を長年続けたかいもあって、HENNGE Oneの解約率は0.5%以下を継続しています。

大和田SaaS業界の解約率はベンダーがあまり公表しないので、正確な数字は分かりませんが、携帯電話の通信会社の解約率は1%前後とされています。解約率0.5%以下を維持するために、どんな組織体制を整備したのですか。

田代以前はサポートチームという大きな組織しかなく、その中で当社の中でできることを模索していました。近年は当社のプロダクトレベルが上がってきており、新製品や新機能も次々と出てきています。それに伴い、「HENNGE Oneを購入した方にどういう状態になってもらうべきか」「どういう体験をしてほしいか」といったアウトカム(成果)がより重要になってきました。

日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ所長 大和田 尚孝

そこで2024年10月に専門チームを立ち上げました。現在、Customer Success Divisionには「導入支援」「利活用支援」「ヘルプデスク」の3つのチームがあります。導入支援、利活用支援はお客様ごとに担当者が付いて支援します。3チーム合わせて約100人の体制です。互いに役割を明確にしつつ、内部では密に連携して支援を行っています。また、すべての活動は有償ではなく標準サービスです。つまりSaaSサービスに加え、その価値を高めるカスタマーサクセス活動も含めてHENNGE Oneというプロダクトなのです。

大和田米国のクラウド大手など、SaaS型のサービスを提供するベンダーで成功している企業は、使いこなしのフェーズまで手厚く支援しているという共通点があります。カスタマーサクセスの現場では、何を目標に活動しているのですか。

田代お客様自身が課題を解決することができる状態を、私たちは「自走」と呼んでいます。お客様が自走できる状態を作り、維持し続けていく。これをゴールとして設定しています。

その実現に向けて、お客様のビジネスやセキュリティの課題、目指す姿や何を実現したいのかを明らかにし、導入前の比較検討段階からカスタマージャーニーを描きます(図1)。このカスタマージャーニーに沿って継続的な支援を行っていくわけです。


図1 HENNGEが描くカスタマージャーニーのイメージ

カスタマージャーニーは導入の前段階から始まる。機能面の説明だけでなく、契約に向けた稟議承認も支援。導入後は段階的な全社展開、実装機能の利活用・定着を支援し、成果の創出を伴走支援する

図1 HENNGEが描くカスタマージャーニーのイメージ

「使える」と「使いこなしている」のギャップを埋める

大和田カスタマーサクセスの活動をもう少し深掘りさせてください。導入支援や利活用支援とは具体的に「何を、どこまで」手掛けるのですか。

田代導入支援はSaaSの導入展開はもちろん、その前段階の導入提案のようなこともやります。どんな機能をどう使えば、ビジネスやシステム課題を解決でき、セキュリティ担当者やエンドユーザーの業務がどう楽になるのか。機能の優位性をアピールするだけでない提案を心掛けています。

また、導入するとなると、今度は上長や経営陣の承認が必要です。その承認を得るためにどうすればいいか。セキュリティ担当者と一緒に考え、必要なドキュメントがあれば、それも用意します。上長や経営陣に出席していただいた商談の場で、セキュリティ担当者と一緒に提案を行うこともあります。

大和田かなり踏み込んで活動しているわけですね。無事に導入に至ったとしても、あまり使われない状態が続くと、今度は費用対効果を厳しく問われることになります。導入後における利活用支援についてはどんな活動をするのですか。

田代「使える」ということと「使いこなしている」の間には大きなギャップがあると考えています。例えば、メールの誤送信対策。一定の保留時間を設定して全社のメールを一時保留するのはシンプルなやり方ですが、ほかにも特定種類の添付ファイルありのメールだけ保留にしたり、上長承認のフローを追加したりもできます。単に使えるというだけでなく、使いこなすことができれば、お客様にとってより最適な設定や運用が可能になるわけです。

統合ソリューション「HENNGE One」は様々な製品や機能を実装しているので、お客様が気付いていない機能や使い方もある。これを使えばこんなセキュリティ設定が可能になる。こうすればもっと運用が楽になる。利活用支援チームの担当者が実際にお客様のもとを訪問して、そのような提案を行います。

利用状況をデータ化し、課題解決の仮説を立てる

大和田利活用を促進するには製品知識だけでなく、顧客が何に困っているかを正しく知る必要があります。そうでないと手前味噌で的外れなアプローチになってしまいますよね。

田代おっしゃる通りです。当社では、お客様のHENNGE Oneの利用状況をデータとして集計し、見える化しています(図2)。どんな機能を使っていて、何をやろうとしているのか。どこで躓いたり、滞留したりしているのか。そのようなことは事前に把握しています。ヘルプデスクへの問い合わせもデータとして集計しています。各担当が自分の担当のお客様の状況把握に努めています。その情報に、お客様の事業課題やセキュリティ課題なども加味して、どうすれば運用定着や利活用を促進できるかという仮説を立てて提案活動を行います。

図2 HENNGE One利用状況の見える化

顧客の利用実績や操作履歴を集計し、データとして見える化する。このデータを基に、設定や運用面で何に困っているか、どんなボトルネックがあるのかを把握し、課題解決の提案につなげる

図2 HENNGE One利用状況の見える化

お客様にヒアリングし、新たな課題ややりたいことがあれば、もちろんそれもフィードバックして、利活用促進の手立てを考えていきます。

大和田データに基づいて活動しているわけですね。漠然と「困っていることはないですか」と言われるより、仮説を立てて提案してくれるほうがコミュニケーションも取りやすいですね。一方で、中堅・中小企業はぎりぎりの人員でセキュリティを回しています。異動や退職があると、途端にセキュリティが危うくなる。そういう会社は結構多いですよね。

田代そこも利活用支援チームがサポートします。後任の方も必ずしもセキュリティの専門家とは限りません。なぜHENNGE Oneを使っているのか。会社のセキュリティポリシーはどうなっているのか。そういうところから情報共有を始めます。

先ほど例に挙げたメールの誤送信対策一つをとっても、一時保留時間が5分に設定されていたら、なぜ5分なのか。わざわざ上長承認のフローを設定しているのはなぜか。現状のセキュリティの背景や経緯もお伝えするようにしています。そうでなければ、利活用が進んでいきません。

大和田顧客企業における業務の引き継ぎ支援まで手掛けている、とも言えそうですね。こうした支援が解約防止につながっているのでしょうか。

田代一般的には、お客様自身がマニュアルをひも解いて試行錯誤するのが普通なのかもしれません。ただ当社はカスタマージャーニーを描き、自走化に向けたストーリーを立てて継続的に伴走します。その中で製品や機能の使い方だけでなく、参考になるほかのお客様の活用例などもアドバイスします。こうした支援は高い評価をいただいています。


顧客の声を社内で共有し、新機能も数多く開発

大和田HENNGEにおけるカスタマーサクセス活動は広範なセキュリティ知識が必要だし、顧客のビジネスも知らないといけません。人材の採用や教育はどうしているのですか。

田代テクノロジーの会社なので、技術好きかどうかを採用の重要な判断基準にしています。技術好きが多いため、新しいテクノロジーも積極的に取り入れ、どう活用していくかのメンバー同士のコミュニケーションも活発です。

メンバーは普段からチャットツールでコミュニケーションし、情報交換や分からないことを教え合ったりしています。セキュリティ専門家を社内にお招きしたり、有志が集まって自発的に勉強会を開いたりもしています。その情報はアーカイブされ誰でも見られるようになっています。資格取得の支援制度を利用して、新しい技術や知識の習得に励むメンバーも大勢います。

大和田お聞きしたような取り組みを実現するには、カスタマーサクセスチームの内部、あるいは製品開発など他部署との連携を強くする必要がありますね。

田代もちろんです。HENNGE Oneの利用状況や問い合わせ対応はデータで見える化しているので、チームで共有し、お客様へのアプローチの仕方を一緒に考えたりします。

カスタマーサクセスチームだけでなく、製品企画やデザインのチームも含め、部署横断の社内コミュニケーションも活発です。実際、カスタマーサクセス活動が製品や新機能の開発につながったことも数多くあります。

例えば、Microsoft 365とHENNGE Oneの連携は、以前はコマンドラインで行っていたのですが、あるお客様の要望を受けて、GUI画面上で連携できるようにしました。そのほか、アクセス制御で使用する拠点ごとのIPアドレス設定をグルーピングする機能、メール誤送信対策の上長承認機能などもお客様の声を基に追加したものです。

大和田生成AIなど、新技術の活用状況はいかがでしょう。

田代ヘルプデスクのQ&A検索で生成AIのパイロット運用を始めています。精度や使い勝手の向上を図り、今後はヘルプデスクのチャットボット化を目指します。海外の最新動向なども踏まえつつ、お客様向けのサービスだけでなく、カスタマーサクセスの社内業務の効率化や自動化も考えていきます。

大和田セキュリティの世界は手口の高度化や技術の進化などにより、目まぐるしく変化しています。状況が変われば、利活用支援の在り方も変わってきます。継続的な支援に対するお客様のニーズもますます高まっていきそうです。

田代お客様ごとにカスタマージャーニーを描いて自走化を支援していきますが、新たな脅威やリスクが台頭すれば、その対応が優先事項になります。ビジネス環境の変化や新システムの導入、拠点やユーザー数の増加などによってもセキュリティ環境は変わってきます。カスタマーサクセスは「終わりのない旅」のようなものだと思っています。HENNGE Oneのご利用中は当社がずっと伴走し、変化に対応した最適な利活用を支援し続けます。

繰り返しになりますが、SaaSサービスとカスタマーサクセス活動を含めてHENNGE Oneというプロダクトです。この強みを生かしてお客様に寄り添い、より良い顧客体験を提供し続けていきます。

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取材後記

一般的なサポートサービスは、問い合わせに対する「解決率」が重要なKPIの1つです。ただし、注目したいのは、これが一種のマジックワードである点です。たくさん問い合わせを受けて、それらを解決すれば率は上がる。ただ、それは本当に顧客のためになっているのでしょうか。本来は、問い合わせる必要すらなく、利用企業が自力で使いこなしている状態が最も理想的なわけです。

今回「設計思想」「UI/UX」「カスタマーサクセス」をテーマに取材しましたが、セキュリティの文脈ではいずれも新しい視点だと感じました。セキュリティの問題は、いまは経営を根本から揺るがしかねない、まさに経営課題です。ベンダーは自社の製品やサービスを売るだけでなく、使いこなしやその先にある利用企業の業務課題、もっといえば経営課題の解決まで寄り添うような「姿勢」が求められます。姿勢というのは、単なるセールストークだけでは不十分。組織を組み、人材と予算を投じ、実効性のある取り組みを継続することがベンダーには求められます。

問い合わせ

HENNGE株式会社
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E-mail:info@hennge.com