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大阪教育大学創基150周年記念 教育とICTセミナー 2024秋

これからの学びを支えるICT活用教育 協賛講演

AIの教育活用を進めて学びを支援
教員の負担を軽減するICT活用

データサイエンスや人工知能(AI)の進化は、教育現場や業務プロセスに大きな変化をもたらしている。自身のキャリアと業務経験を交えて、教育や業務の現場をどのように変革できるのかを解説し、データサイエンスの可能性を最大限に活用するためのポイントや、教育におけるAIツールの可能性と課題を提起した。

勝谷 裕史氏

日本HP エンタープライズ営業統括
ソリューション営業本部
ワークステーション営業部
AI/DS市場開発担当部長
勝谷 裕史

 日本HPのワークステーション事業部では、AI・データーサイエンス事業の開発を担当し、エヴァンジェリスト活動や市場分析、データサイエンス業務など多岐にわたる業務に携わっている。

 外部のパートナー企業や製品流通を担当するディストリビューターとの関係を強化して、提供する製品の範囲を広げ、不動産、医療、防衛、リーガルテック、物流などの分野において新サービスや技術が実現可能かを検証するPoC(概念実証)を企画している。

 データサイエンスを活用して市場動向や顧客のニーズ、競合企業に関する洞察などの情報を現場チームと共有し、ターゲット市場の理解を深めて効果的な現場戦略の策定を支援するのも仕事だ。

 現在の学校の教員は多忙で、授業以外にもさまざまな業務があり、子供にかけられる時間は限られている。一方で子育てする親にとっては全てが初めてのことで、経験も知識もない子供の学びに関して誰に質問をすればよいか困っている人は多いのではないだろうか。

 そのような時に、米OpenAIに代表される「ChatGPT」のような生成AIが活用できるのではないかと思い至った。ChatGPTに質問(プロンプト)を投げかけると、教員や学校との付き合い方や、親として子供の学びに参考になるような回答を出してくれる。学校現場では生成AIの活用が進みつつあるが、子供の親としても生成AIを使ってもよいのではないだろうか。

ハルシネーションは
生成AIの大きな課題

 企業における生成AIの導入は日を追うごとに増加しており、ある調査によると約7割の企業が導入済みで、このうち5割以上が対話型の生成AIサービスを活用している。

 生成AIは、大量のデータとディープラーニング(深層学習)技術によって構築された言語モデルである大規模言語モデル(LLM)を使って回答を生成する。ChatGPTなどの生成AIは、LLMを応用して人と自然な会話ができるように特化した対話型AIだ。

 言語モデルは文章や単語の出現確率を用いてモデル化したもので、文章作成などの自然言語処理で用いられる。オープンなLLMはインターネット上に広く公開された一般的な書籍やWeb、ニュースなどのテキスト情報を収集し、それら膨大なデータを学習して、確率的に正しいと思われる回答を行っている。つまり、学習していない非公開のクローズドな情報に関しては、生成AIは正しく回答できないのだ。無理に回答を求めると、生成AIは嘘やでたらめな回答をする。これが「ハルシネーション」だ。

 生成AIが回答に使うLLMは、公開されている情報を基に回答の精度を高めており、2028年以降に収集可能な公開データが枯渇してLLMの性能向上が低下するとの見方もある。企業などの生成AI活用のガイドラインや法規制が厳しくなり、LLMに取り込める情報に制限がかかる可能性も指摘されている。

ローカルAIについて

生成AIが抱える課題を
ローカルLLMで解決

 学校現場には児童・生徒の成績や健康などさまざまな個人情報がある。それらをインターネット上のLLMに入れてしまうと、個人情報の流出につながりかねない。

 こうしたLLMの課題を解決すると期待されているのが「ローカルLLM」だ。パソコンやスマートフォンのローカル環境に保存し、そのLLMを使って手元のパソコンやスマートフォンだけで生成AIを動かすため、クラウド型の対話型AIで懸念される情報漏洩やプライバシー上の問題も存在しない。さまざまなローカルLLMのソフトウエアが登場しており、一般的なITリテラシーがあれば、誰でもパソコンにローカルLLMを導入できる。

 学習指導要領などのデータに加えて、学校独自の専門を追加学習させた、特定タスクの処理を得意とする軽量な小規模言語モデル(SLM)を構築し、検索拡張生成(RAG)と呼ばれる技術を使ってセキュリティを確保した上で、学校現場の求める回答を得られるようにするのだ。これによりハルシネーションを減らすことにもつながる。いわば、学校現場を熟知した「教育の専門家」の生成AIを育成するようなものだ。

 一方で、ローカルLLMを動作させるには、ある程度のコンピューターのスペックが必要だ。ローカルLLMを快適に動かすには、米NVIDIAのグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を搭載したパソコンが必要になる。GPUに搭載するグラフィックスメモリ(VRAM)が多ければ多いほど、つまり高額なGPUほど性能の良いLLMを動かせる。

 日本HPのワークステーションはマルチGPU搭載で大規模モデルに対応し、高速メモリと大容量ストレージでデータ処理を効率化しており、ローカル環境でのSLM開発・RAGシステムの運用を支援する。

 例えば、教育研究や関連論文をデータベース化したRAGシステムを構築し、結果をローカルSLMにまとめさせることで創造的な教育アイデアを生成したり、特定の教育テーマに関連する文献や資料、カリキュラムを検索・収集したRAGシステムで教育分野の文献調査を効率化したり、教育活動やカリキュラムが教育指導要領や地域特有の教育規定に準拠しているかチェックしたりできる。

 データサイエンスやAI技術を活用することで、教育現場のように特定分野に特化したAIソリューションの開発に寄与することも可能になる。これからも教育DX、AIツールの正しい導入、多様な技術の統合による新たな価値創造を支援していきたい。

ワークステーション製品

株式会社 日本HP