IIJが顧客支援の軸に据えているのが、「IIJ-CAF(Cloud Adoption Framework)」と呼ぶフレームワークである。具体的には2つのレイヤー、計7つのサービス・ソリューション領域で構成されている(図)。
レイヤーの1つ目は、「コンサルティング ・インテグレーション」である。「ビジネス戦略・計画」「組織・人材」「導入(計画・構築・移行)」の4つの領域をカバーするソリューションによって、ビジネス価値につなげるマルチクラウド活用戦略をサポートする。
2つ目は「ガードレールプラットフォーム」。マルチクラウドを安全に利用する上で必要な要素(ガードレール)として、「環境」「オペレーション」「ガバナンス」「セキュリティー」にかかわる機能群をマネージドサービスとして提供する。それぞれゼロベースで環境を構築しなくても、必要十分な機能をすぐ利用できるのがメリットだ。
「お客様の課題に対してすぐに活用できるマネージドサービスで機能を提供し、足りない要素を個別にコンサルティングなどで補うことができる。これがIIJの強みです。長年蓄積してきたクラウド活用のノウハウと、多様なサービスを組み合わせることで、導入負荷を抑えながら、マルチクラウド運用の抜本的な効率化を支援します」(吉川氏)
既に事例も登場している。B to B to Cモデルで情報提供サービスを展開しているある企業は、クラウドを活用した新サービスを立ち上げて会員拡大を図りたいと考えていた。しかし、そのためのIT部門の人的リソースがないことや、むやみにクラウド導入を拡大することによるセキュリティーリスクが懸念事項だったという。
「そこで当社は、まずはクラウド活用を推進するための中心となる組織(CCoE)をIT部門に構築し、その組織を中心にクラウドをセキュアに活用していくためのガイドラインを作成していく工程を支援しました。その中で社内推進する体制を立ち上げ、その次にガイドラインに沿ったセキュリティーガバナンス、運用監視機能を備えた共通基盤の構築を支援しました。環境構築にはIaC(Infrastructure as Code)も導入することで、手作業による設定ミスを防ぎ、効率的にデリバリを可能としました」(吉川氏)
さらに、クラウドの設定不備などを検知するCSPMを導入し、セキュアなクラウド利用も実現。運用監視では可観測性(オブザーバビリティ)機能を導入し、障害発生時の切り分けも迅速にできるようにした。こうした体制、ガイドライン、共通基盤を整備することでIT部門にもリソースに余裕ができ、事業部門の協働が進んだ。現在は積極的なサービス展開が始まっているという。
もう1つは金融機関の事例だ。長年オンプレミスで運用してきたVDI(仮想デスクトップ基盤)の性能不足に悩んでいたこの企業は、DaaS(Desktop as a Service)を含めたクラウド移行を検討。十分なセキュリティーを担保した新基盤をどう構築するべきかに悩んでいた。
「マイクロソフトの『Azure Virtual Desktop』を中心に、CASB(Cloud Access Security Broker)やSWG(Secure Web Gateway)などの複数のセキュリティーサービスを組み合わせた環境をご提案しました。ユーザビリティー向上に加え、システム拡張や運用管理に関する課題も一気に解決しています」と吉川氏は紹介する。