シン・仮想テクノロジー Review

「クラウドorオンプレ」の二項対立から脱却し、 自在に使い分ける分散型ITインフラの構築を

仮想化技術は、特定のプラットフォームに依存しないポータビリティ性を求めて発展してきた。しかし昨今は、特定プラットフォームへの過度な依存により代替手段を喪失するリスクが顕在化してきている。今こそ「クラウドorオンプレミス」の二項対立から脱却すべきときで、プラットフォームの特性を理解して意図的に使い分ける「分散クラウド」戦略が重要となる。インテックICTプラットフォームサービス事業本部の北川 修氏は、同社が定義する「分散クラウド」を3つのポイントで語った。

北川 修氏

インテック

ICTプラットフォームサービス事業本部

クラウドサービス事業部

クラウド基盤システム部 主任

北川 修氏

仮想化が選ばれてきた理由とVMware買収による危機

これまで仮想化技術が発展してきた背景には、大きく2つのポイントがあった。1つは異なるプラットフォームでもプログラムを実行できるポータビリティの実現で、もう1つは有限なハードウエア資源の有効活用である。さらに障害時に別のサーバで迅速に動作を再開するHA機能など様々なメリットもあり、システム基盤として広く浸透してきた。

しかし今、ポータビリティの面でサーバ仮想化市場は危機に直面している。そのことが意識されるようになったきっかけの1つが、ブロードコム社によるVMwareの買収だ。ライセンス体系を大幅に変更し、コストへの影響が懸念されている。仮想化市場でトップシェアを誇るVMwareへの依存度が高かったあまり、代替手段を喪失していたことによるリスクが顕在化している。

クラウドorオンプレの二項対立では解決できない

この問題にどう対処するか。別の製品やサービスに乗り換えることは考えられるが、対症療法に過ぎず特定製品へ依存するリスクは残り続ける。本質的に解決するためには、クラウド市場の最新トレンド、オンプレ回帰、マルチクラウド、ソブリンクラウドなどといったキーワードを理解しなければならない。

北川氏は「クラウドかオンプレミスかという単純な二項対立ではなく、柔軟なITインフラの構築が求められています。IT環境を保護し続けるためには、プラットフォームの特性を良く理解し、意図的に使い分けることが重要です。インテックでは、仮想化インフラのあるべき姿として、『分散クラウド』と呼ばれる分散型ITインフラにその答えがあると考えています」と語る。

戦略的な「分散クラウド」が真の現実解となる

インテックは「分散クラウド」に求められる条件として3つを定義している。1つ目は適材適所で戦略的なプラットフォームを選択できること、2つ目はベンダーロックインを考慮したリスクコントロールができること、3つ目が統合されたネットワークと運用管理機能を備えていることだ。

具体的なイメージとして示したのが下記の図である。拡張性や素早い新機能開発が必要なアプリケーションはパブリッククラウド上に配置し、特性や機能によって複数のベンダーを使い分ける。一方、拡張性よりもセキュリティや堅牢性を求める基幹システムは、データセンターや国内の法律や規則にのっとったソブリンクラウドに分散配置する。またIoTセンサーからの膨大な情報をリアルタイムで処理する場合はエッジコンピューティングが最善なので、事業拠点にコンピューティングノードを置くといった具合である。

最も重要なのは、これらを統合ネットワークで接続し、共通の運用基盤で管理することだ。分散クラウドと言っても、プラットフォームを単に分散しただけでは管理コストが跳ね上がってしまうだけでなく、構成管理も複雑になり、障害発生時の切り分けも難しくなる。 そのため、分散したインフラをシームレスにつなげるネットワークと統一的な監視や運用を提供する統合運用管理基盤が必須となる。

分散クラウドのイメージ図

分散クラウドのイメージ図

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分散クラウドを実現できるインテックならではの強み

インテックには、分散クラウドを実現できる3つの強みがそろっている。

強みの第1が、分散クラウドの中核となるプラットフォームサービス群のEINS WAVEである。これは、データセンターネットワーク、クラウドサービスを中心としたトータルサービスを提供しており、分散したクラウド環境における統合監視運用を実現できる。

第2の強みが、マルチプラットフォームでのSIが可能である点である。オンプレミス、プライベートクラウド、自社クラウド、パブリッククラウドを含むマルチプラットフォームに対応でき、特定ベンダーに依存しないインフラ構築実績を豊富に有している。

第3の強みが、アセスメントサービスである。オンプレミス、クラウドを問わず、適材適所でプラットフォームを選定し、企業がインフラを最適化するプロセスを支援する。

分散クラウドを実現するインテックの強み

分散クラウドを実現するインテックの強み

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60年前に計算事務代行、つまりアウトソーシングでビジネスをスタートしたインテックは、コンピュータ・ユーティリティ社会の実現に向けてネットワーク事業に進出した。そして、顧客データを預かるためにデータセンター事業を開始し、2010年には自社クラウドサービスもいち早く提供した。北川氏は「アウトソーシングを源流に、お客様の大事なIT資産を特定のプラットフォームに依存せずに保護する考え方が、インテックを形作る土台となっています」と強調する。

EINS WAVE、アセスメントで提供できること

EINS WAVEで提供するサービスのうち、例えば統合型セキュアネットワークサービスは分散クラウドを実現する上でコアとなるサービスとなる。様々なクラウドサービスとのゲートウエイ接続を可能とし、データセンターや顧客拠点も含めたネットワークについて、回線手配から機器設定、監視までワンストップで提供可能である。

一方、アセスメントサービスの一例としては、VMwareライセンスに特化したアセスメントがある。VMwareのライセンス体系変更の発表直後から提供しており、体系変更が顧客のライセンスにどのようなインパクトを与えるか試算した上で、方針立案を支援するものだ。基本的に無償で提供しており、スピーディーに方針策定を支援することを主眼としている。

「現在直面している仮想化テクノロジーの危機に対処するには、真にポータビリティを確保できる仮想化プラットフォームを目指す必要があり、ここでは『分散クラウド』が新たな潮流になっています。60周年を迎えたインテックは、深めてきた技術を背景に多様なプラットフォームのインテグレーション提供が可能です。不確実性が高まる時代にITプラットフォームのリスクを適切に管理するためにも、当社のようなITパートナーの力を活用いただければと思います」。

北川氏はこう語って講演を締めくくった。