住民一人ひとりに最適なサービスを、
少ない職員で提供できるようにする
日本の自治体のDXの取り組みについて、現状認識を教えてください。
大牧 勇人氏
株式会社JSOL
法人ビジネスイノベーション事業本部
デジタルビジネス事業部
クラウドテクノロジー&イノベーション部
第一課 課長代理
大牧あらゆる人がスマートフォンを使うようになった現在は、住民サービスのデジタル化が急務になっています。様々な行政手続きをオンラインで行えるポータルサイトを構築するなど、デジタル化を進める自治体がどんどん増えている印象です。
ただ、オンライン申請したあとにマイナンバーカードのコピーを持参する必要があるなど、部分的なオンライン化に留まっている自治体は少なくありません。また、住民のなかにはスマートフォンの操作に不慣れな方もいるので、ポータルサイトの見方やオンライン申請の方法に関する問い合わせの対応に追われて、本来業務に支障が出ているという話もよく聞きます。
原川紙の書類のPDF化で終わっているケースもあります。このように自治体ごと、部署ごとに意識、理解のばらつきがあるのが現状ではないでしょうか。どのポイントを、どう変革するべきか。あるべき仕組みはどのようなものなのかなど、DXに向けたロードマップを描く段階で苦労されている自治体は多いと思います。
そのような課題の解決に向けて、有効なソリューションの1つが「ServiceNow」です。そのメリットを教えてください。
大牧私はシステム開発の領域でServiceNowに携わっています。Service Nowはデジタルワークフローを提供するSaaSで、その大きな特徴が、米国政府機関に採用されるほどの強固なセキュリティーにあります。ここは自治体のお客様から高く評価されるポイントですね。また、ローコード/ノーコードでカスタマイズが行えるため、自治体ごとに異なる申請プロセスに柔軟に対応できる点も魅力です。
さらに、当社は「住民一人ひとりに最適なサービスを、少ない職員で実現できること」が最適な行政サービスの姿だと考えています。その点ServiceNowは、強力な業務自動化機能を備えているため、業務現場の間接業務を大幅に削減できます。職員の皆さんが本来業務に注力できるようになれば、住民がいつでもどこでも手続きや問い合わせを行える、質の高い行政サービスを実現できるでしょう。
培ってきた経験、知見を
テンプレートに凝縮して提供
ServiceNowの提供に関するJSOLならではの強みはどこにありますか。
原川 周平氏
株式会社JSOL
法人ビジネスイノベーション事業本部
東日本営業部
第二課
原川ServiceNowについては、「J’s X(ジェイズクロス)」というテンプレートを持っており、これがJSOLならではの差別化要因だと思います。
過去のプロジェクト経験を基に自治体の共通課題を抽出し、求められるワークフローなどをテンプレート化したものです。これを使うことで、ServiceNowの導入にかかる期間や工数を大幅に削減できます。ServiceNowによるデジタル化の効果を、速やかに得ることができるでしょう。
これまでの経験値が、J’s Xに注ぎ込まれているわけですね。
原川そうですね。単なる機能の寄せ集めではなく、自治体の担当者とのヒアリング内容を含め、現場で考え、議論し、汗を流した課程と成果が凝縮された知恵袋といえます。その意味で、他社では提供できないものだと自負しています。カスタマイズもできますが「ほとんどそのまま使えますね」と言われることも多く、お客様にも価値を感じていただけているのだと思います。
個々の業務だけでなく、
全体の最適化に向けて伴走する
ServiceNowを軸としたDX支援を行う際、お二人が考えていること、心掛けていることを教えてください。
原川業務のポイントごとにツールを導入したり、効率化したりする取り組みは、多くの自治体が行っていると思います。ただ、DXは組織全体を戦略的にトランスフォームさせていくことであり、それには局所的な取り組みではなく目標設定やビジョンが重要です。
JSOLは、コンサルティングから実際のソリューション提供、運用まで、最適な住民サービスの実現に向けたお客様の取り組みを伴走型で支援します。お客様の業務を深く理解して、全体最適の視点でDX推進を根本から支える。それが私たちの強みであり、大切にすべきことだと考えています。
加えて、自治体の支援でJSOLが重視しているのが「三方良し」です(図)。ここでいう三方とは「住民」「職員」「外部組織」のこと。ここでも、かかわる人全体の最適を考えるという姿勢が根底にあります。
図 住民、職員、外部機関の「三方良し」を目指す

自治体DXのカギは、職員の業務、外部機関とのやりとり、住民サービスにかかわる業務全体を一気通貫でデジタル化することにある。この「三方良し」を実現するプラットフォームがServiceNowだ
大牧開発の立場では、「住民が本当に使いやすいシステムとは何なのか」を徹底的に考え抜くことが大事だと考えています。
ServiceNowは、標準の業務プロセスや画面レイアウトを多数備えています。また当社も、J’s Xのテンプレートなどのベストプラクティスを有していますが、お客様のニーズに応えるためには、そこから外れる個別のご要望を組み込んでいくことも重要です。
例えば、私が担当している横浜市様は、370万人以上の人口を持つ大都市です。サービス利用者も10代から90代までと幅広く、汎用的なものだけでそのニーズに応えきることは困難でした。そこで当社は、自治体の担当者と積極的にコミュニケーションを取りながら、誰もが使いやすく、かつ安心して利用できるセキュアな仕組みを探っていきました。このような姿勢が、JSOLのエンジニアには求められると考えています。
日頃からの情報収集に基づく想像力が、
エンジニアにとって重要
さらに充実したサービスを提供していくためには、新たな人財の獲得が欠かせません。どんな人財と一緒に働きたいですか。
原川ServiceNowは間口が広く、業務全般のプラットフォームとして利用できる半面、「どこから手を付ければいいのか分からない」というお客様もいます。そのようなお客様に対し、5年後や10年後を見据えたディスカッションや、能動的な提案ができる人財と一緒に働きたいですね。
また、私が担当しているのはServiceNowですが、JSOLではほかにも多彩なソリューションを扱っています。そのため、お客様ごとの課題に向き合った提案ができるのがJSOLの特徴。幅広い課題に対する解決策を考え、提案する中で、自らの経験値も高められていくはずです。
大牧開発側が求める人財像は、ServiceNowの経験の有無よりも、想像力を働かせられる人です。お客様のいう通りにつくればいいかというと、決してそうではなく、要望の背景を探り、最適な解決策を導くことが求められます。ServiceNowの経験は入社後の研修で習得できるので、お客様の真の困りごとは何なのか、想像力を働かせられる人が、JSOLのエンジニアに向いていると思います。
また前提として、常にアンテナを張って、情報収集を行うことも大事です。デジタル庁の発表、各自治体トップの発信やDX構想、最新の社会情勢などを日頃からインプットしておくことが、お客様提案に役立ちます。これを自分だけで行うのは大変ですが、JSOLには勉強会などで情報、経験を共有する文化があります。互いに切磋琢磨しながら、自分を磨いていけるのは、JSOLのメリットだと思います。




