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変革推進のカギは経営トップの“共感” 北國FHDとLiNKXが描くビジネスの未来

北國銀行を中核企業とする北國フィナンシャルホールディングス(以下、北國FHD)は、2027年に稼働予定の次世代勘定系システムの構築を進めている。これを支援する重要なパートナーの1社がソリューションベンダーのLiNKXだ。このパートナーシップは単発のプロジェクト内にとどまらない。両社のトップの間には“共感”に基づく強い絆があり、そこから生まれるシナジーによって共に未来を描いていこうとしている。北國FHDの杖村 修司氏、LiNKXのオサムニア モハメッド氏に、これまでの取り組みや今後目指すことを聞いた。

「10年先の地域を見据えた戦略」
が変革の出発点

――北國銀行は、積極的なデジタル活用をはじめ、他行に先駆けた変革を推進してきています。まずはこれまでの取り組みについて教えてください。

杖村 組織の変革という意味では、2000年ごろからコスト構造改革を断行し、店舗統廃合などを進めてきました。営業はノルマを廃止して体制も大胆に変えました。人事制度はジョブ型にして、社内のコミュニケーションの取り方や取締役会のあり方も変えていきました。また、早い時期から行内IT改革にも着手しており、2021年には勘定系のオールクラウド化を実現。2022年には法人ネットバンキングもリリースしています。

 このように、多面的な取り組みを進めてきましたが、すべては「自分たちがどのような戦略で事業を展開していきたいか」につながっています。戦略立案の起点となるのはお客様であり、重要なのはカスタマードリブン(顧客起点)。より良いサービスとは何か、そのために何をどうするべきかを、常にお客様起点で考えています。
  • 株式会社北國フィナンシャルホールディングス
    代表取締役社長
    杖村 修司
    石川県出身。大学卒業後、北國銀行入行。執行役員総合企画部長兼システム部長、専務取締役、代表取締役頭取(現職)を歴任。2021年10月より現職。既成概念に捉われない改革者として知られ、次の一手に多方面から注目が集まる。
  • リンクス株式会社
    共同創業者・代表取締役 社長
    オサムニア モハメッド
    アルジェリア出身。2012年に国立情報学研究所の研究員として来日し、複数のテクノロジースタートアップでクラウドビジネスの立ち上げに貢献したのち、2020年にLiNKXを共同創業。
――それらの変革を率いてきた杖村さんは、その先見性ゆえに業界の異端児と紹介されることもありますね。

杖村 私自身はそんなふうに思っておらず、むしろ王道のやり方で進めているつもりです。ただ日本企業、特に金融をはじめとする既成業種は“右にならえ”が多いのです。私たちは自ら戦略を考えるので、それが異端に見えるのかもしれませんね。

オサムニア 杖村さんとは以前から親交がありますが、顧客起点の哲学は本当に徹底しています。また、常に前向きに変革にまい進する姿勢も、我々LiNKXが非常に共感する点です。

――その共感が具体化したものが、北國FHDとLiNKXが2024年4月に締結した戦略的業務提携だと思います。現在は2027年の運用開始を目途にした次世代勘定系システムの構築に取り組んでいますが、その概要について教えてください。

杖村 私は2025年3月に北國銀行の頭取を退き、北國FHDの社長に専念します。目的は、金融領域にこだわらず、より多様な社会価値を創造する事業を展開していくためです。現在もコンサルティングやシステム開発、BPO、投資などを行う様々な事業会社を抱えていますが、今後は一層、銀行法の制約から解き放たれたビジネス展開を構想しています。

 その基盤として不可欠なのがモダンなITシステムです。既存のレガシーシステムでは、変革に資する新しいチャレンジを加速することは困難です。この考え方のもと、クラウドネイティブアーキテクチャを採用した次世代勘定系システムを構築することにしたのです。

「世の中をより良くしたい」という共感でつながっている

――パートナーにLiNKXを選定した理由をあらためて教えてください。

株式会社北國フィナンシャルホールディングス 代表取締役社長 杖村 修司氏
杖村 選定というとおこがましいのですが、オサムニアさんとかねて付き合いがあったこともあり、SNS上のやりとりで「じゃあやろうか」となったのがそもそものきっかけです。

 先ほどオサムニアさんも話していましたが、私たちにはビジネスに対する考え方や価値観に多くの共通点があります。例えば、短期的なROE(自己資本利益率)だけを見ず、中長期的な視点で「世の中をより良くしたい」という思いを持っていることはその1つ。これは北國FHDの企業理念に通じることであり、その意味で組織同士の共感ポイントといえるのではないでしょうか。

オサムニア そう言っていただけるのはとてもうれしいですね。私は家族と日本で暮らしており、日本社会の一員です。日本社会をより良くしたいという思いを強く持っていますし、企業のトップとしてその責任も負っています。

杖村 とはいえ、もちろん共感だけで選んだわけではありません。ミッションクリティカルなシステムの構築を共に進める上では、技術力の高さも重要なポイントになりました。

リンクス株式会社 共同創業者・代表取締役 社長 オサムニア モハメッド
――具体的にはどのような技術力ですか。

杖村 当社は内製を基本方針としてシステムの開発・運用を進めています。ただ、次世代勘定系システムが採用したクラウドネイティブアーキテクチャについては、十分なスキルや知見が社内にありませんでした。そこで、高度に技術的な領域については、伴走してくれるパートナーが必要だと判断しました。そこにはまったのが最高峰の技術力を持つLiNKXというわけです。

オサムニア 我々はクラウドネイティブな企業なので、新しいテクノロジーを常に追求しています。しかし、だからといって技術だけの会社ではありません。目指しているのは、お客様のビジネス戦略を理解した上で、その実現に向けた最適なテクノロジーを提供するイネーブラー(黒子として、ある事象の成功を可能にする人・組織)になることです。

 現在のビジネスにおいて、経営戦略とシステムのアーキテクチャは切り離すことができません。我々のようなITベンダーが適切なアーキテクチャを提案するためには、まずお客様が何を実現したいのかを深く理解する必要があります。今回の戦略的業務提携は、私たちのそのような姿勢を評価していただいたものと理解しています。

――LiNKXが高い技術力を提供できる要因はどこにあるのですか。

オサムニア まず大切にしているのが、エンジニアリングファーストの考え方です。LiNKXの社員は現在約80人で、その80%がエンジニアです。そのような組織の力を高める上では、エンジニア個々人の技術力向上が欠かせません。エンジニアを中心に据えて、彼/彼女らが価値を発揮しやすい環境を整えています。

 また、多様性を認め合うカルチャーの醸成にも努めています。社員の半数が外国籍のグローバルなチームである当社では、日本人と外国人のエンジニアが、各々の特性や良さを生かしながら互いに刺激し合って活動しています。そのようなことが自然に行われる企業文化をいかにつくるか。ここに注力することで、多くのハイレベルなエンジニア人材を惹きつけることができているのだと思います。

杖村 企業文化と人、まさに北國FHDも同じことを重要視しています。例えば、システムの内製開発を担うグループのIT子会社では、出身地域も国籍も異なるエンジニアが多数働いています。多様な人々が協働することで新たな価値を生み出し、それが世の中の役に立つ。そのようなことを目指して活動しています。

北陸を元気にし、日本全国を元気にしていきたい

株式会社北國フィナンシャルホールディングス 代表取締役社長 杖村 修司氏
――また杖村さんは、地方創生に貢献することも北國FHDの重要な役目だとおっしゃられています。そのために行っていくこと、目指すことを教えてください。

杖村 今後も大都市に人口が集中する流れは続いていくと思います。そこで地方エリアがするべきことは、たとえ若干人口が減っても、デジタル化によって生産性を高めて交流人口が増えるような地域にしていくことだと私は考えています。

 そのような地域が、北陸地方だけではなく全国にいくつもできれば、それが日本全体の元気の源になるでしょう。当社の社員はみな、「そのための取り組みを推進する会社でありたい」という熱い思いを持っています。ときには外部の力にも頼りながら、みんなで素晴らしい地域をつくる。それには私たち自身もより一層多様なケイパビリティを備えることが必要であり、それが先ほど話した金融にこだわらないという話につながっています。

――最後に、両社の今後の展望をお聞かせください。

株式会社北國フィナンシャルホールディングス 代表取締役社長 杖村 修司氏
オサムニア 日本社会の生産性を上げていく上では、3つの柱になる産業があると考えています。それが医療、行政、そして金融です。これらの産業で使われるITシステムは、いわば「社会のOS」といえるでしょう。このOSをモダナイズすることで、世の中に新たな価値をもたらすことが可能になります。

 中でも金融は重要なものの1つであり、ここを変えることが特に大きな生産性向上の価値をもたらすと、私たちは信じて、情熱をもって取り組んでいます。OSが刷新されることで、ほかの機能にも多くの可能性が開けます。北國FHDの次世代勘定系システムは社会に大きなインパクトをもたらすはずです。開発に携わる我々自身も非常に楽しみにしていますし、最適な新システムの実現に向けて当社の技術力や提供価値を生かせれば、こんなうれしいことはありません。

杖村 実際、我々との取り組みで得たノウハウをほかの金融機関や企業にシェアすれば、さらに大きな社会価値を生み出せると思います。当たり前ですが、LiNKXさんは当社だけのものではありません(笑)。そのようなアプローチも、将来的にはどんどん加速してもらいたいですね。

 システムのモダナイズは終わりのない取り組みです。2027年にカットオーバーする予定の次世代勘定系システムも、その時点で完成形とはいえません。継続的な改善と進化を進めていく上でも、共に歩んでくれるLiNKXには大いに期待しています。これからも共に取り組みを進めていきましょう。

オサムニア ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします。
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