大阪教育大学とマウスコンピューターの共同研究
大画面液晶ディスプレイを導入し
教員の校務効率化の効果を検証

大阪教育大学とマウスコンピューターは、2024年1月に締結した包括連携協定のもと、ICT活用教育に関する共同研究を進めている。その一環で、大画面の液晶ディスプレイ(LCD)とノートPCの併用が、教員の校務の効率化につながることを明らかにした。
木古内町教育委員会
ひとづくり未来課
寺井 慎一郎 氏
木古内町立木古内中学校
校長
深見 亘 氏
木古内町立木古内小学校
校長
長谷川 美栄子 氏
木古内町立木古内中学校
北海道上磯郡木古内町字木古内194番地5
https://kikonai.ed.jp/school/juniorhigh_school/
木古内町立木古内小学校
北海道上磯郡木古内町字本町496番地の1
https://kikonai.ed.jp/school/primary_school/
教員の長時間労働が大きな社会問題になっている。国の「教員勤務実態調査(令和4年度)」によると、「教諭」の「1日当たり在校等時間」と時間外勤務の「持ち帰り時間」を合わせると、小学校の平日は11時間23分、中学校の平日は11時間33分だ。2024年に全日本教職員連盟が小中学校の教員を対象に実施した調査では、時間外労働が過労死ラインの1カ月換算80時間以上と推定される教員の割合は16.1%にもなる。
こうした状況を受けて、文部科学省は、教員の働き方改革に向けたさまざまな取り組みを進めている。
教員は、成績処理や教材作成、保護者との連絡など校務の多くをノートPCで実施している。ただ、ノートPCの標準的な画面サイズは13.3〜15.6型程度で、表示できる情報量には限りがある。ノートPCと大画面LCDを併用すれば、複数の画面により多くの情報を見やすく表示できる。
大阪教育大学とマウスコンピューターは2025年度、全国の小中学校10校の教職員に23.8型の大画面LCDを提供して、校務効率化の効果を検証した。
その結果、大画面LCDの併用が、校務の作業時間の削減に大きな効果があることが判明した(下の図を参照)。
検証に参加した学校のうちの2校が、北海道木古内町の木古内町立木古内小学校と同木古内中学校だ。
木古内町は2023年、マウスコンピューターと包括連携協定を締結している。また、2020年に定めた「町立学校の教育職員の業務量の適切な管理等に関する規則」で「時間外在校時間を1カ月で45時間以内、1年間で360時間以内」と定め、業務改善による働き方改革を推進している。
木古内小学校校長の長谷川美栄子氏は、ノートPCに2台のLCDを接続して使っている。「A4判縦の資料を2つ並べて見るなど、複数の資料を並べて作業できるようになり、効率が格段に高まった」と作業効率の向上を評価する。
大画面のLCDがあれば、画面の一部を拡大しなくても資料全体を把握できる。校務の資料のペーパーレス化にも効果があるだろう。
検証で導入した23.8 型の液晶ディスプレイは、協力した10校がそれぞれの判断で利用した。利用形態は、「校長や教頭などの管理職による利用」「一般の教員による利用」「会議や打ち合わせでの利用」などさまざまだ。
普段はノートパソコンと液晶ディスプレイを並べて使い、ほかの教職員との打ち合わせの際に液晶ディスプレイの向きを変えて画面を見せるといった活用も見られた。液晶ディスプレイの併用は、教職員同士のコミュニケーションの促進にも役立ちそうだ。
木古内町教育委員会で活用される大画面液晶ディスプレイ。「複数のデータを並べて作業できるので業務効率がアップした」と好評だ
木古内小学校の職員室。ノートPCと大画面液晶ディスプレイを接続することにより、作業効率の向上を図っている
職員室でノートパソコンと液晶ディスプレイを併用する様子(大阪教育大学附属平野小学校)
液晶ディスプレイでWebページを表示しながら作業する様子(大阪教育大学附属平野中学校)
机上でノートパソコンと液晶ディスプレイを並べて利用(飯山市立城北中学校)
打ち合わせの際には、液晶ディスプレイの向きを変えて画面の内容を提示(飯山市立城北中学校)
小中学校10校で
液晶ディスプレイ導入の効果を検証
●校務でパソコン・タブレットを長時間使用
授業時間を除いて、1日の業務でパソコンやタブレットを使用している時間。回答した教職員の大部分が毎日3時間以上使っている
●液晶ディスプレイの導入で業務効率が向上
液晶ディスプレイの導入による業務効率の変化。ほとんどの教職員が「効率が良くなった」と回答
●教職員の業務時間の短縮につながった
19人は「業務時間が短くなった」、4人は「(新たな業務が増えるなどして)作業時間は変わらない」と回答。グラフは、業務時間が短くなった教職員に対して、短くなった時間を聞いた結果
●液晶ディスプレイを使用した教職員のコメント
・違うデータを並べて作業できるので、作業効率が上がった。大画面ディスプレイがとても見やすく、目の負担が軽減した ・画面を切り替えずに作業できる。1画面は調べごとを表示し、それを見ながらもう1画面で作業できるのが最大のメリット ・大きな画面で効率よく作業ができ、助かっている ・画面が大きいことで目の疲れが軽減し、作業効率があがり、業務のストレスも減った ・視線が高くなり、首への負担が減った ・パソコンを使う業務が多い教員は、みんな欲しいと思う
小中学校10校に28台の液晶ディスプレイを提供し、校務での効果を検証した。グラフとコメントは、液晶ディスプレイを利用した教職員に対するアンケート調査の結果。回答数は24人。検証を実施した学校は、【北海道】木古内町立木古内小学校、同木古内中学校、【長野県】飯山市立秋津小学校、同飯山小学校、同木島小学校、同城北小学校、同城南中学校、同城北中学校、【大阪市】大阪教育大学附属平野小学校、同平野中学校
リスク管理に必要な情報を
リアルタイムに別画面で確認
ノートPCと大型液晶ディスプレイの併用により、「緊急連絡などの見逃しがなくなった」と語る、木古内中学校の深見校長
木古内中学校校長の深見亘氏は「環境省の『熱中症予防情報サイト』や保健室とのチャットの内容などをリアルタイムに確認する必要がある。ノートPCではウインドウ表示を切り替えて確認していたが、大画面LCDを接続すればウインドウを開きっぱなしにできる。緊急連絡などの見逃しもなくなる」と語る。LCDの併用は、校内のリスク管理にも役立っている。
文部科学省の「学校のICT環境整備3か年計画(2025〜27年度)」では、教員に対して1人1台の「業務用ディスプレイ」を整備する方針を打ち出している。また、このための費用として地方財政措置を講じている。
校務の効率化が進めば、教員が子供たちに向き合う時間を増やしたり、教員の労働時間を削減したりできる。
木古内町教育委員会ひとづくり未来課の寺井慎一郎氏は「教員の働き方改革は最優先事項だ。LCD導入で校務DXが進むのであれば、率先して予算措置を検討したい」と話す。
高い費用対効果で校務の効率化に寄与する
大阪教育大学
産官学イノベーション
共創センター長
環境安全科学部門 教授
堀 一繁 氏
液晶ディスプレイ導入による校務改善の効果は極めて顕著で、ほとんどの教員が作業時間の短縮、業務効率の向上、身体的負担の軽減といった具体的な効果を実感している。
特に、複数資料の同時参照や資料作成の効率化といった場面で、液晶ディスプレイの併用が校務の効率化に大きく寄与している。
液晶ディスプレイの導入は、比較的安価な設備投資であるにもかかわらず、教員の働きやすさや業務の質を向上させ、非常に高い費用対効果を示している。今後の教育現場におけるICT環境整備の在り方を考える上で、示唆に富む好事例といえるだろう。

USB Type-Cケーブル1本で映像出力・給電が可能
フルHD 23.8型ディスプレイ
iiyama液晶ディスプレイ
「ProLite XUB2497HSN-B1」
インターフェース:DisplayPort(出力/入力) / HDMI(入力) / USB3.2×3 / USB Type-C(UP/DOWN) / LANポート / ヘッドホン
※USB Power Delivery(65W)対応
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