AWS×生成AIで切り拓く ―中小企業同士が共創する新しいビジネス―

株式会社オルタナティブ
代表取締役社長
ITコンサルタント
谷藤 亮子

NHN テコラス株式会社
代表取締役社長
白倉 章照

NHN テコラスのオフィス内カフェにて撮影

今、クラウド基盤上での生成AI活用が大きな潮流となりつつある。特に国内市場では、Amazon Web Services(AWS)を基盤に選ぶ企業が多く、幅広いサービスをどう組み合わせて実用化するかが課題となっている。そうした中、中堅・中小企業が新たなビジネスを生み出す取り組みを支援する技術パートナーの存在が重要性を増している。本記事では、NHN テコラス、オルタナティブ、両社のトップが、協業事例を基にクラウドと生成AIが切り拓く中小企業の未来を語り合った。(文中敬称略)

生成AIとAmazon Connectで
新聞販売店の業務を改革

――まずは、両社のご紹介をお願いします。

谷藤オルタナティブは2022年11月に設立しました。私自身、長年一般企業でエンジニアを務めており、10年以上システム部門の責任者を拝命し、売り上げ200億円、300人規模(当時)の企業のシステム部隊を率いてきました。そうした経験を活かして、3年前にITコンサルタントとして独立し、立ち上げたのがオルタナティブです。当社がコンセプトとしているのが、超上流のフェーズからお客様のシステムづくりに関わること。実際のところ、中小企業にせよ、大企業にせよ、ITに対する期待が過剰である半面、どこか軽く見ているところもあって、その姿を正しく捉え切れていません。各所で発生しているITプロジェクトの失敗は、そこに起因していると考えています。そこでシステムづくりに当たって、お客様のビジネスにしっかりコミットし、コンサルティングしていこうと当社では考えています。オルタナティブでは、そうした「ITコンサル」と「開発」、そしてIT人材の育成を支える「研修」を3つの柱として、お客様のIT活用を真に支援していける体制を目指しています。

白倉NHN テコラスは旧株式会社ライブドアのITインフラ技術部門を母体に、2014年よりNHNグループの一員としてデータセンターとクラウドの二軸で事業を展開しています。特にクラウド事業では、AWSの総合支援に注力し、コスト最適化、セキュリティー・ガバナンス強化、データ分析、生成AI活用といった領域でお客様をサポートしています。現在はクラウド事業が全体の8割以上を超え大きく成長を続けていて、顧客層は中堅・中小企業が中心です。長くITインフラ運用で培ったノウハウを基盤に、多様な業種のお客様に選ばれる存在となっています。

――両社が協業された新聞販売店向けプロジェクトについて教えてください。

谷藤新聞業界は発行部数減少による構造的課題に直面しています。私たちは、販売店業務の効率化と新しい収益源創出を目的に、コンタクトセンター業務を生成AIとチャットボットで自動化する仕組みを提案しました。具体的には、AWS上のAIネイティブなコンタクトセンターサービスであるAmazon Connectや、AIチャットビルダーであるAmazon Lex、生成AIサービスを構築するためのサービスとなるAmazon Bedrockなどの仕組みを活用して、従来は販売店のスタッフが担当していた販売店の電話受付業務をAIチャットボットで自動化し、未配達分の配達手配や一定期間の配達の停止などの手配をシステム的に行えるようにしました。結果として、販売店では年間約100万円の人件費削減につながりました。これはまさに「AI×クラウド」が中小企業の新しい可能性を開く事例だと考えています。

伴走型のクラウド支援で
スキル移転と成果を両立

――このプロジェクトにおいて、NHN テコラスの支援を仰いだ経緯とは、どのようなものでしたか。

谷藤AWS SummitなどでAWSの各機能のことを知り、活用したいと考えたものの、当社のスキルのみで進めるのは困難でした。そこで、アマゾンウェブサービスジャパンに相談したところ、支援可能なベンダーとして他の数社とともに紹介されたのがNHN テコラス様でした。選定のポイントとなったのは、実際にお話しさせていただいたエンジニアの方の“雰囲気”みたいなもので、これなら絶対うまくいくと直感したのです。例えば、当時、当社は私の個人事務所のようなものだったので、中には素っ気ない対応でまともに相手にしてくれないベンダーもありました。それに対しNHN テコラス様は、そうした扱いは一切せず、ビジネスパートナーとして真摯に向き合ってくれたのです。

白倉NHN テコラスは、150名ほどの人数規模ながら AWSパートナーネットワークの上位1%未満ともいわれる「AWS プレミアティアサービスパートナー」認定を受けています。高い技術力と成功事例を基盤に、伴走型でお客様を支援するのが特徴です。今回も、オルタナティブ様が構想されたアーキテクチャーを最短ルートで実現できるよう、設計・パラメータ調整などの実務面でナレッジを提供しました。生成AIのような先端技術は、小さな組織でも大胆な挑戦を可能にします。オルタナティブ様の取り組みには大きな共感を覚えました。

――NHN テコラスのAWS活用支援における強みや実績はどのようなものになりますか。

白倉AWS認定に裏付けられた技術水準と多数の実績を持ち、支援のゴールは「お客様が自走できること」です。知見をトランスファーしつつ成果につなげる「伴走型支援」が当社の強みです。今回も、共に進める中でスキル移転を行い、安心して開発を進めていただける環境を提供できたと思います。

谷藤担当いただいたNHN テコラス様のエンジニアは、常に当方の意図を正確にくみ取り、期限通りに回答してくれました。安心して開発を進められたのはNHN テコラスの支援のおかげだと思っています。

NHNアトリエ

中堅・中小企業の顧客拡大を念頭に
パートナーの拡充を推し進める

――両社の協業など、今後の取り組みについてのビジョンをお聞かせください。

白倉日本企業の99%以上は中小企業で、その多くが地方に拠点を構えています。当社は全国のIT事業者とのパートナーシップを強化し、地域企業へのクラウド活用支援を拡大していきます。生成AIは「業務サポート」から「ビジネス構造を変える」段階へ進化しています。社内でもAmazon Bedrockを使ったAIチャットボットの基盤を運用していますが、既存の仕組みとシームレスに連携したRAGによる生成AIの活用やエージェントAIによる業務プロセスの自律的実践などで、お客様のビジネスの変革に大きな貢献を果たしていきたいと考えています。

また、独立系のソフトウエアベンダー(ISV)が販売しているパッケージソフトをクラウドにのせてSaaS化するビジネスモデルの需要がありますが、実際に進めようとすると、クラウドで販売する場合の料金設計やコスト管理、ITインフラの運用体制など様々な検討事項が出てきます。技術に加えてビジネス上の実務ノウハウについても提供していきたいと思います。

谷藤今後、AWS上に立ち上げたサービスをSaaS化し、全国のお客様に向けて展開していくことを新聞販売店のお客様と共同事業として進めていきます。2026年春ごろにスタートすべく準備を進めており、NHN テコラス様にはシステムの機能拡張や調整に関わるスキルのトランスファーを引き続きお願いできればと考えています。またこのサービスに限らず、今後もAWSの提供するAIサービスを使って、お客様のビジネス変革に寄与するシステムの構築を目指していきたいと思います。

谷藤氏

「今後もAWSの提供するAIサービスを使って、お客様のビジネス変革に寄与するシステムの構築を目指していきたいです」 谷藤氏

白倉ありがとうございます。まさに当社が描いている「パートナーと共に新しいサービスを全国に広げる」ケースです。当社独自の「テコラス パートナープログラム」を通じ、全国で1,000社規模のパートナー拡充を進めています。中小企業の皆さまと共創し、クラウド×生成AIによる新しい事業モデルを次々と生み出していきたいと考えています。

白倉氏

「伴走型支援を通じ、中堅・中小企業の皆さまと共に成長し続けます」 白倉氏

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