高速・大容量・低遅延・多数同時接続の
ローカル5Gが「現場DX」を加速する

工場や倉庫などの現場では様々な「つながる機器」が動いている。従来はWi-Fi環境が利用されるケースが多かったのだが、ネットワーク接続する機器の急増、画像データのやり取りなどによって帯域が圧迫され、遅延などの問題が業務に影響を与える場面も目立ち始めた。そこで、新たな無線ネットワークとして注目されているのがローカル5Gである。製造業や建設業、物流業などの企業向けに現場のDX提案で豊富な経験を持つ岡谷鋼機の4人に、DXの現状と将来、そしてローカル5Gの可能性を聞いた。

「2024年問題」を機に
DXを進める企業が増加

赤堀 義武氏

岡谷鋼機株式会社
エレクトロニクス本部 技術営業部 室長
赤堀 義武

 多くの産業にいえることだが、製造や建設、物流などの現場では人材不足が深刻化している。大きな課題を一気に解決する手段は見出しにくいが、企業としてできることはある。DXはその有力な選択肢である。

 「製造・建設・物流業界の空気が変わったのは、2023年ごろだと思います。以前は、新しい機械設備やシステムの導入に消極的な企業もありましたが、時間外労働規制が強化される『2024年問題』が強く意識されるようになってから大きな投資に踏み切る企業が目立ち始めました。規制強化の直接の対象は建設現場やドライバーなどの分野ですが、製造現場にも物流が入り込んでいます」と語るのは、岡谷鋼機の赤堀義武氏である。

海本 昭都氏

岡谷鋼機株式会社
東京本店 北関東支店
エレクトロニクス メカトロ担当
海本 昭都

 岡谷鋼機は名古屋市に本拠を置く独立系商社。国内外に多くの拠点を展開しており、鉄鋼などの金属類、電気・電子部品、建設資材など幅広い製品を提供している。近年は、企業に対して製造DXや建設DX、物流DXに向けた提案をする機会が増えているという。

 「私は自動車業界、半導体業界を中心に営業活動を行っているのですが、現場の省人化や自動化に対するニーズの高まりを感じています」と語るのは、岡谷鋼機の海本昭都氏。業界によって力点は異なるものの、DXで現場の効率化を図るという方向性は共通しているようだ。

那須 賢志朗氏

岡谷鋼機株式会社
東京本店 エレクトロニクス部
エレクトロニクス室
那須 賢志朗

 「建設業はデジタル化が遅れているといわれます。紙の文書や図面が多く残るなど課題は少なくありませんが、その一方で、建機メーカーやゼネコンなどの間では重機の遠隔操縦・自動操縦などの実証実験が進んでいます。本格的な実用化にはもう少し時間がかかるかもしれませんが、DXによって現場作業を少ない人数で回したい、あるいは工期を短縮したいという期待は高まっています」と岡谷鋼機の那須賢志朗氏は話す。

小笠原 綾杜氏

岡谷鋼機株式会社
名古屋本店 エレクトロニクス部
電機システム室
小笠原 綾杜

 建設に比べると、製造・物流分野のデジタル化は先行している。例えば、多数のAGV(無人搬送車)が動き回る工場は珍しくない。人よりもAGVのほうが多い工場や倉庫もある。

 「自動車業界では単一工場内でのAGV活用など、自動化・効率化はかなり進んでいます。一部には『やり尽くした』という企業もある。次のテーマとして注目されているのが、敷地内の建屋間での自動搬送です」と岡谷鋼機の小笠原綾杜氏は言う。

 

ローカル5Gを活用して
新しい価値を創造する

 建機の遠隔操縦やAGVの運用はもちろんだが、様々な現場DXに欠かせないのが無線ネットワークである。従来はWi-Fiが用いられることが多かったが、そこには課題もあると海本氏は言う。

 「Wi-Fiのメリットは比較的容易に導入できることでしょう。いま、多くの現場でWi-Fiが利用されています。設備やAGVなどのつながる機器が増える度に、企業は工場内のアクセスポイントを追加して対応していました。ただ、やり取りするデータ量や同時接続数が一定以上になると、通信の遅延や干渉などが発生することがあります」

  
海本氏

 通信速度の低下はリアルタイム性の低下を意味する。そして、現場DXにおいてリアルタイム性が要求される場面は増えつつある。建機の遠隔操縦は分かりやすい例だろう。コンマ数秒の遅延が現場での事故につながる可能性もある。工場内でも複数のロボットやAGVを連携して動かそうとすれば、遅延を最小化する必要がある。

 データ量の増大も大きな課題だ。様々な機器が画像センサーを搭載するようになり、大量のデータを工場のコントロールセンターやクラウドなどに送っている。建機の遠隔操縦では、現場の様子を大画面モニターに映してオペレーターが手元の機器を操作しなければならない。

 現場DXを支える通信には、高速・大容量・低遅延・多数同時接続が求められるようになった。これらの要件は5G通信、そしてローカル5Gの特性でもある。現場情報を大量に吸い上げる上で必要な「上り通信」の容量を、十分に確保できる点もローカル5Gのメリットだ。また、アンテナ間の通信を引き継ぐハンドオーバーがスムーズなことも重要な特性。特にAGVなど移動する機器との通信では欠かせない要件だ。この点で、Wi-Fiとの差は大きい。

 加えて、セキュリティ対応という観点でも、ローカル5Gのメリットは大きい。SIM搭載のデバイスしか、ネットワークに接続することができない。それは、機密情報を扱う現場の安心感につながるだろう。SIMの強固なセキュリティ機能により、定期的なパスワード変更、セキュリティパッチ適用といったWi-Fiで行われているメンテナンスは不要になる。

 今、岡谷鋼機はローカル5Gを活用したDXの提案に注力している。

 「Wi-Fiとローカル5Gを比較して、費用の安さを重視する企業もあると思います。ただ、私たちが接しているお客様の多くは、ローカル5Gによる新たな価値創造への関心が高い。大量データをリアルタイムで通信することで、どんなDXができるか――。お客様の現場で議論・検討されていることですが、当社の提案力も問われています」と赤堀氏。多種多様な商材を扱う岡谷鋼機の強みとローカル5Gの特性を生かし、同社は価値創造につながるDXシナリオの提案を磨いている。

 

ワンパッケージサービス
としての「ギガらく5G」

 岡谷鋼機は2024年7月、NTT東日本との間でローカル5Gに関する提携契約を締結した。NTT東日本のマネージド・ローカル5Gサービス「ギガらく5G」を、岡谷鋼機は販売パートナーとして企業に提供している。

 「ローカル5Gの環境を用意するためには、免許申請などの手続きが必要です。製造や物流などの分野では、通信関係の知見を持つ人材は多くありません。ギガらく5Gなら、免許申請や工事の実施を含めて、NTT東日本にワンパッケージで任せることができる。それが最大の魅力だと思います」と那須氏は話す。

那須氏

 通信品質の高さはもちろんだが、ギガらく5Gの特長はトータルなITアウトソーシングサービスであること。免許取得、ネットワーク設計、システム構築、導入後の運用サポートをNTT東日本が担い、費用もリーズナブルだ。料金体系としては、導入しやすいサブスクリプション型と一括支払い型が用意されている。

 「技術感度の高いお客様は、3~4年前からローカル5Gを検討していました。ただ、当時は料金の高さがネックでした。ギガらく5Gが登場したことで、お客様からは『社内で検討しやすくなった』との声を聞いています。私はお客様に『お待たせしました』といっています」(小笠原氏)

小笠原氏

 ローカル5Gにおけるパートナーシップを通じて、岡谷鋼機とNTT東日本は日本企業の現場DXをこれまで以上に強力にサポートしていく考えだ。現場の課題解決と価値創造はその企業だけでなく、地域の活性化にもつながることだろう。

左から:那須氏、海本氏、小笠原氏

関連リンク

NTT東日本 マネージド・ローカル5Gサービス「ギガらく5G」
https://business.ntt-east.co.jp/service/gigaraku5g/

問い合わせ

NTT東日本 ビジネス開発本部 無線&IoTビジネス部 5G/IoT企画担当
https://info.bizdrive.ntt-east.co.jp/pf0118inq

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