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臨場感あるVRコンテンツで学びを深める教育関係者向けワークショップ

大阪教育大学でエネルギー環境教育の
最新事情を紹介
VR映像で実践するこれからの学び

日経BP 総合研究所は2024年11月26日、大阪教育大学の「みらい教育共創館」(大阪市天王寺区)で、VRコンテンツを活用したエネルギー環境教育に関する教育関係者向けワークショップを開催した。原子力発電環境整備機構(NUMO)の協力を得て実施したワークショップには多くの教育関係者が参加し、これからの学びの可能性を探った。

 VRコンテンツを活用したエネルギー環境教育のワークショップは2回目。会場のみらい教育共創館は、創基150周年を迎える大阪教育大学が2024年春にオープンした産官学連携拠点。会場には40人を超す教育関係者が集まり、VRを活用した教育に関する講演やVRコンテンツの体験に参加。また、NUMOが作成した教材などの展示を見学した。

 冒頭、大阪教育大学客員教授を務める日経BP技術プロダクツユニットの中野淳ユニット長補佐は、「360度の視点移動が可能なVRコンテンツは、児童・生徒がそれぞれの興味を基に能動的に学ぶことができる」とVRの教育利用の効果について語った。

NUMOの地層処分事業を紹介

川中 美侑氏 NUMO広報部 地域コミュニケーショングループ
川中 美侑

 ワークショップでは、NUMO広報部地域コミュニケーショングループの川中美侑氏が、NUMOが実施している地層処分事業を紹介した。

 NUMOは、原子力発電を行った際に出る廃棄物の最終処分を行う実施主体で、処分地の選定や処分施設の建設から操業、閉鎖までを担当する。原子力発電所で使い終わった燃料(使用済燃料)は約95%がリサイクル可能だが、再処理後には約5%の放射能レベルの高い廃液が残る。これをガラスと融かし合わせて固め、ガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)を生成する。これまでの原子力発電利用に伴って発生した使用済燃料を全てリサイクルすると、ガラス固化体は約2万7000本相当になる見込みだ。

 日本ではこのガラス固化体を地下300m以上深い安定した岩盤に閉じ込め、人間の生活環境や地上の自然環境から隔離する「地層処分」を実施する計画で、これは法律でも定められている。地層処分は世界共通認識の処分方法となっている。現在NUMOは処分地の選定を進めており、北海道の寿都町と神恵内村、佐賀県の玄海町で文献調査を実施している。24年11月22日には、寿都町と神恵内村における文献調査の報告書及び要約書が公表され、道内での説明会も行っている。

地下施設を体験するVRツアー
エネルギー環境問題を考える題材に

 地層処分事業は調査に20年程度、処分場の建設、操業、閉鎖までの期間を含めると100年以上の長期にわたるため、現役世代だけではなく将来世代に至るまで、事業の認知拡大を図ることが重要だ。NUMOは学校の授業で地層処分を取り上げてもらうため、教育関係者を対象にした授業研究支援を行っている。その一環で提供しているのが、北海道幌延町に設置された地下350mの世界が見学できる「幌延深地層研究センター」を体験するVRツアーだ。

 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の幌延深地層研究センターは、地層処分に関する技術的な知見を蓄積するため、実際の深地層で研究を実施している。VRツアーでは、なかなか訪れることができない地下深くの坑道に降り、地下の様子を見ながら地層処分の試験研究などについて学ぶことができる。

 川中氏は「地層処分事業は国民一人ひとりが考えるべきテーマだ。主体的・対話的で深い学びにつなげてもらえるよう引き続き教育に関わる皆さまと協力して取り組んでいきたい」と話した。

 ワークショップに参加した教員はVRゴーグルを装着し、ガラス固化体の立体モデルをVR空間の中で持ち上げたり、地下空間での研究を間近に見たりする体験をした。川中氏は「ICT教育が広まっていることから、VRコンテンツが地層処分を授業に取り上げていただくきっかけになってほしい」と期待する。

 大阪教育大学はオーケストラのVRコンテンツなどを作成して、教育現場で活用している。元大阪教育大学教授の田中龍三氏、元獨協埼玉中学高等学校講師の相原結氏、豊中市立第七中学校教諭の内兼久秀美氏は、VR映像の音楽科での活用事例や他教科でのVR活用の可能性などについて紹介した。

 参加者はこのほか、東京都が制作した水害を擬似体験できる防災学習用のVR教材を体験した。

 ワークショップに参加した教員の1人は「実際に体験するのが難しいことでもVRコンテンツなら臨場感の高い体験が可能になる。授業などに取り入れることで、生徒の関心を高められるだろう」などとVRを教育利用する効果について話した。

地層処分とは
北海道幌延町の幌延深地層研究センターのVR映像 北海道幌延町の幌延深地層研究センターのVR映像
https://www.youtube.com/watch?v=_ZhGmrJQJsc

会場には多くの教育関係者が集まった(上)。参加者は、VRゴーグルを装着してNUMOが提供している幌延深地層研究センターのVRツアーなどを体験した(左)。このVRコンテンツは、パソコンやスマホなどでも利用できる(QRコード)。地層処分の仕組みについて説明を聞く参加者たち(右)

VR活用が個別最適で協働的な学びにつながった

 オーケストラの学びにVRを使うと、生徒はCDやDVDでは聴き逃す音や見逃す奏法に気付く。また、興味や関心に応じて選んだ楽器の演奏を間近で見ることで、新たな発見が生まれる。個別最適な学びを実践でき、発見を共有して議論することが協働的な学びにもつながる。VRの体験から、生徒の曲に対する知識や理解も深まった。実際の演奏を聞いてみたいという生徒も増え、「VRによって本物の演奏への興味を引き出せた」と感じている(談)。

相原 結氏

元獨協埼玉中学高等学校講師
相原 結

NUMOが実践する教育支援の取り組み

 NUMOは、「高レベル放射性廃棄物の処分問題」について授業で取り上げやすくするため、授業案の作成や教材開発などを支援しているほか、小中学校・高等学校・大学に向けた出前授業も提供している。
 その他、地層処分を授業で扱うツールとして、小・中学生用の教材と教員用の解説資料、地層処分について楽しみながら学べるボードゲーム「ジオ・サーチゲーム」やVRコンテンツ、短編のアニメ動画なども提供している。

NUMOの主な支援活動

教育研究会への活動支援 出前授業の実施 基本教材・ボードゲーム教材の開発・活用 エネルギー環境教育「全国研修会」の開催 施設見学会の企画・実施 HPを通じた情報発信

教材はこちらより
ダウンロードいただけます。

地下処分に関する教員用解説書
今回のワークショップでは「ジオ・サーチゲーム」 地層処分の人工バリアの1つ“ベントナイト”を用いた実験

NUMOが提供する小学生向け(左)と中学生向け(右)の教材。児童・生徒のレベルに合わせて「高レベル放射性廃棄物の処分問題」について学ぶことができる

お問い合わせ

原子力発電環境整備機構(NUMO)

〒108-0014
東京都港区芝4-1-23 三田NNビル2階

https://www.numo.or.jp/