


工場や倉庫、体育館をはじめとする高天井用照明器具の維持管理が、曲がり角を迎えている。
かつて高天井用照明では、HID(高輝度放電)ランプが主に使われてきた。しかし2018年3月にHIDの照明器具と安定器が、2024年3月末にHIDランプがそれぞれ生産終了となった。省エネルギー性能と長寿命のメリットを持つLEDランプへの置き換えが加速する中、HIDランプを用いる既存施設ではLED化が喫緊の課題となっている。
HIDランプのうち、例えば定格寿命18,000時間のセラミックメタルハロイドランプは、一定条件下で約6年使用できる。一方、照明器具の適正交換時期は8〜10年。HID照明器具は販売終了から既に7年以上が経過し、多くの器具の交換期が迫っている。HIDランプを最近取り替えた施設であっても、悠長に構えてはいられない状況だ。


既存照明のLED化に際して気を付けたい点は何か。「照明のリニューアルと同時に、既存のオートリフターを必ず撤去してほしい」とパナソニック エレクトリックワークス社(以下、パナソニックと記載)の担当者は注意を促す。
オートリフター(電動昇降装置)とは、高天井に設置した照明器具をワイヤで昇降させる機器だ。高天井に設置されたランプ交換や定期点検を安全かつ簡単に行うことを目的に、工場や倉庫、体育館、商業施設、駅舎などで多く利用されてきた。
しかし、HIDランプから長寿命なLED照明器具に移行する流れに伴い役割を終え、2014年9月末に販売を終了。既存のオートリフターは、新しい製品でも10年以上が経ち、15年の耐用限度が視野に入る。
15年以内のオートリフターであっても、使用開始後10年以上を経過し、昇降回数が増えると、接点部の劣化やワイヤの折れ・切れといった内部劣化が生じる可能性が高まる。年に1回の定期点検はもちろん、設置から15年以上経過したオートリフターは撤去が必要だ。「モノには寿命がある。寿命を超えて使うことのリスクを念頭に、維持管理計画を検討していただきたい」とパナソニックの担当者は訴える。
LED照明器具への交換時には、照明器具も含めて一式交換することも重要だ。既存の照明器具に適合していないLEDランプを取り付けると、感電や焼損、落下などの危険が生じる恐れがある。
オートリフター自体も、HIDランプの設置を想定して設計されているため、LEDランプとの組み合わせに対する安全性は担保されない。オートリフターにLED照明器具を取り付けると、設置バランスの悪さや背面への放熱などから、オートリフターの落下、発火などの事故を引き起こす危険性がある点にも留意したい。


LED照明器具には、省エネルギー性能の向上、長寿命、演色性の高さ、調光機能など多くのメリットがある。例えば省エネルギーに関しては、一定の使用条件の場合、高天井用のLED照明器具はHIDランプに比べて約73%の節電効果をもたらし、年間の電気代を大幅に削減することができる。※
しかし、これらのメリットを手にする一方で、安全性がおろそかになっていたら元も子もない。安全確保の大前提となるのは、「耐用年数を過ぎた既存オートリフターの撤去」と「ランプと照明器具の適切な組み合わせ」だ。この点を肝に銘じてLED化を進めることが、施設管理者や設計者の責務となる。
※パナソニック エレクトリックワークス社調べ




環境配慮の重要性の高まりを背景にLED照明器具への置き換えが進み、HID照明は役割を終えた。
2018年3月にHIDの照明器具と安定器が、2024年3月末にHIDランプがそれぞれ生産を終了。水銀に関する水俣条約の締結を受け、水銀灯も2020年6月に生産を終えた。高天井にHID照明を用いてきた既存施設では、近い将来のLED化が求められている。



種類によってHIDランプの定格寿命は異なる。1日10時間の点灯で年間約3,000時間使う場合、水銀灯が約4年、マルチハロゲン灯が約3年、セラミックメタルハロイドランプが約6年。ランプの寿命を見据え、LED化の計画を進めることが大切だ。




使用開始後10年を過ぎた照明器具は、外見では判断がつかない摩耗などの内部劣化が進み、故障率が急速に高まっていく。安定器の絶縁劣化が発煙事故を招くケースも稀に発生している。点検や交換計画は、使用開始8年を過ぎた時期から早めに取り組みたい。




使用開始後10年以上経過し、昇降回数が増加したオートリフターでは、内部劣化が起きる可能性が高くなる。外からは見えなくても、内部で生じた接点部の劣化、ワイヤの乱巻きや折れ・切れ、滑車の割れなどは落下事故などの原因にもなる。年に1回の定期点検を実施し、設置後15年以上経過したオートリフターは撤去することが大切だ。




LED化を進める際には、照明器具を含めて一式交換する。既存照明とLEDでは安定器や制御器の仕組みが異なる他、屋内・屋外・看板などの用途の違いもある。適合しない照明器具にLEDランプを取り付けると感電、焼損、落下などを引き起こす恐れがある。




高天井用照明器具の場合、LED照明器具はHIDランプに比べて、同じ使用条件で約73%の節電効果がある。瞬時に明るくなり、点灯と消灯を自在にできるLEDランプは、利用実態に合わせてこまめにオンオフして使えるため、省エネ効果のさらなる向上に寄与する。




パナソニックは、既存照明のLED化を計画する利用者を対象に、月額払いサービスを用意している。1〜7年の契約期間で分割支払いできる。LED化工事時の一括払いを避けることができ、工事後はLED化によって電気代を削減できるため実質負担を抑えられる。動産総合保険付き。

