ADAS/自動運転開発を支える
GPUクラウドサービス
現在、AIの開発・活用が加速しています。その際、LLM(大規模言語モデル)開発などでも大規模・高速並列処理が可能なコンピューティングリソースが必要で、GPUサーバーへのニーズが高まっています。
さくらインターネット株式会社
CS本部 営業部
担当部長
冨田 良氏
冨田(さくら)私たちさくらインターネットがAI・ディープラーニングに最適な計算リソースを提供するGPUクラウドサービスを始めたのが2016年のことで、既に9年目となります。昨今の生成AIの台頭を受けて、より大規模なGPUパワーを求める企業が増えています。一方でGPUサーバーは機器が高額で、消費電力も大きく故障も発生しやすいため、オンプレミスの運用では、初期投資のみならずファシリティ面やエンジニアリソースの負担も増大しているのが現実です。
そこで当社は2024年1月、NVIDIA H100 Tensor コア GPUを搭載したベアメタルサーバーを提供するGPUクラウドサービス「高火力 PHY(ファイ)」をリリースしました。総額1000億円規模の投資を進めており、今後に向けてもNVIDIA H200 Tensor コアやNVIDIA B200 Tensorコアなど最新GPUの搭載を継続的に進めていきます。現時点ではH100 GPUを2,000基以上運用していますが、近い将来に1万基まで拡大する計画です。
高火力 PHYでは、具体的にどんな用途を想定していますか。
冨田(さくら)主な用途としてはLLM開発が挙げられますが、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転といった領域でも大規模なGPUクラスタに対するニーズが高まっています。
ADAS/自動運転というキーワードをいただきましたが、まさにこの領域にチャレンジしているのがティアフォーなのですね。
株式会社ティアフォー
大里 章人氏
大里(ティアフォー)ティアフォーは「自動運転の民主化」をビジョンに掲げ、様々なパートナーと共に自動運転サービスのエコシステム構築を進めています。自動運転の開発を少数の巨大企業が独占するのではなく、より多くの組織・個人が参画できるよう、オープンソースの自動運転OS「Autoware」を開発し、基盤として提供しています。
その上で、各自治体や運行事業者への車両販売や自動運転サービスの実装支援をはじめ、自動車メーカーへの自動運転システム開発の支援、Autowareを基盤としたコンサルティングなどを行っています。最近の事例としては、長野県塩尻市において自動運転レベル4の運行許可を取得し、2025年1月23日から2月7日にかけて、運転席にドライバーを配置しない自動運転バスの公道実走を行いました。
そういった自動運転技術の開発で、GPUクラウドサービスが必要となる理由を教えてください。
大里(ティアフォー)自動運転では、車載のエッジデバイス上でAIモデルを高速かつ低消費電力で動作させる技術が重要です。しかし、それを実現するための前段階としては、大規模なデータセットを活用しつつAIモデルを実験的に探索・構築するプロセスが欠かせません。さらに、継続的な運用のためにはMLOpsパイプラインを用いたモデル管理や、各車両へのデプロイといったバックエンドの仕組みも必要になります。これらを支えるには、サーバーサイド環境における膨大なGPUリソースが不可欠となるのです。
Co-MLOpsプラットフォームを支える
高火力 PHY
自動運転AI開発の民主化を促進するため、ティアフォーでは機械学習モデルの開発および運用を支援する「Co-MLOpsプラットフォーム」という基盤も提供しているとうかがいました。
株式会社ティアフォー
梅田 弾氏
梅田(ティアフォー)ティアフォーでは、自動運転バスや自動運転タクシーといった自動運転システムそのものの開発に加え、自動運転開発を効率的にサポートするプラットフォームの開発も行っています。それがCo-MLOpsプラットフォームです(図1)。AIに同じ種類のデータだけを与え続けても汎用的な自動運転は実現できず、雪や雨といった悪天候時も含めた幅広いデータを与え、継続的に訓練を繰り返さなくてはなりません。加えて自動車はグローバルに展開されるため、日本以外のデータも学習する必要があります。こういった課題の解決を、Co-MLOpsプラットフォームが効率的にサポートします。
図1 Co-MLOpsプラットフォームが実現する自動運転開発のエコシステム

Co-MLOpsプラットフォームを導入することで、グローバルで収集されるカメラ画像やLiDAR点群などの大規模データセットが共有可能となる。さらにMLOps機能やエッジAIのリファレンスモデルを活用することで、各社は独自の自動運転AI開発を強化できる
また、Co-MLOpsプラットフォームは多くのパートナー企業と連携し、多種多様なデータを共有しながら、効率的に自動運転AIの開発を進めることを目指しています。単にデータを配布するだけではなく、「アクティブラーニング」「リファレンスAI」「オートラベリング」「画像の匿名化」という4つのAI要素にトータルに対応するとともに、データマネジメントやデータ収集、アノテーションなどに費やしていたコストを削減し、結果としてパートナー各社は、自動運転AI開発における差別化領域に専念できるようになります。
Co-MLOpsプラットフォームのサービスを提供していく上でもGPUリソースが不可欠なのですね。そうした中、さくらインターネットの高火力 PHYを採用した理由を教えていただけますか。
梅田(ティアフォー)端的にいえば、先に挙げた4つのAI要素の実現には、すべてで高性能なGPUが求められました。実験1回当たりの学習時間をできるだけ短縮することが、機械学習のモデル選定やハイパーパラメータチューニングの効率化につながるからです。ところが当社の社内には高性能GPUを稼働させる十分な設備が整っていません。そこで常時実験や学習を行うことを前提としつつ、GPU専有型のクラウドサービスを探していたところ、既に豊富な実績を有しており、私たちが求める性能に対して高い経済合理性を兼ね備えていた高火力 PHYが目に止まりました。
実際に高火力 PHYを採用した効果はいかがでしたか。
梅田(ティアフォー)高火力 PHYはわずか1日でセットアップ完了し、即時に利用を開始することができました。導入効果は大きく、巨大なモデルを利用して従来2~3週間を要していたすべての実験が、1週間以内で終わるようになりました。これによって余力のできたGPUリソースを、モデル探索やハイパーパラメータチューニングなどに投入しています。
自動運転2.0に向けた生成AI開発が始動
自動運転領域における技術開発をさらに強化するために、今後のアプローチをどのように展望していますか。
大里(ティアフォー)ティアフォーは東京大学松尾豊教授が技術顧問を務める松尾研究所と共同し、自動運転2.0に向けた生成AI開発プロジェクトを開始しました。自動運転レベル4の運行設計領域(Operational Design Domain:ODD)を飛躍的に拡大させることを目的とするものです。大量の走行データを学習して実世界の運転行動の常識を模倣できる大規模世界モデルを構築することで、事前に定義したルールが適用できない状況においても、周囲の環境情報から適切な運転行動を生成可能なEnd-to-End AIを実現を目指します。今後の自動運転 2.0の潮流において、このような大きな計算負荷を伴う AI モデルの重要度が高まっていくと考えています。
ますます高度なGPUサービスが必要となりますね。
大里(ティアフォー)当然そうなります。絶対的な火力だけではなく、高速かつ広帯域なデータ転送やストレージなどの周辺スペックの強化も求めています。また、開発用途で数週間から数カ月にわたるような大規模実験を回すだけでなく、自動運転サービスのSLAを担保するために、GPUサービス自体の安定稼働も重要な要件になると考えています。
こうしたティアフォーの構想を受け、さくらインターネットでは今後どのようなGPUサービスを提供していくのでしょうか。
さくらインターネット株式会社
経営戦略本部
事業戦略担当
水無瀬 裕貴氏
水無瀬(さくら)データセット持ち込みに重要な回線サービスの強化のほか、物理的なデータ輸送サービスや高速ストレージなど、グループ会社とも連携して周辺サービスの拡充を図っています。また、石狩データセンターにおいて水冷環境でのNVIDIA H200 Tensorコアの構築を進めており、現在ご注文を受け付けており既にお引き合いも頂いております。同様にNVIDIA B200 Tensorコアについても、早期リリースを目指しています(図2)。
図2 さくらインターネットのGPUクラウドサービスの今後

既にNVIDIA H100 Tensor コアを2,000基以上運用、NVIDIA H200 TensorコアやNVIDIA B200 Tensorコアの構築も進めており、合計1万基まで増強する計画だ。今後は、GPU1枚から時間単位で利用できるVM版 の高火力VRTのリリースも予定している
さらにGPUの提供形態の点でも大規模・長期間利用に適したベアメタル型の高火力 PHYや、Dockerイメージの実行ができるコンテナ型サービスの高火力 DOKに加え、短期・中期のプロジェクトに向けてGPU1枚から時間単位で利用できるVM版の高火力 VRTのリリースも予定しており、積極的なラインナップ拡充を通じて、ティアフォー様はじめお客様の事業拡大へ貢献していきます。
ティアフォー
関連リンク
お問い合わせ
株式会社ティアフォー 広報担当
さくらインターネット
関連リンク
お問い合わせ
さくらインターネット株式会社




