レガシーシステムからECをいかに連携・拡張させるかが課題
──そうした仕組みを構築するには、デジタル技術の活用が不可欠だと思います。南先生は、EC事業者のDXの現状について、どのようにご覧になっていますか。
南氏 ひと口にEC事業者と言っても、大企業と小規模事業者とでは、スタートラインや抱える課題が異なるので分けて考える必要があります。
小規模事業者は、従業員が数人ということも多く、そうした企業は、そもそも顧客管理や在庫管理、マーケティング、決済といった機能をまったく持っていない状態で、ゼロからシステムと体制を作り上げていく必要があります。
今は「Shopify」のように、EC運営に必要な機能を月額課金で利用できるプラットフォームがあるので、EC事業への参入障壁は非常に低くなっています。言い換えれば、小規模EC事業者の多くは、スタート地点からDXの恩恵が存分に受けられる環境が整っているのです。ただし、仕組みは整えることができても、小規模事業者は、販売プロモーションや顧客分析のスキルが大企業と比べて足りない点が課題だと言えます。
一方、大企業の場合、BtoBにせよ、BtoCにせよ、もともと受発注や顧客管理のため長年にわたって構築してきたシステム群が存在します。企業によっては、何十年も利用しているレガシーなシステムが動いているケースもあるため、EC事業に参入したり、既存のECサイトの規模をさらに拡張したりする際に、新たなシステムを構築し直すことは大変な手間とコストがかかります。企業で長年蓄積されたデータを無駄にしないためにも、既存のシステムを、デジタル技術を駆使したECのシステムやプラットフォームとどのように連携させるのかということが、DXを進める上での大きな課題となっているようです。
──岡村さんは、南先生が指摘された大企業の課題について、どのようにお感じですか。
シニアテクニカルパートナーマネージャー
岡村 純一 氏
岡村氏 おかげさまで「Shopify」は、日本でも大手アパレルや食品会社など、数多くの大企業にご利用いただいています。
そうした大企業の導入をご支援してきた中で痛感するのは、長年築き上げてこられた既存のシステムと、「Shopify」のようなプラットフォームを連携させるのは、やはり一筋縄ではいかないということです。
ポイントは、連携させるべき機能を見極める「スコーピング(全体状況の把握)」と、どの順序で連携させていくのかを決める「フェージング(段階設定)」をしっかり行うこと。この2つが実践できている企業の多くは、EC事業のDXに成功しているようです。
ちなみに「Shopify」のパートナー企業には、スクラッチで開発されたレガシーシステムと「Shopify」を連携させるためのシステムを開発している企業もあります。
また、「Shopify」のアプリストアには、サードパーティーが開発したものも含め、EC運営に役立つ様々な機能を持ったアプリが用意されています。「Shopify」自体の機能に加え、それらのアプリの組み合わせによって事業の成長段階に応じて機能を拡張していけるのが、他のプラットフォームにはない大きな特徴の一つだと言えます。例えば、SNS連携によりECサイトへの顧客のスムーズな誘導を可能にすることはもちろん、SEO対策をサポートする機能、バックオフィスの在庫管理を効率化する機能など、事業の規模や課題に合わせて適切なアプリを活用することができます。
ビジネスの発展段階に合わせて
機能が拡張できる
──南先生は「Shopify」の特徴や魅力について、どのように感じられていますか。
南氏 「Shopify」の拡張性の高さは、事業規模にかかわらず、あらゆるEC事業者にとって大きな魅力だと思いますね。
例えば企業が初めてEC事業に参入する際、将来どこまでビジネスが成長するか分からないのに、いきなり大規模なシステム投資を行うのは無理があります。また、これからEC事業を拡大したい企業にとっても、顧客や商材が増えるにつれて必要な機能を追加していくといった段階的な発展ができるので、とても柔軟なプラットフォームだと思いました。
岡村氏 実際、米国のユーザーの中には、アパレルブランドをたった1人で立ち上げ、IPO(新規株式公開)をするまで、一貫して「Shopify」を利用された方もいらっしゃいます。ビジネスの発展段階に応じて機能をどんどん拡張しながら、「Shopify」を使い続けてEC事業を大きくされたのです。
一般的にEC事業では、ビジネスのスケールアップとともに利用するプラットフォームも変わっていくものですが、同一のプラットフォームを機能拡張しながら使い続ける方が、データがどんどんたまっていくので圧倒的に有利です。また、途中でプラットフォームを変更すると、お客様にも情報を登録し直していただく手間が生じますが、それによってお客様を失ってしまうことも防げます。
いずれにせよ、小規模から大規模まで、あらゆる成長段階に応じたサービスを提供できるのが「Shopify」の強みです。大企業向けには「Shopify」のPlusプランもあります。専任のエンジニアや営業が、既存システムとの連携からサービスのローンチまで、トータルなサポートを提供しています。
「Shopify」の特徴とは?
南氏 もう一つ、「Shopify」の魅力と言えるのが、複数プランから選べる月額課金で利用できる点ですね。システム開発のための時間や費用がそれほどかからないので、素早く事業をローンチできますし、「Shopify」のプラットフォーム側で、常に新しい機能やAIのような最新のテクノロジーをアップデートしていると聞きました。市場トレンドや消費スタイルの変化が目まぐるしい今日の状況にマッチしているのではないでしょうか。
岡村氏 Shopifyは、2024年だけで約2600億円をR&D(研究開発)に投資しています。世界175カ国以上に7.75億人のユーザーがおり、そのベストプラクティスをフィードバックしてもらいながら、役立つ機能をどんどん追加しているのです。これからも、EC事業の発展を支える唯一無二のプラットフォームとして進化を続けていきます。
──最後に、EC事業者の方々にひと言ずつメッセージをお願いします。
南氏 BtoC、BtoBにかかわらず、EC事業で常に見据えるべきなのは「顧客体験」です。目の前のお客様が生活や事業の中でどのような体験をしているかを知ること。そのためにはどんなサービスが必要なのかを考えながら、仕組みの設計や機能の選別を行っていくことが、ECを成功させるための重要なポイントだと言えます。
もちろん、お客様のニーズは時代とともに変わりゆくものなので、仕組みを支える基盤選びに当たっては、拡張性や柔軟性を重視することが大事だと思います。
岡村氏 これからECを始めようとしているオフラインの事業者や、既にECを行っているけれど、あまりうまくいっていない事業者の方々には、これまでのやり方をいったんリセットし、ゼロベースから事業を考え直してみることをお勧めします。
時代が目まぐるしく変わる中で、お客様のニーズもどんどん変化しています。そうした変化に迅速かつ柔軟に対応するには、まっさらな仕組みを新しく作り上げられるようにしておくことが大切です。
「Shopify」は、ゼロベースからブロックを積み上げるようにECの仕組みが構築できる拡張性と柔軟性を備えたプラットフォームです。日本のEC市場は、まだまだ伸びしろの大きなマーケットです。そこでEC事業者の皆様が大きく発展できるように、これからもお手伝いをさせていただきます。

