同社では、これまでも商品の品質を維持するため、冷凍機の吸入、吐出圧力や庫内温度を厳格に管理してきた。しかしセンサーの種類は冷凍機メーカーによって異なり、運転を制御するソフトウエアの仕様もまちまちだったことから、拠点ごとの監視しかできていなかったという。
「省エネ対策のために複数拠点の稼働状況を比較対照したいときなどは、それぞれの設備管理担当者からデータを提供してもらわなければなりません。担当者が常駐しない小規模な物流センターについては、近隣の拠点の担当者が定期的にデータの確認に赴くといった手間もかかっており、遠隔での監視や一元管理をできるようにすることが以前からの課題でした」とニチレイ・ロジスティクスエンジニアリングの高橋 一郎氏は振り返る。
株式会社ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリング
執行役員
プラントエンジニアリング事業本部 副本部長
企画開発部長
高橋 一郎氏
そこで企図されたのが、IoTソリューションを用いた遠隔監視システムの構築である。同社では慎重に、複数のベンダーによる提案を検討。最終的に選出したのが、MODEの「BizStack(ビズスタック)」だった。
「他社が勧めるパッケージ製品とは違いプラットフォーム自体をユーザーの要望に応じてアレンジできる柔軟性があったので、より使い勝手のよいシステムになると期待しました」とニチレイ・ロジスティクスエンジニアリングの吉田 有花氏は語る。
株式会社ニチレイ・ロジスティクスエンジニアリング
企画開発部
吉田 有花氏
導入を決めた2020年当時のMODEは広く知られる存在ではなかったが、高度なIoTゲートウェイ技術を活用したソリューションには定評があり、大手企業による採用実績もあった。また、ベンダーの選定段階からエンジニアがプロジェクトマネージャーに同行して現場の倉庫の状況を子細にリサーチした機動性や、コストパフォーマンスが他社と比較して優れている点など、むしろスタートアップならではの魅力を感じたという。
「各フロアだけではなく拠点全体のマップも一緒に表示できるようにしたいと望めば応じてくれましたし、画面遷移の遅さを指摘すれば直ちに改善されるなど、開発途中で改めて対応力の高さを実感しました」(吉田氏)
とりわけ吉田氏にとって印象深かったのが、あるリクエストをしたときのこと。冷凍機の運用を効率化するため、「任意の拠点のリアルタイムの温度とともに、過去の一定期間の温度のトレンドデータも表示して対比できるようにしたい」と伝えたのだ。できれば生データを見られるようにしたかったが、データ量が膨大でその機能を実装するのは容易ではない。そこでMODEは同一画面で表示するトレンドデータの範囲が1週間未満なら生データ、それを超える期間については平均化したデータを表示することを次善策として提案したという。
「平均化されたトレンドデータでも効果的だと感じたので承諾しました。難しいオーダーに『できません』ではなく、可能な限りユーザーのニーズを具現化しようとする姿勢に感銘を受けました」と吉田氏は振り返る。