変化する時代をリードする TMEICのパワエレ技術

製造業回帰の潮流に応える 激変する北米パワエレ市場の中で描く“戦略的”な成長とは

TMEIC
パワーエレクトロニクスシステム事業部
副事業部長

飯島 由紀久

パワーエレクトロニクス(パワエレ)技術は、近年話題の再生可能エネルギー関連だけでなく、AI活用拡大を受けて設置されるデータセンターや、製造業回帰で新増設される工場のキーテクノロジーである。他方で、産業動向や国際情勢の変化、とりわけ激変する北米市場にどのように対応していくか、TMEIC(ティーマイク)のキーパーソンに訊いた。

パワエレの応用領域は、電力・交通のエネルギーはもとより、製造業の生産ラインや鉄鋼・産業プラントなどで使用されるモータードライブ、さらにはAIなどの情報通信まで、極めて広範である。それぞれの領域で利用される多様な機器・システムの電源や駆動装置、蓄電設備などは、より高度なパワエレ技術の導入によって、安定的かつ効率的な稼働を可能にしている。

ただし、応用機器が多岐にわたり、しかも社会活動に密着する重要な役割を果たすがゆえに、市場の需要や活用される技術の動向は、産業界のメガトレンドや国際情勢の影響を受けやすい。そして今、とりわけパワエレ応用機器の需要が高まっているのが北米市場である。

戦略性が問われる
パワエレ市場

これまで米国市場では、「インフレ抑制法(IRA)」を後ろ盾とした気候変動対策として、パワエレ応用機器の需要拡大が続いている。

だが直近では、米国での政権交代を境に状況が一変。「メガソーラー向けパワーコンディショナー(PCS)の導入は拡大基調が続いていますが、米国政府の政策情報を集めながら動向を注視している状況です。他方、送電線関連のインフラ投資は堅調で、AI活用拡大への対応を急ぐIT企業による、大電力を消費するデータセンターの建設ラッシュや、製造業の米国回帰に呼応した工場の新増設など、パワエレ応用機器の需要を押し上げる要因もあります」と話すのは、TMEICの飯島由紀久氏だ。

特に成長著しいのが、データセンター関連である。

「米国ではデータセンターだけでも、パワエレ応用機器の事業で毎年15%以上のペースで成長していると言われています。新増設されるデータセンターそれぞれで、サーバーや冷却設備が数十MWもの電気を消費するため、発電・送電能力の増強が進められています」(飯島氏)

とりわけ送電の増強においては、再生可能エネルギーの導入拡大や電力需要増加に付随して、系統安定化で利用される自励式無効電力補償装置(STATCOM)や、高圧直流送電(HVDC)向けの受変電設備など、高度なパワエレ技術を利用した数百MWの装置が積極的に採用されている。さらに、データセンター内においても、電源異常時の障害を防ぐための無停電電源装置(UPS)の導入が拡大している。

TMEICでは、北米市場をはじめとするグローバル市場へ、多種多様なパワエレ応用機器を供給している。とりわけ北米で高い信頼性(低故障率)が評価されるUPS事業は、過去3~4年で10倍以上に成長。巨大IT企業も導入しており、さらに製造を拡大している。

加えて、太陽光発電などの環境関連の北米ビジネスに関しても高い継続的成長を見込んでいる。

「環境ビジネスは長期的視野で見れば、確実に伸びる分野です。TMEICは粛々と技術開発や市場開拓を進めていきます」と飯島氏は話す。近年、水素を始めとする環境要素の実証実験が各所で行われ、実用化に向けた技術開発が進んでいる。新たな切り口からの脱炭素化市場が切り拓かれつつあるようだ。

現在の北米市場は、パワエレ応用機器を一括りにして論じることができない状態になってきた。「パワエレ事業は、市場の理解力と洞察力、そして成長領域と安定領域を分別した上でのきめ細かな戦略的展開が問われる時代になりました」(飯島氏)。