「ダウンタイムゼロ」を目指す顧客を支える
老舗企業が示す新たな方向性
2023年11月に行われた、BroadcomによるVMwareの買収。その後に発表されたライセンス体系の変更は、VMware利用企業に大きな衝撃をもたらした。実質的に大幅な値上げになった上、パートナー経由での販売や導入・運用支援も見直されることになったからだ。これは世界中で混乱を招くことになったが、特にVMwareとSIerへの依存度が高い日本企業では、より深刻な問題となっている。
これを契機にオンプレミスのVMwareから、クラウドへの移行を検討している企業も少なくない。しかし日本企業が使っているVMwareをすべてクラウド化することは、現実的な選択とは言い難い。製造業が多い日本ではOTとITの融合が進みつつあり、レスポンス速度を確保するためにオンプレミス(エッジ)に残さざるを得ないアプリケーションも多いからだ。
それではオンプレミスの仮想化基盤を、今後何に移行すべきなのか。多くのIT担当者を悩ませてきたこの問題に対して、ウインドリバーでは新しい選択肢として「Wind River Cloud Platform」(以下、Cloud Platform)の提供を開始した。
「企業ITの担当者の中には、ウインドリバーの名前を聞いたことがない方も多いかもしれません。しかし当社は44年の歴史を持つ企業であり、日本法人も1989年に設立されています」と述べるのは、ウインドリバーで最高技術責任者(CTO)を務めるポール・ミラー氏だ。
「当社はミッションクリティカルシステム向けソフトウエアのグローバル企業で、システムの停止が人命や社会インフラに大きな影響を与える領域で事業を展開してきました」とミラー氏は語る。もともとは米国政府向けのコンサルティング企業としてスタートしたが、1987年にリアルタイムOS「VxWorks」をリリース、組み込み分野へと事業を拡大したと振り返る。2004年には組み込みLinux市場にも参入。航空機や火星探査機、手術支援ロボットといった高度な機器や、5Gの仮想化基盤、自動車など、極めて高い信頼性と応答性が求められる分野で使用されており、ダウンタイムは許されないという。
通信事業者向けの高信頼な基盤を
一般企業にも提供
このように主としてミッションクリティカルなOT領域でのビジネス展開を行ってきたウインドリバーが、なぜ一般企業向けの仮想化基盤を提供するようになったのか。その背景には、5G通信インフラ向けの取り組みがあった。
「当社は2018年にインテルと共に『StarlingX』というエッジコンピューティング向けのインフラプロジェクトを立ち上げています。当時は5Gサービス開始の前年であり、膨大な基地局をどう管理するかが大きな課題になっていました。こうした通信業界全体の課題を、オープンソースを活用したモダンなアーキテクチャで解決したのです」
このプロジェクトにおいて、ウインドリバーはその商用サポート版「Wind River Cloud Platform」をリリース。当初は高い可用性と低遅延が求められるネットワーク基盤向けに提供を行い、ベライゾンやボーダフォン、NTTドコモやKDDIなど世界中の通信事業者に採用された。その後、ほかの分野の顧客から「この高信頼な製品を通信事業以外の分野でも使えないか」という相談を受け、幅広い業界の顧客にCloud Platformを提供するに至ったのだという。
その構成を示すのが下の図1だ。
図1 Wind River Cloud Platformの構成

Kubernetesで管理されるコンテナ上でKubeVirtとOpenStackを動かすことで、
コンテナ環境と仮想マシン環境を1つのプラットフォームで実現できる
まず注目したいのが「コンテナ環境と仮想マシン環境の両方を、単一プラットフォーム上で実現できること」だ。これによりインフラの複雑さを軽減し、コストの大幅な削減と柔軟性の向上が可能になる。
仮想マシンを動かす基盤としては、KubeVirtとOpenStackの2つを用意。いずれもコンテナ上で動作し、コンテナ環境の基盤には業界標準のKubernetesを採用している。これらのコンポーネントはすべて、DebianベースのLinuxをホストOSとし、その上にStarlingXを実装した「Wind River Cloud Platform Foundation」上で稼働する。
また、オープンソース技術を商用化している点も注目すべきだろう。これによってベンダーロックインを回避し柔軟な移行が可能になるほか、商用サポートならではの高い信頼性も実現している。
図2 Wind River Cloud Platformの特長

オープンソース技術の商用化によって、ベンダーロックインの回避と柔軟な移行、
高い信頼性を実現している
「従来のITの市場向けに設計されたものとは一線を画す、よりモダンで革新的なアーキテクチャを採用し、実運用に即した設計になっています」とミラー氏は語る。Kubernetesを基盤としたコンテナ技術と、OpenStackを基盤とした仮想マシンを、単一のテクノロジースタック内で統合することで、インフラの複雑さが軽減され、コストの大幅な削減と柔軟性の向上が可能になるという。「地理的に分散した数千の拠点を単一の管理画面から一括制御できる『分散型クラウド管理』も可能です。実際にある流通企業は、Cloud Platformを基盤とした分散クラウドによって、数千にのぼる店舗のリモートエッジの集中管理と、中央のエンタープライズシステムとの連携を実現しています」
図3 Wind River Cloud Platformで実現できる分散クラウドのイメージ

後述する「Wind River Conductor」と「Wind River Analytics」の2つのオプションを組み合わせることで、「ゼロタッチ構築」を実現するためのオーケストレーション機能、多様なソフトウエアの共存、そして分散クラウド全体の可視化が可能になる。また、サブクラウドの1つが一時的にネットワークから切断された場合でも、そのサブクラウドは単独で稼働し、サービスの提供を継続できる。接続が復旧すると、自動的にシステムコントローラとの同期と復旧が行われる
OTとITが融合した分散環境を
単一プラットフォームで
さらにオプションとして、システム構築後の運用を支援する「Wind River Analytics」と「Wind River Conductor」という、2つのツールが用意されていることも見逃せないポイントだ。
前者のAnalyticsはCloud Platformからのデータ収集や状態の可視化、異常検知を行う監視機能を提供しており、クラウド環境全体の状態を一元的に把握することでスムーズな運用を可能にする。
後者のConductorはCloud Platformの環境全体を「ゼロタッチで構築する」ためのオーケストレーション機能と、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)、ソフトウエア管理、自動化機能を提供。これによって構築・運用の負荷を大幅に軽減できる。パブリッククラウド、ロボット、Kubernetes、OpenStackなど、あらゆる環境にアプリケーションをデプロイ可能で、RTOS、Linux、クラウド、Kubernetes、パブリッククラウドといった異なる種類やバージョンのソフトウエアが共存できる柔軟性も備えているため、複雑な環境でも安定した運用が行える。つまり、多くの日本企業でニーズが高まっている「OTとITの融合」も、シングルプラットフォームで実現できるわけだ。
「このように『Cloud Platform + Conductor + Analytics』によって、ネットワーク全体の置き換えを実現できるようになります」とミラー氏は語る。実際、米国の大手通信会社は、数万台規模のサーバーをVMwareからウインドリバーに移行し、ITエンタープライズ環境、5Gネットワーク、OTデバイスを含む広範なネットワーク全体をモダンなインフラへと刷新したという。VMwareから異なるプラットフォームの移行を効率的かつコストを抑えて実現するには高度な自動化が重要なカギになるが、Cloud Platformはその要件も満たしている。
「Cloud PlatformはVMwareから効率よく移行できるのはもちろんのこと、低遅延・高信頼を低コストで実現でき、OT/ITを融合したシステムのモダン化も可能にします。当社のソリューションは長年ミッションクリティカル領域で採用され続けており、日本でも既に35年にわたってビジネスをしているので、ぜひ安心してお任せいただきたい」と最後にミラー氏は語った。
関連リンク
お問い合わせ
ウインドリバー株式会社
URL:https://www.windriver.com/japan/cloud-platform/contact
E-mail:info-jp@windriver.com


