アドビ
Acrobat Studio登場
AIが変えるナレッジ共有と文書体験
効率化に加え、正確性や
安全性も実現した新プラットフォーム
製品マーケティング本部
Acrobatシニアマーケティングマネージャー
立川 太郎 氏
営業推進事業部
Document Cloud製品イネーブルメント担当
安藤 夕姫 氏
「会議前に共有されるPDF、過去のレポート、メールに添付された資料、社内ポータルにあるドキュメント——文書業務の複雑化や情報量の急増に伴い、資料探索や情報把握に多くの時間が奪われています。私自身、本当に人間の処理能力を超えてきたのではないかと感じたことが何度もあります」と語るのは、アドビ製品マーケティング本部の立川太郎氏だ。
「世界のデータ量は、2029年までに約3倍に増えるという説もあります。世界のビジネスパーソンの半数が、1日1時間以上を情報探索に費やしているというデータもあります。日本でも情報量の多さをストレスと感じる人が約4割もいるという当社の調査結果もある中で、情報収集の効率化や、資料作成時間の短縮といった点で、生成AIへの期待が高まっています」(立川氏)
一方で、ビジネスにおける生成AIの活用には不安の声も少なくない。アドビが実施した調査でも、ハルシネーションに対しては63%、セキュリティでは53%が懸念を抱いているという結果が出ていると話す。
「生成AIの活用で本当に必要とされている理想的な文書体験とは、一元化された関係資料に横断的にアクセスでき、情報の正確性とセキュリティの安全性が担保され、デザイン性の高い資料をアウトプットできることです」と立川氏は語る。
これを実現すべく、編集、情報収集・共有までの文書体験を一気通貫でカバーする新たなプラットフォームとして登場したのが「Acrobat Studio」だ。
これまでもAcrobatには、閲覧や印刷ができる無料の「Acrobat Reader」、PDFファイルの編集やパスワード保護、電子契約などを含むPDFソリューションの「Acrobat Pro」があった。
Acrobat Studioは、Acrobat Proの全機能に加え、複数の文書から知りたい情報をすぐに引き出せる「Acrobat AIアシスタント」、あらゆるファイル、リンク、メモを 1カ所にまとめて他のユーザーと共同作業ができるAIワークスペース「PDF スペース」、見栄えのする資料を誰でも直感的に作成できる「Adobe Express プレミアム」を組み合わせた最上位プランとして新たにリリースされた。
提案資料の作成デモに見る
マンパワー不足を補う手法
続いて登壇した同社営業推進事業部の安藤夕姫氏は、実際にデモを交えながら、Acrobat Studioが生む価値について解説した。製品デモは、自身が架空企業の営業担当となり、架空取引先に対して実際に提案資料を作成する流れを再現したものだ。
「最初のステップは、Acrobatのホームページ上で『PDF スペース』を作成することからスタートします。PDF スペースとは、取引先に関する情報を格納する場所であり、最大100ファイル、1ファイル当たり最大600ページを読み込ませることができます。PDFだけでなく、テキストやMicrosoft 365、Webリンクなど、幅広いファイルを追加可能です」(安藤氏)
PDF スペースで読み込んだファイルは、資料から重要なインサイトをAIが抽出し、要約や潜在的なアクション、プロジェクト名まで生成する。プロンプトの入力も不要だ。
また、このAIにはアナリストやエンターテイナーといった視点の異なる複数の“人格”のプリセットが用意されており、自身で調整することもできる。デモ内では、架空取引先のIT管理部門向けに人格を設定し、経営視点の戦略的示唆に基づくツール選定や、コスト最適化といったインサイトを生成した。
「さらに、AIチャット機能で具体的な指示や質問を投げかけることで、精度の高い提案資料へとブラッシュアップ可能です。今回のデモでも、課題とそれに対する自社製品のサポート内容が箇条書きで整理されました」(安藤氏)
特に注目したいポイントが、作成したPDF スペースに読み込んだドキュメント“のみ”を根拠に、提案資料を作成する点だ。「ハルシネーションや古いWeb情報の混入も防げます。引用元も表示されるので、根拠となる資料に瞬時にアクセスできます」と安藤氏は話す。
こうして生成した回答はワークスペースに保存でき、クラウド上で関係者との共有が可能だ。閲覧権限の設定も柔軟に調整できる他、送付先の相手がAcrobatのアプリを利用していない場合でもWebリンク先からブラウザでPDFを開くことができる。
資料作成の各フェーズで
数値に表れる導入メリット
資料作成では、標準で付属するテンプレートの他、自社で作成したオリジナルのブランドテンプレートを利用することも可能。「選択したテンプレートに当てはめていくだけで資料作成が完了し、ワンクリックで共有が可能です」と安藤氏はその便利さを説明する。
「また、FAQリストや参照資料を同じワークスペースに集約することで、情報の属人化を防げるのもAcrobat Studioのメリットです。お客様からの問い合わせに、誰でも瞬時に同じ品質で正確な回答を見つけ出せるため、マンパワー不足を補う有効な打ち手にもなり得ます」(安藤氏)
加えて、作成した契約書などの内容に変更が発生した場合などにもAcrobat Studioは有効だ。「差分をAIが抽出してリスクチェックができますし、Acrobat内でのメンバーによる同時レビューも可能です。確定した契約書の締結も、電子署名により郵送の手間や印紙代を省くことができます。つまり、契約に関する一連の流れをすべてAcrobat Studioで完結するため、ミスを防ぎながら、業務効率を最大化できます」(安藤氏)。
最後に安藤氏は、Acrobat Studioがもたらす数値的な効果について、調査結果をもとに紹介した。
「文書の調査や整理、作成、共有など、従来は複数ツールに分散していたプロセスがワンストップで完了するため、手戻りや情報の食い違いを防ぎ、最大45%の業務時間削減が可能です。バージョン乱立や重複コミュニケーションも減るため、業務負荷は約30%削減できます。さらに資料作成は最大10倍に高速化し、制作コストも最大45%削減可能です」(安藤氏)
これは、従業員1人当たり1日2時間以上の効率化となり、価値創出業務へ再配分できることを意味すると安藤氏は解説する。Acrobat Studioがあらゆるビジネス文書関連業務を加速させる基盤へ進化したとアピールし、結びの言葉とした。