クリーンエアーシステムの専門メーカーだからこそ実現 クリーンルームの清掃をついに自動化 ロボット掃除機「C30CR」が登場 豊橋技術科学大学 次世代半導体・センサ科学研究所の導入事例で、その実力を検証

クリーンルームで従来から課題だった清掃の自動化。2025年11月、この課題を解決するロボット掃除機「C30CR」が誕生した。開発の背景や実力、効果について、開発元である日本エアーテックの山田翔太氏と、26年3月から同機を導入している豊橋技術科学大学 次世代半導体・センサ科学研究所の飛沢健氏に聞いた。

クリーンルーム清掃の
自動化は長年の課題

写真:山田翔太 氏

日本エアーテック
設計2部 係長

山田翔太

半導体をはじめとする精密機器メーカー、医薬品メーカー、病院や研究所など、一定の基準を満たしたクリーン環境が必要な現場は少なくない。1973年の設立以来、クリーンエアーシステム専門メーカーとして、電子や半導体を含むインダストリアル分野と製薬や医療などのバイオロジカル分野でクリーン環境を提供してきたのが日本エアーテックだ。今回開発したクリーンルーム対応ロボット掃除機「C30CR」もその一つ。開発を担当した日本エアーテックの山田翔太氏は、開発の経緯やそれを可能とした技術的背景についてこう説明する。

「産業分野全体で自動化が進む中、クリーンルーム清掃の自動化が進まないという課題がありました。人の出入りや動きそのものが発塵源となってしまうため、清掃の自動化は業界の悲願でしたが、従来の掃除機では床がきれいになっても、フィルターで取り切れない微細な粒子の排気に加え、粒子の巻き上げによって、クリーン環境が保てなかったのです。当社がこの課題解決に挑戦できたのは、長年のクリーン機器の開発を通して高性能フィルターなどの技術を蓄積していたからです。本機は清掃だけでなく、粒子の再飛散を抑制し、清浄空気を排出することで、クリーンルームの清浄度維持に貢献します」(山田氏)

同社の強みであるクリーンエアーシステムの開発技術を活用し、捕集効率99.97%以上の高性能フィルターを、クリーンルーム対応ロボット掃除機向けにラウンド形状へ加工した独自フィルターとして開発・内製化した。また、吸引と排気の流れやロボット内部を陰圧化することで気密性や排気漏れの問題を解決したことに加え、一般的なクリーンルームで使用される床素材に特化した5本の専用ブラシが清掃効率を最大限に引き出し、クリーンルームの自動清掃を可能とするロボット掃除機「C30CR」が誕生した。

写真:クリーンルーム対応ロボット掃除機「C30CR」

3社の技術を結集し共同開発

「C30CR」は、高度な気密性と排気漏れ防止機構を搭載したクリーンルーム対応ロボット掃除機だ。排気中の微粒子を99.97%以上捕集し、粉塵の再飛散を抑制することでクリーンルームの清浄度維持に貢献する。また、ISOクラス5の環境にて微粒子汚染することなく使用できる。サービスロボットメーカー「KEENON Robotics」のロボット制御技術、総合ブラシメーカー「コーワ」の清掃技術に加え、日本エアーテックのクリーンエアー技術を搭載。専門メーカー3社の専門技術を融合することで誕生した。

「C30CR」は、独自の排気構造でクリーンルームに対応

写真:装置本体とフィルター部の隙間漏れを防ぐ!

独自構造で清浄空気を排出

独自の高気密構造により、汚れた空気は必ずHEPAフィルターを通って清浄な空気として排出される仕組みを実現。一般の掃除機は吸い込んだゴミがダストパックで捕集されるが、残った細かい粒子は排出されてしまっていた。これに対して「C30CR」は、特殊フッ素樹脂を用いたラウンド形状のHEPAフィルターで微粒子をキャッチし、清浄な空気として排出する。
写真:陰圧構造&パッキンで密閉!

陰圧構造で内部からの漏れを防止

装置本体の排気口とフィルター部分はねじ込み式で固定し、さらに特殊パッキンで密閉。また、吸引気流を利用することで、ロボット内部の気圧を外気圧よりも低く保つ陰圧構造を実現。ロボット内部の汚れた空気が外部へ漏れることを防いでいる。

「C30CR」導入で
清掃効率化・省人化を実現

写真:飛沢健 氏

豊橋技術科学大学
次世代半導体・センサ科学研究所
高度専門員

飛沢 健

このクリーンルーム対応ロボット掃除機「C30CR」をいち早く導入したのが、豊橋技術科学大学 次世代半導体・センサ科学研究所だ。同所で技術面において研究者のサポートを担う高度専門員の飛沢健氏は導入の経緯をこう振り返る。

「半導体集積回路を設計から製作、実装まで一気通貫で行えるのが当研究所の特徴です。2025年3月には新たなLSI棟が竣工し、床面積が既存工場の約3倍へと拡張されました。これに伴い新棟クリーンルーム内だけでも約1200m²もの広さとなり、清掃をいかに行うかが大きな課題となっていました」

飛沢氏によると、従来は学生が交代で清掃していたが、人力ではどうしても発塵源になってしまうことに加え、学生の貴重な研究時間を割くことにも頭を悩ませていたという。飛沢氏が半導体の国際展示会で「C30CR」を目にしたのはそんなときだ。

「導入を決めたポイントは、HEPAフィルターによって清浄な空気を排出し、掃除すればするほど空間が清浄化されること、研究所には高価な機器も設置してあるので衝突を避ける制御システムが搭載されていること、そして何より自動化で学生の研究リソースが確保できることです」(飛沢氏)

26年3月の導入からすぐに効果を実感したと飛沢氏は言う。


「心配していた設置機器との接触もなく、多少の段差があっても問題なく走行できています。また、人のいない夜間に清掃することもでき、アプリで清掃状況をモニターすることも可能なので、安心して運用できるのもメリットだと感じています」(飛沢氏)

自動のロボット掃除機「C30CR」にとって走行制御システムは肝だが、日本エアーテックの山田氏も「お客様のご意見を取り入れ、継続的にソフトウエアをバージョンアップしたいと考えています」と語る。最後に山田氏は、「従来の概念を覆す掃除機を世に出すことができたと自負しています。クリーンルームの長年の課題だった清掃の自動化を解決する手段として貢献していければと考えています」と締めくくった。

豊橋技術科学大学 次世代半導体・センサ科学研究所

豊橋技術科学大学
次世代半導体・センサ科学研究所

独創の半導体・センサ技術を基盤に、実践的教育と異分野融合による社会課題解決に挑む研究拠点。併設するLSI工場では、設計からデバイス製作、社会実装まで一貫して行うことができ、人材育成や講習会にも注力している。

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