
「サーバー部門」では、パートナーが求める収益性や製品力強化のニーズに応えたデル・テクノロジーズが、5連覇を果たした。AI向けサーバーの市場は昨年に続いて堅調で、サービスプロバイダーから一般企業にも大規模導入が波及している。サーバー処理能力の高集積化や水冷式の冷却機構の採用により、設置場所削減や省電力化を実現。リモート管理の高機能化や情報提供の強化にも取り組み、パートナーの高い信頼を獲得した。

デル・テクノロジーズ株式会社
専務執行役員
パートナー事業統括本部長
日下 幸徳氏
5年連続の首位となったデル・テクノロジーズ(以下、デル)は、定評のある価格競争力で競合他社を大きく引き離し、製品力とパートナーの収益性でも高評価を獲得した。
同社の日下幸徳氏は、「パートナー企業様の満足度は当社が重視する4大指標のうちの1つであり、大変有り難いことと受け止めています」と受賞の価値を噛み締めた。
この1年は前回に引き続き、AIの高速データ処理に対応するサーバーソリューションが好調だった。「PowerEdgeサーバーの上位モデルでは、CPUやメモリーの集積度が向上したことで、5年前なら7台のサーバーが必要だった処理を、仮想化技術を導入した1台のサーバーでこなせるようになり、設置場所や消費電力の削減効果を示せる点がパートナー企業様に評価されています」と、デルの倉橋秀則氏は語る。仮想化性能に関する業界標準ベンチマーク「VMmark 4.0」で世界記録を達成し、複数VMにおけるアプリケーション同時処理やVM管理タスクを高速に実行できる。
2025年まではAI関連サービスプロバイダーのサーバー導入が非常に多く、「世界的に10億ドル規模の導入が進みました。日本も例外ではありません」(日下氏)。2026年はさらにプロバイダー以外の大企業による大規模投資も増える見通しだという。
デル・テクノロジーズ株式会社
上席執行役員
パートナー事業統括本部
パートナー事業本部長
倉橋 秀則氏
AIサーバーの需要が旺盛な一方で、業界全体で半導体の需要も高まっている。このような状況もありデルは、パートナー向けの構成・見積・納期確認ツールを活用して、選択された構成や納期のデータを含む多様な情報を基に正確な需要予測を行い、中長期的な製品の安定供給に向けた取り組みを進めている。「パートナー企業様と緊密に連携を取りながら、パーツの安定調達と製品供給の強化に引き続き努めていきます」と倉橋氏は語る。
製品価格面ではパートナー支援策の一環として、コストパフォーマンスに優れた価格帯でそろえた「Smart Selection」というラインアップを提供している。「お客様に提案するサーバー構成に迷われた際でも選びやすいモデルです。パートナー様から寄せられたご要望に沿ってラインアップの充実を図ってきた経緯があり、Smart Selectionの活用を機にデル製品のお取り扱いを開始されるパートナー企業様も増えました。今後も、パートナー様のニーズに即した商品展開や各種施策を継続的に進めていきます」(倉橋氏)

AIサーバーの需要拡大を支える新技術の投入も進んだ。サーバーをGPUで高速化すると、大きな発熱に対応するため冷却効率の向上が不可欠となる。GPUの発熱を抑えれば、処理速度を高めつつ消費電力も削減できる。デルは従来主流だった空冷式の冷却機構だけではなく、数世代前の製品から水冷式を採用したサーバーも展開している。
「“水冷元年”と位置付けた昨年は、東京と大阪で計6回、パートナー企業様数社と共同で『DLC Servers & Datacenter Summit』を開催し、2300名の参加者に情報提供を行いました」(倉橋氏)。電力効率の向上に対する関心が高まる中で、「AIサーバーは水冷式」というメッセージを強く打ち出した。
また、デルのサーバーではSaaSベースのAI活用インフラ監視・分析サービス「Dell AIOps Infrastructure Observability」が利用でき、プロセッサーやメモリーなどの利用状況(消費電力、温度)の数値を基に不足リソースを自動予測する。パートナーはこのデータからサーバー増強プランを検討できる。「サーバー管理業務を効率化したうえに、ダウンタイムの削減にもつなげられます」と、日下氏はそのメリットを説明する。
この機能を実現するため、サーバーには「iDRAC10」という管理用プロセッサーが搭載されている。「このiDRAC10の各種機能が他社サーバーと比べた大きな差異化要因です」(日下氏)。従来からのGPU監視機能を一層強化し、運用の利便性が大きく向上した。セキュリティ面では、量子コンピュータによる暗号解読リスクに備えた、ポスト量子暗号(PQC)対応ハードウェアを搭載し、第三者によるリモート管理機能を悪用したサーバー侵入やファームウェアの改ざんを防ぐ。

パートナー向けの情報提供でも、デルは様々な取り組みを展開。顧客にAIサーバーを訴求する場として、実践的なAI導入事例を本社の「AI Innovation Lab」で展示している。最近のイチ押しは「デジタルヒューマン」のソリューションで、公共の窓口業務を代替できるレベルまで実用性が備わってきた。既に米国では移民の多いテキサス州において、多言語の情報提供を行う商用サービスが提供されているという。
また、ユニークなものでは、パートナー数社が集まる合宿形式のワークショップを開催がある。デルが顧客の立場から課題を提示し、それを解決するソリューションを参加メンバーが協力して考え、発表する。「自社にはない視点を学べる機会として好評です」と日下氏。このほか、ベトナム・ハノイで世界の最新動向を伝える「パートナーアドバイザリーボード」を開催した。また、海外のパートナーと交流を深めるイベントやデル米国本社の経営陣と直接対話する機会も提供している。
「パートナー企業様から頂く継続的な評価に感謝するとともに、技術支援や情報提供の満足度向上など、チャレンジングな課題にも創業から42年間で培った総合力を注ぎ、次回はさらに高い得点での受賞を目指します」と、最後に倉橋氏は決意を新たにした。