
「PCサーバー」部門では、デル・テクノロジーズが昨年の2位から首位に返り咲いた。同社は、多種多様な製品を設計・開発し、ユーザーの目的や用途に適したサーバーを提供することで顧客満足度の高さを実現する。ますます高まるAI(人工知能)の活用に対するニーズに対し、高度な冷却技術を備えた高性能サーバーの提供やパートナーとのエコシステムの構築を進めている。

デル・テクノロジーズ株式会社
執行役員
インフラストラクチャー・ソリューションズ営業統括本部
製品本部 本部長
上原 宏 氏
「前回2位からの返り咲きは大きな成果です。製品力だけでなく、営業・パートナー・開発・サポートが一体となって価値提供に取り組んできた結果と受け止めています」。デル・テクノロジーズ(以下、デル)の上原 宏氏は、首位奪還の喜びをこう語る。同社は日経コンピュータ主催の「パートナー満足度調査 2026」のサーバー部門においても5年連続で1位を獲得しており、顧客とパートナーの両方から高い評価を得ている。
上原氏は「この顧客満足度は、わが社の製品・サービスを顧客がどう見ているかをダイレクトに反映するものであり、さまざまな経営指標がある中でとりわけ重要なものと考えています」と語る。デルが顧客満足度を重視する背景には、顧客の事業や成長を中長期で支えるパートナーでありたいとする経営思想がある。そのため、性能や価格、導入のしやすさといった導入時だけでなく、サポート品質や運用のしやすさといった運用時も含めた総合的な体験価値を重視し、顧客の成果につながることを最優先しているという。
実際、今回の調査において「性能・機能」「信頼性」「運用性」「コスト」をはじめ、ほぼすべての項目で高得点を獲得した。特にコストの項目では平均を大きく上回った。この結果に対して上原氏は「初期導入コストだけでなく、保守コストや運用管理コスト、投資対効果といったトータルのコストパフォーマンスが評価されたと考えています」と見解を述べる。供給面でも「世界全体で半導体供給不足が起こった際にも安定したサプライチェーンを維持できている」と強調する。

デル・テクノロジーズ株式会社
インフラストラクチャー・ソリューションズ営業統括本部
テレコムメディア セールスエンジニアリング本部長
小林 哲弥 氏
デルのPCサーバー「PowerEdgeサーバー」における総合的な強みを支える設計思想は、3つの柱がある。1つめは「専用設計」と呼ぶもの。顧客の目的や用途を想定し、それらに適したサーバーを設計する。多種多様な製品から顧客がフィットするものを選べるようにする狙いだ。
例えば、PowerEdgeサーバーにはデータセンターでの利用を想定したラック型の「Rシリーズ」や中堅中小企業のニーズが高いタワー型の「Tシリーズ」、生成AI(人工知能)やハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)に特化した「XEシリーズ」など幅広く用途に適した筐体タイプを用意する。それぞれにCPUの種類や数を選択できるなど拡張性も高めている。これらによって企業の基幹システムから仮想化基盤、AI関連処理まで、多様な用途に柔軟に対応できることが同社の強みといえる。
2つめの柱は「インテリジェントな機能」。主に運用面で作業負荷が高いユーザーに向けて自動化の機能を提供する。例えば、AIを用いて自動的にサーバーの問題を特定したり、チャット形式で問題の調査や自動実行の計画を策定したりできるソフトウェアを用意している。
3つめが「サイバーレジリエンスを高めるセキュリティ機能」である。工場出荷からユーザーに届くまでにパーツの改ざんがないことを検証するなど、設計・製造から運用・廃棄までライフサイクル全体を守るものだ。

「最近では顧客のニーズがますます複雑化・多様化しています」。デルの小林 哲弥氏は現状の市場トレンドをこう述べる。AIの活用をはじめ、ハイブリッドクラウドの構築やデータセンターにおける電力効率・設置効率の向上などさまざまな要件が出てくるという。小林氏は「単に高性能なサーバーだけでなく、継続的に価値を見出せるインフラを提供していく役割を担っていきたい」と意気込みを語る。
なかでもAI活用へのニーズが高い。特に、大手テレコム企業やWeb経由でサービスを展開するインターネット企業からの引き合いが強い。AI活用向けには、米NVIDIAのGPUを多数搭載したXEシリーズを提供している。2026年6月には、1ラックあたり最大144基のGPUまで拡張可能な「Dell PowerEdge XE8812」を米国で発表した。XEシリーズにおける専用設計として大きな特徴は高度な冷却技術を用いていることだ。直接水冷(DLC)に対応するCPU/GPUを搭載している。デルは冷却技術に特化したサーマルエンジニア部隊を擁しており、以前から空冷を含めて冷却技術を追求してきた。空冷と水冷を合わせたハイブリッドの冷却技術がXEシリーズの設計に生かされている。今後、GPUの進化に伴い消費電力と熱量が上がっていくのは間違いない。DLCをはじめとした冷却技術が極めて重要になるだろう。

AI活用においては現状、驚くほど電力を消費するなど従来型のデータセンターでは対応できなくなってきている。「高電圧への対応のほかサーバーの水冷が必要になる場合にも、デルだけでは対応できません。電気工事や管工事が不可欠であるため、空調メーカーや工事事業者、データセンターなどの協力が必要になります」(上原氏)。こうした各社パートナーによる業界横断のエコシステムを構築するために、デルは専門イベント「DLC Servers & Datacenter Summit(DSDS)」を開催してきた。DSDSでは、水冷対応のほか、建築設備など多様な分野の専門家が集結し、多角的に議論や情報共有を行っている。
小林氏は「本格的なAI時代に向けて、サーバーへの需要はさらに拡大していくと考えています。製品力の強化はもちろんですが、提案力やサポート力、パートナー様との連携を一層磨き上げ、単なる“売れている製品”ではなく、“選ばれ続ける存在”でありたいと思います」と今後の抱負を語る。