自社に最適なストレージをどう選ぶべきか。従来は容量や性能、コストといった条件で選定していたが、最近ではそれらだけでは十分ではなくなっている。サイバー攻撃の深刻化やシステムの複雑化、運用人材の不足などによって、ほかにも様々な点に配慮しなければならなくなったのだ。では実際にITインフラの構築・運用の現場では、どのような選定基準が生まれているのか。データ基盤構築を数多く手がけるユニアデックスと、デル・テクノロジーズのキーパーソンに話を聞いた。
<目次>
01 大きな変化が求められている現在のITインフラ 02 マルチベンダー環境で培った運用支援の実績 03 顧客の課題を横断的に解決する「GASSAI」 04 「攻めたサイジング」が可能なDell PowerStore 05 変化し続ける環境にも長期的に対応可能 06 HCIから「進化した3Tier」への提案も増加 07 Nutanixの外部ストレージとしても利用可能 08 問題発生時も「自営保守」でスムーズに解決
Chapter 1
大きな変化が求められている現在のITインフラ
――企業や組織のデータを狙うサイバー攻撃の深刻化やワークロードの多様化、さらには運用人材不足など、ストレージの運用を取り巻く環境は急速に変わりつつあります。実際にお客様とお話しされている中で、最近はストレージ領域において、どのようなご相談が増えているでしょうか。
ユニアデックス株式会社
クラウドサービス本部 ハイブリッドクラウドサービス部
三グループ グループリーダー
荒木 敏貴氏
荒木氏(ユニアデックス) ユニアデックスは特定ベンダーに縛られることなく、ITシステムやソリューションに関して幅広い提案を行ってきました。私はエンジニアとしてお客様に対する提案支援や設計構築を担当していますが、その中で近年増えているのが「自分たちにとって何が最適なのかが分からない」というご相談です。セキュリティーやパフォーマンス、拡張性など、考慮すべき点が以前よりも多くなっている上、最近ではAI活用へのニーズも高まっているため、全体像がぼやけている状態なのです。
ユニアデックス株式会社
クラウドサービス本部 ハイブリッドクラウドサービス部
三グループ
小林 盛明氏
小林氏(ユニアデックス) 私は主に仮想化基盤やデータバックアップなどの分野で、プリセールスとしての提案支援、受注後の設計構築、お客様への説明などを担当し、業種を問わず幅広い案件に携わっています。お客様からのご相談で最近特に増えているのは、ランサムウエア対策やサイバー攻撃への対応といった、データ保護に関するものです。サイバー攻撃のリスクが高まる中、多くのお客様が不安を感じているようです。
ユニアデックス株式会社
マーケティングコミュニケーション本部
プロダクト企画開発部 PFアドバンスド企画室
野々下 倫子氏
野々下氏(ユニアデックス) 私はマーケティングを担当として、営業活動に同行することもあるため、お客様の声を聞く機会も多くあります。最近特に多いのが「AI活用を見据えたGPUサーバーと、それに最適なストレージを総合的に提案してほしい」というご要望です。GPUサーバーの性能だけではなく、ストレージがボトルネックにならない構成まで含めた提案が求められています。また、昨今のメモリーやSSDなどの価格高騰にどう対応するかといった、コスト面でのご相談も増えています。
デル・テクノロジーズ株式会社
インフラストラクチャー・ソリューションズSE統括本部
クラウドプラットフォーム ソリューションズ
アドバイザリ システムズ エンジニア
市川 基夫氏
市川氏(デル・テクノロジーズ) 皆さんが話したように、セキュリティー問題やワークロードの多様化、AIをはじめとする技術進歩などが、ストレージを含むシステム全体の変化を強く促すようになっています。また仮想化基盤における市場の混乱なども、既存システムの限界を意識させる要因になっているように感じます。そのため、今後のシステム選定においては、変化に対して柔軟な対応が取れるか、また、いかに安定した運用を継続できるかが重要なポイントになってきます。
荒木氏 確かに「数年使う想定だったシステムを見直さざるを得ない」「既存ストレージを生かしつつハイパーバイザーを刷新したい」といったご相談も増えています。
Chapter 2
マルチベンダー環境で培った運用支援の実績
――ストレージ単体というよりも、システム全体のご相談が増えているのですね。
荒木氏 そうです。システムの全体像がぼやけている状況で的確な提案を行うには、まずお客様と一緒にその解像度を上げていく必要があります。ユニアデックスではこのアプローチによって、お客様に最適な提案を行うようにしています。
――ユニアデックス様はかなり幅広い提案をされているようですが、このような総合的な提案・対応ができる背景には、どのような歴史があるのでしょうか。
荒木氏 ユニアデックスは創業以来約30年の歴史がありますが、元々はサポート会社として発足しました。その最大の特徴は、マルチベンダー環境での複雑なトラブルに対しても「絶対に逃げない」姿勢で、課題解決に取り組み続けてきたことです。こうした実績の積み重ねによって、お客様から深い信頼をいただけるようになりました。
小林氏 単に構築して終わりではなく、その後の運用までお客様に寄り添う支援を行っています。その支えとなっているのが、社内のナレッジポータルです。組織全体でノウハウを共有し、提案やサポートに生かせるようにしています。
野々下氏 このような知見を生かし、それまで提供してきた様々なマネージドサービスを体系化して、2025年6月に、新ブランド「GASSAI®(がっさい)」を発表しました。
Chapter 3
顧客の課題を横断的に解決する「GASSAI」
――「GASSAI」というのは「一切合切」の「合切」から採った名称ですか。
野々下氏 はい。BIPROGYグループの長年の知見、ノウハウを一切合切詰め込んだサービスになります。
――具体的にどのようなサービスなのでしょうか。
野々下氏 お客様の課題に寄り添い、セキュリティー・デジタルワークプレース・クラウド・ネットワークといった幅広い領域で、お客様ごとに最適なマネージドソリューションを提供するサービスです。また、2026年1月には「セキュリティー」「デジタルワークプレース」「マルチ/ハイブリッドクラウド」の3カテゴリーを対象とした、課題解決モデルを公開し、2026年3月には「ネットワーク」のカテゴリーに対する課題解決モデルも公開しています。
「リスクに備える」「利便性を高める」「可能性を広げる」という3つの視点で、現在から未来に向けたロードマップを描き出した上で、顧客の課題解決を支援する各種マネージドサービスを体系的に提供している
荒木氏 ユニアデックスを含むBIPROGYグループは、60年以上にわたり累計約5,000社のお客様を支えてきました。その中で培ってきた運用ノウハウと経験が、GASSAIの中にすべて結集されています。クラウドやネットワーク、セキュリティー、デジタルワークプレースなど、多様な領域を横断的にカバーし、従来の「守りの運用」にとどまらず、AIやデータを活用した継続的な改善提案によって、「攻めの運用」も実現できるようにしています。
市川氏 GASSAIのようなマネージドサービスが提供できるのは、ユニアデックスが長年運用・保守の知見を培ってこられたからこそですね。特に単一製品の提案・販売にとどまらず、インフラストラクチャー全体を視野に入れた提案や運用支援に取り組まれている点が特徴的だと思います。
Chapter 4
「攻めたサイジング」が可能なDell PowerStore
荒木氏 ユニアデックスはこのように、システム全体を視野に入れた提案を行い続けていますが、ストレージに関しては最近、Dell PowerStoreをご提案するケースが増えています。
市川氏 Dell PowerStoreはデル・テクノロジーズが提供する、エンタープライズ向けのオールラウンド型ストレージです。オールフラッシュのプラットフォームとなっており、低遅延かつ高スループットを実現、スケールアップとスケールアウトの両方に対応しています。また、高度なデータ重複排除機能の実装や、ストレージOSである「PowerStoreOS」がコンテナベースのマイクロサービスアーキテクチャを採用している点なども、大きな特徴になっています。さらに2026年7月には、その第3世代である「Dell PowerStore Elite」の提供も開始しており、製品全体の進化によって、従来比で最大3倍の処理性能と、同じく最大3倍の実効容量密度を実現するなど、大きな飛躍を遂げています。
小林氏 お客様に提案する立場から見て最大の魅力となっているのが、重複排除の保証です。事前にアセスメントを行うことなく、「6:1」というデータ削減保証を受けることができます。
インテリジェントな重複排除とハードウエアへの圧縮オフロード機能により、パフォーマンスへの影響はない
市川氏 従来製品の「5:1」から、さらに引き上げました。これは重複排除処理の強化とハードウエアでの圧縮オフロードを進化させたことで実現できました。
小林氏 データ削減保証がなぜ重要なのかといえば、これがコスト最適化に貢献するためです。最近ではSSDをはじめとしたストレージ関連部材の価格高騰もあり、お客様もコストの増大に敏感になっています。しかしDell PowerStoreであればこの「6:1のデータ削減」を活用することで、同じコストでより大容量を確保するといった「攻めたサイジング」を行うことが可能になります。
荒木氏 デル・テクノロジーズは検証済みの構成を公開していますが、これも安心して提案できる理由になっています。メーカーが事前に確実に動く構成を明確にすることで、私たちはそれをどうお客様にフィットさせるかに注力できます。
Chapter 5
変化し続ける環境にも長期的に対応可能
小林氏 さらにもう1つ魅力的なのが、ソフトウエアによって機能を進化・拡張させ続けていることです。しかも追加された新機能を使う際に、追加コストは一切かかりません。お客様にコスト増の心配をおかけすることなく、新機能の活用を提案できます。
市川氏 ありがとうございます。デル・テクノロジーズではDell PowerStoreを、変化し続けるIT環境に対応し続けられるストレージになるように設計しています。多様なワークロードに対応でき、スケールアップ/スケールアウトによるリソース増強も容易です。また最新世代や上位モデルへの移行は無停止で行うことができ、異なる世代のアプライアンスを同一クラスタ内に共存させることも可能です。さらに最新世代のDell PowerStoreでは「Future-Proof(長期的に使い続けられること)」を最大の設計コンセプトにしており、次世代CPUへの対応、余裕を持たせたIOスロット数、広帯域ノード間RDMA接続など、長期間システムを利用し続けていただくこと想定した、将来を見据えた設計となっています。
荒木氏 つまりDell PowerStoreは、IT環境の変化に合わせながら長期的に活用しやすいストレージだと言えます。これは利用企業にとってはもちろんのこと、製品を提案しサポートし続けるユニアデックスにとっても、大きな魅力です。
Chapter 6
HCIから「進化した3Tier」への提案も増加
――Dell PowerStoreの具体的なユースケースとしては、どのようなものがありますか。
荒木氏 汎用性が高いストレージなので特定のユースケースを挙げるのは難しいですが、あえて挙げるとすれば、最近では仮想化環境を再検討されるお客様にご提案するケースが増えています。
小林氏 具体的には、特定のハイパーバイザーに縛られてしまうHCIから、より多様なハイパーバイザーに対応できる仮想化環境に移行したい、というご要望が増えています。これに対し、ハードウエア構成をサーバーとストレージが統合されたHCI(Hyper-Converged Infrastructure)から、サーバーとストレージを分離した3Tierへと移行する、という提案を行うことが多くなっています。
――HCIから3Tierへの回帰、ということですか。
市川氏 「回帰」というよりも「進化」といった方がいいかもしれません。
小林氏 そうですね。3Tierといっても、昔の3Tierとは大きく異なります。HCIのシンプルさや運用性を実現した3Tierだからです。これを実現する仕組みの1つが、デル・テクノロジーズの「Dell Private Cloud(DPC)」というインフラソリューションです。
市川氏 DPCとは、中堅・大企業での活用を想定したプライベートクラウド基盤です。「Dell Automation Platform(DAP)」を基盤に、コンピュート(サーバー)とストレージを分離した柔軟なインフラ上で、プロビジョニングから運用、ライフサイクル管理までを自動化します。これにより、コンピュートとストレージを独立して拡張できる一方、運用面ではHCIのようなシンプルな統合管理を実現します。
小林氏 このDPCをエッジや小規模拠点に適用可能にした「Dell Distributed Private Cloud(DDPC)」も用意されており、これは特に使いやすいと評価しています。比較的小規模なHCI環境でも容易に3Tier化でき、仮想化環境全体の柔軟性を高められるからです。
Chapter 7
Nutanixの外部ストレージとしても利用可能
市川氏 Dell PowerStoreは、DPCの自動化と深く統合されたインテグレーテッドストレージとしての対応やDDPCの外部ストレージにいち早く対応したストレージ製品です。複数のストレージ製品ファミリーを展開するデル・テクノロジーズにおいて、Dell PowerStoreはそれらの中でも、中核的な位置付けを担う製品ファミリーになります。
野々下氏 最近はNutanixとの相性も良くなっていますよね。
市川氏 2026年7月からNutanix Cloud Platformの外部ストレージとしてご活用いただけるようになりました。
2026年7月から対応しており、仮想化環境の選択肢がさらに拡大した
荒木氏 ユニアデックスでも既に検証を始めています。近いうちにお客様にも提案できるようになる予定です。
Chapter 8
問題発生時も「自営保守」でスムーズに解決
市川氏 そうなればお客様の選択肢も広がりますね。このようにユニアデックスは新しいテクノロジーにも積極的に取り組まれていますが、もう1つ重要な側面を指摘しておきたいと思います。それはデル・テクノロジーズ製品の「自営保守パートナー」だということです。
――自営保守パートナーとはどんな位置付けなのでしょうか。
市川氏 製品の保守や障害対応を、デル・テクノロジーズに代わって直接パートナーのエンジニアが行う仕組みのことです。このようなパートナーになるには、製品に関するナレッジや高い技術水準、継続的なトレーニング、コールセンターなどのファシリティ基準、販売実績など、様々な要件を満たす必要があります。ユニアデックスはこれらをすべて満たしたパートナーの1社なのです。
小林氏 デル・テクノロジーズから自営保守パートナーに認められているため、問題発生時の一次対応から解決まで、一元的な窓口で対応できる体制を整えています。問い合わせ窓口を一本化できる点は、お客様にとってメリットです。
荒木氏 しかも幅広い領域をカバーできるため、Dell PowerStoreだけではなく、その上で動くソリューションや周辺システムも含めて状況を確認しながら対応できます。ストレージ障害と思われた問題が、実際にはネットワークや仮想化基盤に起因しているケースもあります。そのためユニアデックスではストレージ単体ではなく、システム全体を見ながら原因を切り分け、お客様を支援しています。
市川氏 ユニアデックスはお客様に近い立場で現場を支援されているので、メーカーであるデル・テクノロジーズだけでは難しい対応も可能です。システム全体の高いSLAの実現も、デル・テクノロジーズだけで達成することは困難なケースがあります。ユニアデックスのようなパートナーがいるからこそ、お客様に安心してデル・テクノロジーズ製品をお使いいただけるのだと考えています。
――最後に、今後の展望についてお聞かせください。
荒木氏 今一番ホットなのは仮想化環境の更新案件ですが、Dell PowerStoreやDPC、DDPCなどを活用することで、二度とお客様を混乱させない、長期的に維持可能な環境をご提案したいと考えています。またAI領域に適応したIT環境の実現に関しても、既にデル・テクノロジーズと話を進めています。
市川氏 ストレージに求められる要件は今後も変化し続けるでしょう。だからこそ製品だけでなく、導入後の運用やサポートまで含めて考えることが重要です。今後もユニアデックスと連携しながら、お客様の課題解決を支援していきたいと考えています。
――ストレージ選定では、導入時の性能やコストだけでなく、導入後の運用や障害対応まで含めて考えることが重要だということがよく分かりました。本日はありがとうございました。
Related links
関連リンク


