DIGITAL Foresight 2025-26 Winter Review

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  • オブザーバビリティー戦略/日本IBM

AIで実現するIT運用高度化
復旧時間短縮とコスト最適化

IT部門は人手不足やシステムの個別最適化による運用の困難さに直面している。複雑化するシステムを少ない人手で効率的に運用するために、IT運用の高度化が求められるようになった。オブザーバビリティー(可観測性)を強化し、AIが予兆検知や障害復旧の迅速化を支援する。システムの状態が可視化されていることから、クラウドなどのリソースの最適化もAIが提言する時代も到来している。IT運用高度化を支援してきた日本IBMの知見から、高度化推進のベストプラクティスを見ていく。(聞き手:日経BP 総合研究所 上席研究員 渡辺 享靖)

人手不足と属人化
日本企業が直面するIT運用課題

日本IBM
テクノロジー事業本部
オートメーション・プラットフォーム事業部
Automation SME/部長
高萩 英樹 氏

渡辺 ITの運用高度化では、日本は海外に比べて遅れがあると聞きます。実際、その課題とはどういったものでしょうか。

高萩 2つの課題があります。1つは「人手不足・属人化」です。IT人材は担い手が不足している上に、特定の担当者しか理解できない属人化が進行しています。もう1つは「運用監視の個別最適化・サイロ化」です。日本企業のシステムは、部門ごとの最適化が進み、全体を包括的に監視できないような運用体制が良く見られます。

渡辺 システムごとに個別に運用している状態になっているのですね。

高萩 はい。例えばERP、ネットワーク、インフラなどをバラバラに監視していたり、古いシステムと新しいシステムが混在して全体像が把握できなかったりしています。さらに、障害発生後のログ分析に依存する文化、いわゆる日本特有の「ログ神話」が、予兆検知の取り組みを妨げています。問題が起こってからログで分析して修復することを重視するよりも、事前に気づくことができれば、さらに運用監視の価値が発揮できるはずです。

4ステップで考える
課題解決に向けたベストプラクティス

渡辺 IT運用監視の課題はどう解決していくとよいですか。

高萩 運用高度化に成功した企業の取り組みを分析したところ、成功企業に共通する「4ステップのベストプラクティス」が浮かび上がりました。まず事前の「Step0」では、運用現場の前提整理と意識合わせをします。次に「Step1」では、可観測性(オブザーバビリティー)を導入します。障害発生後のログ分析ではなく、問題を起こさないような予兆検知ができる状態へのステップです。日本IBMではAPM(アプリケーション・パフォーマンス管理)プラットフォームの「Instana」で、可観測性を実現しています。「Step2」は、リソースとクラウドコストの自動最適化です。AIがリソース利用状況を把握し、最適化の提案をします。最終ステップとなる「Step3」は、IT投資の最適化と将来設計を行うというものです。

[画像のクリックで拡大表示]
IBMが提唱する運用管理高度化のベストプラクティス
準備段階となる「Step0」の後、データ可視化を行う「Step1」、リソース・コストの自動最適化を実現する「Step2」、さらにIT投資の最適化を継続して実現する「Step3」が求められる

渡辺 運用管理にAIを利用する際の日本IBMのアプローチのユニークさはどういったものがありますか。

高萩 1つはファクトに基づいた信頼性です。厳格に学習・検証した信頼できる「エンタープライズ品質のAI」を運用監視の世界でも提供しています。もう1つは、AI同士をつないで「人のルーティン作業を代替」する自動化基盤を構築できる点です。

平均修復時間を70%削減
コスト30%削減という現実

渡辺 IBMが提供するAPM製品の特徴を教えてください。

高萩 IBMと他社製品の違いの1つはデータ取得の間隔です。一般的には1分間隔でサンプリングしたデータを収集しますが、IBMは1秒ごとのデータをノンサンプリングで取得する高精度なメトリクス収集が可能です。そのために独自の圧縮技術を使うなど、システムに負荷をかけない工夫を凝らしています。さらに、IBMの可観測性基盤は、SaaSのみならず、オンプレミスとしてもご提供が可能です。こうした技術により、障害の根本原因と「取るべきアクション」を提示できます。

 日本IBMが導入したAPMの事例を見ると、金融機関や製造業など幅広いユーザーで、障害から修復までのMTTRが70%ほど短縮できるという大きな効果が確認されています。

渡辺 70%短縮に大きく寄与しているのは、どのような点ですか。

高萩 「問題解析における非効率な時間」を圧縮していることです。AIが障害の原因をあらゆる情報から分析して、「インフラ起因」「アプリ起因」などと提示してくれることが大きく寄与しています。

渡辺 「Step2」で、リソースやコストの自動最適化の話がありました。どのように実現するのですか。

高萩 可観測性により、リソースの状態を可視化することで、AIがリソースの余剰や不足をリコメンデーションしてくれます。さらに、クラウドの価格改定や新サービスについて自動取得し、コストをシェイプアップした構成を提案します。日本のユーザーで、クラウドコストを最大40%削減した事例が多数確認されています。

※講演の一部をOn-Demand形式で視聴いただけます。

渡辺 IT投資の最適化についてはどう考えたらいいでしょう。

高萩 「ITはビジネスの価値を生む」ことを可視化し、投資配分を健全化することが重要です。ハード、ソフト、開発、サポートへの投資とROIを数値化し、経営層にも伝わる「お金の価値」で、IT投資を説明できるようにします。テクノロジー・ビジネス・マネジメント(TBM)のフレームワークにより投資を可視化します。これにはIBMが買収したApptioのTBM製品が効果を発揮します。

渡辺 IT運用と投資の最適化を推進するときのポイントを教えてください。

高萩 できるだけ早くPoC(概念実証)とPoV(価値実証)を実施し、効果検証のサイクルを加速させることが重要です。日本企業は比較検討に時間をかけがちで、機会損失が大きい傾向があります。IBMはPoCとPoVを無償で提供できるので、効果を定量的に確認し、価値が明確ならば速やかに導入し、成果につなげてほしいと考えています。


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