AI×データが導く企業R&Dイノベーション:業界横断の実例で探る課題と成長戦略

AIの急速な進展は、研究開発の現場を根底から変えつつあります。AIがもたらす科学技術・イノベーションの変革は、製薬・化学・材料・食品など業種を問わず重要なテーマとなっており、AI活用による研究の生産性向上への期待は、かつてないほど高まっています。

こうした潮流を受け、日経BP総合研究所とエルゼビア・ジャパンは2026年5月15日、セミナー「AI×データが導く企業R&Dイノベーション:業界横断の実例で探る課題と成長戦略」を開催します。

研究開発型企業の競争力を左右するのは、デジタルデータの戦略的活用です。AIの普及により膨大なデータが手の届くところにある今、それをいかに収集・分析し、価値ある成果へとつなげるか——データ駆動型研究開発への転換は、もはや選択肢ではなく必須の課題となっています。

しかし現場からは「何のデータを集めるべきか」「分析結果をどう活かすか」という切実な声も絶えません。データは持つだけでは意味をなさず、真に意味あるデータを選び取り、迅速にアウトプットへ結びつける仕組みと意志が問われています。

本セミナーでは、生成AIを含むAI技術の活用の可能性とリスクを多角的に検証するとともに、データ駆動型R&Dの深化に向けた先進企業の実践知を共有し、参加者からの質問からなるパネルディスカッションや講演者と直接懇談が可能な相互ディスカッション・懇親の場を提供していきます。

ここでは登壇予定の3社の講演内容を一足先に紹介します。企業における研究機関のリーダーから研究者・データサイエンティストまで多様な立場の企業の参加者とともに、「AIの進展とこれからの研究戦略」を徹底討論する場として、ぜひご活用ください。

機能性食品×AI
予測科学とオープンイノベーションの可能性

 セミナーでは機能性食品研究におけるAI活用を三段構成で語る予定です。まず当社の取り組み全体を紹介した上で、機能性食品というヘルスサイエンス領域ならではのAI活用の課題と展望を軸に提示します。医薬品と似て非なる機能性食品の研究では、効果が広く緩やかであり、複合的な生体作用を早期に予測し投資判断の確度を高めることが重要で、そこにAIのブレイクスルーを期待しています。

 富士通と当社の共同プロジェクトでは、QSP(定量的システム薬理学)技術を活用して実試験に依存してきた従来の研究プロセスを変革させ、バーチャル環境でのメカニズム予測や臨床試験シミュレーションへと進化しつつあります。こうしたオープンイノベーションやエコシステム型のAI活用こそ、当社が提案したいアプローチです。セミナーでは、製薬・化学メーカーの実践から相互に学び合いながら、異分野連携による新たな価値創出の可能性を探っていきます。

村島 弘一郎 氏

キリンホールディングス株式会社
執行役員
ヘルスサイエンス研究所
所長
村島 弘一郎 氏

AI×創薬の最前線
データ統合と人材育成が鍵となる

 私の部門ではゲノム情報や臨床データをAI/機械学習で統合解析し、創薬仮説の創出から臨床試験設計、育薬戦略まで幅広く支援しています。こうした取り組みを進める中で、AI技術の進化の速さへの対応と、AIと創薬の両方を深く理解する人材の育成が大きな課題となっています。

 現在は、若手研究者が実際のプロジェクトを通じて経験を積める環境づくりが急務となっていることから、5月のセミナーでは、まずはAIが研究開発のあり方そのものを変えつつあるという認識を共有したいと考えています。AIによるプログラミング支援の急進展は、創薬ワークフローにも波及すると見ており、異業種の先進事例から学びながら、新たな研究開発の姿とパートナーシップを共に模索していきます。

赤田 圭史 氏

エーザイ株式会社
DHBL Human Biology Creation Hub
Integrated Data Science
Human Biology Data Ecosystem部
主幹研究員
赤田 圭史 氏

素材産業におけるAI活用の現実と課題
データ・人材・組織の壁

 セミナーではデジタルサイエンスラボの設立背景や保有技術・HPC活用事例をご紹介します。また、化学品・素材メーカーならではのAI活用の現実として、医薬品向けツールの転用の難しさや、社内のデータリテラシー、部門間のデータ共有の壁、費用対効果重視するがゆえの投資判断の難しさ、MI解析における試行錯誤など、現場で直面してきた課題を率直にお話しする予定です。成功事例のみならず失敗事例も共有し、研究開発DXを推進する上で鍵となる「データセット・スキルセット・マインドセット」の重要性を改めて提言します。

 さらに将来展望として、生成AIや自動自律実験が当たり前となるデータドリブン研究開発の到来を見据え、日本企業が組織的壁をどのように乗り越え、自社の強みを磨いていくべきかについて考えます。異業種参加者との本音の意見交換を通じ、日本の産業界を共に盛り上げたいという強い思いが届けば幸いです。

岩壁 幸市 氏

三井化学株式会社
デジタルサイエンスラボ
ラボ長
岩壁 幸市 氏

From trust to impact: putting agentic AI to work in R&D(同時通訳あり)

 本セッションでは、Elsevier Life Sciences Solutions, Mirit Eldorより、R&D領域でAIの導入が急速に進む一方、その効果が不均一で可視化しにくい理由、そしてエージェンティックAIが高付加価値の意思決定支援を実現する実践的アプローチとして注目されている背景について解説します。多くのR&Dに関する課題は、複数の専門領域やエビデンスを横断的に必要とします。

 しかし現在のツールは、
・科学的な厳密さに欠ける広範なテクノロジー主導型ソリューション
・深い知見は得られるものの統合的な視点を提供しない科学ツール

のいずれかを選ばざるを得ない状況を生み出しています。

・R&D全分野においてエージェンティックAIが果たすべき役割
・信頼性と信用を担保するための「譲れない要件」
・多様な事例に対応するアクセスモデル

 AIを“本当に使えるもの”にするために必要な条件について、より実践的な理解を促し単に回答を速くすることではなく、R&Dの重要な意思決定の瞬間において、エビデンスに裏付けられた防御可能な推論による、より価値の高い知見を提供することに焦点をあてます。

Mirit Eldor 氏

Elsevier, Life Sciences Solutions, Managing Director
Mirit Eldor 氏

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