アジャイル開発を
正しく実践すべき理由とは
先々の予測がますます困難になりつつある中、市場環境やユーザーニーズの変化に即応するために、アジャイル開発を取り入れている企業も多いだろう。しかしアジャイル開発も、決して魔法の杖というわけではない。その真価を発揮させるためには、正しく実践することが重要だ(図1)。
図1 スクラムを正しく実践できている状態

スクラムの各イベントと役割が適切に機能し、プロダクトバックログの整理や完成の定義(DoD)の共有、継続的な改善が循環している状態。こうした正しい実践によって、価値あるプロダクトを顧客へタイムリーに届けられるチームが実現する
「アジャイル開発の目的は、価値あるプロダクトを顧客へタイムリーに届ける点にあります。また、その価値自体も移り変わっていくので、変化に応じて素早くかじを切り換えることも必要です。そのためにスクラムなどのフレームワークがありますが、これを実践するのは意外と難しい。例えばスクラムには『透明性』『検査』『適応』の3つの概念がありますが、きちんとできていない開発現場が少なくありません」と指摘するのはNTTデータ先端技術の実川 康則氏だ。

株式会社NTTデータ先端技術
デジタルビジネス事業本部
テクノロジー&ソリューション事業部
アジャイルインキュベーション担当
担当課長
実川 康則氏
スクラムではプロダクトバックログの作成やスプリントプランニングなど様々なイベントが定義されるが、これが本来の目的通りに実施されていない場合も多い。例えばデイリースクラムが、単なる進捗確認の場になっているといった具合だ。
「そのほかにも、個々のバックログがプロダクトにつながる道筋が見えず『やることリスト』化してしまう、あるいは「『DoR』や『DoD』の定義が曖昧なまま進めてしまい後々に問題化するなど、スクラムに対する理解不足から生じる課題もあります。これでは開発速度が上がるどころか、価値の低いプロダクトが量産される恐れもあります」と実川氏は警鐘を鳴らす。
このような状況の背景には、そもそもアジャイルがうまくできていない、もしくはアジャイルである必要もないのにアジャイルを選択しているといった理由が考えられる。悪くすると、アジャイル自体が目的化してしまったり、チーム内での役割分担や責任の所在が不明確なまま開発が進むような事態に陥りかねない。こうしたことを避けるためにも、アジャイル開発を正しく実践することが重要なのである。
長年にわたり蓄積した知見を生かし
最適な支援を提供
こうした中、NTTデータ先端技術は、アジャイル開発の価値を最大化するソリューション「INTELLILINK(インテリリンク)Agile」を提供。人材育成からプロセス整備、環境構築に至るまで、フルスタックでの支援を提供している。
「当社では、ウォーターフォール開発が全盛だった2006年頃からアジャイル開発の実践に着手。その裏側には、この開発手法が今後主流になるだろうとの強い思いがありました。それ以来、20年間にわたって普及活動を進めてきました」と同社の梶原 直人氏は話す。

株式会社NTTデータ先端技術
デジタルビジネス事業本部
テクノロジー&ソリューション事業部
アジャイルインキュベーション担当
担当部長
梶原 直人氏
特に大きな強みとなっているのが、長年にわたり蓄積した豊富な経験・ノウハウと強力な支援体制だ。同社では、これまでに数百社・数百件レベルのアジャイル開発プロジェクトを手掛けているほか、約150人のエキスパートで構成されるアジャイル開発専門部隊も組織している。「アジャイル開発の本質を理解できているからこそ、様々な変化への打ち手もご用意できます」と梶原氏は続ける。
実際に顧客を支援する際の方法についても、個々の事情に応じて多様なアプローチを取れるという。コーチングや研修の実施はもちろん、スクラムマスターなどの役割を担う人材や環境の提供も可能だ。
これまでの事例の中には、ウォーターフォールで進めてきた案件を設計書ごと巻き取り、アジャイルでやり直したケースもある。ちなみにこの事例では、プロジェクト開始からかなりの年月が経過していたにも関わらず、完成の目途が立たず先々の進捗にも不安を残すような状況だったという。
「そこで、今までの取り組みを一度白紙に戻し、基盤からアプリケーション、プロジェクトのライフサイクルまで、すべてアジャイルで作り直しました。プロダクトオーナーはお客様に務めていただきましたが、そのほかは当社のメンバーがチームでご支援しています。以前は技術的な負債なども抱えていましたが、アジャイル転換後は透明性・検査・適応の3要素をきちんと満たせるようになりました」と実川氏は話す。
また、これとは別に、アジャイル開発そのものを立て直した例も多いという。梶原氏は「アジャイル開発がうまく進まない際によくあるのが、IT側の方々だけが頑張っているケースです。ビジネスのアジリティーを上げるのが本来の目的なのに、肝心のビジネス側の方々にはあまりその意識がない。このような場合には、ビジネス側の方々にもアジャイルの価値をご理解いただき、前向きに取り組みを進められるよう動機付けを行っています」と話す。
同様にIT部門内においても、これと同じようなギャップが生じるケースがある。例えば開発トップはアジャイル開発を導入したいのに現場は乗り気でない、あるいは現場はアジャイル開発でやりたいのに開発トップの理解が得られないといった具合だ。「当社には数々の経験がありますので、こうしたITとビジネス、トップダウンとボトムアップのギャップを埋めるご支援も提供できます」と梶原氏は話す。
3つのポイントで
「AI×アジャイル」を効果的に推進
近年では、生成AIの進化によって、エージェント型AIを活用した仕様駆動開発などの新たな技術も生まれている。こうしたものを効果的に活用する上でも、アジャイルの正しい実践が重要だ。
「仕様駆動開発の最大のメリットは、これまで最も工数が掛かっていた製造の部分を短縮できる点にあります。しかし、これで価値提供のスピードが上がるかというと、そうではありません。速く製造できるようになった分だけ選択肢が増えるため、今度は仮説検証や意思決定の重要性が増します。これをきちんと行うためにも、アジャイルの正しい実践が必要なのです」と実川氏は話す。
また、梶原氏も「加えて、AI/生成AIの世界は進化のスピードが非常に速い。今使っている開発手法やツールが、数カ月後や1年後にどうなっているかも分かりません。従って、こうしたものについても頻繁に見直していかなくてはなりません」と続ける。
そこで、今後の開発においてポイントとなってくるのが、「スクラムの壁の破壊」「バリューストリームの意識」「技術の進化に合わせたチームの成長」の3点だ。
「スクラムのやり方はこうだからと頭から型にはめてしまうと、どこかで活動がいびつになってきます。そうならないよう、型をうまく壊していくことが肝心です。例えば通常は1~4週間でスプリントを回しますが、そういうものだと思い込むことが壁になりかねません。リリースサイクルは別にデイリーや週次であってもよいわけです」と実川氏は話す。
また、バリューストリーム(製品やサービスの価値を顧客に届けるまでの一連の流れ)の意識については、前述の仕様駆動開発の話とつながるところだ。いくら全体の一部分だけが速くなっても、それ自体が価値に直結するわけではない。開発が始まってからユーザーに価値が届くまでの流れを見た上で、真のボトルネックを解消していくことが重要だ。
さらに、チームの成長では、AI/生成AIに関するスキルやスクラムの壁を打ち破る力、技術の進化に合わせてやり方を変えていく柔軟性が求められる。これらをいかに磨き上げていくかが、アジャイル開発を成功に導くカギとなる(図2)。
図2 仕様駆動開発におけるデリバリーリードタイム短縮に向けたアプローチ

仕様駆動開発によって生産性が向上しても、そのほかのプロセスがボトルネックになったのではスピーディーな価値提供は望めない。NTTデータ先端技術では、スクラムの型にはまらない柔軟な発想とチーム力の底上げで、こうした課題を解消する
そこで、改めて注目されるのが、NTTデータ先端技術の強みである「フルスタック」だ。これまで述べてきた通り、アジャイル開発の正しい実践においては、様々な要素をクロスファンクションで組み合わせていく必要がある。その点、同社では、人材・プロセス・技術のいずれの領域においても豊富な経験とケイパビリティーを有している。もちろんAIのような新技術についても、いち早く検証や実装に取り組んでいる。AI×アジャイルによる価値創出を目指す企業は、一度同社に相談してみるとよいだろう。
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テクノロジー&ソリューション事業部
アジャイルインキュベーション担当
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