JIMTOFは、マシニング・センタのような大型の工作機械をはじめ、放電加工機、レーザー加工機、鍛圧機械、工作機器、機械工具、研削砥石、歯車装置、油圧機器、測定機器、試験機器、アディティブ・マニュファクチャリング/3Dプリンティング装置などを中心にした展示会だ。正式名称は「日本国際工作機械見本市」だが、一般には英語表記のJapan International Machine Tool Fairを略したJIMTOF(ジムトフ)の名前で知られている。
西暦の偶数年の秋に隔年で開催されるJIMTOFは、アメリカの国際製造技術展(IMTS)、ドイツとイタリアで交互に開催される国際金属加工見本市(EMO)、および、中国の中国国際工作機械展覧会(CIMT)と並んで工作機械の世界的な展示会のひとつに数えられる大規模な見本市で、1962年に第1回が開催されて以来、60年以上の歴史がある。
2024年11月に開催されたJIMTOF2024には、重複カウントなしで12万9千人、延べでは16万2千人が来場し、活発な情報収集や商談が行われた。今年のJIMTOF2026にも同程度の来場が見込まれている。
入場料は、公式ウェブサイトから事前に登録した場合は1,000円(税込み)、事前登録なしで当日会場で登録した場合は3,000円(同)である。ただし、出展企業や販社・代理店などの招待券があれば無料で入場できる。また、学生も無料だ。
なお、東京ビッグサイトの東4ホールから東6ホールは大規模改修工事により休館しているため、展示に使える面積(小間数)が制限され、出展社数は前回の1,268社に対してJIMTOF2026では944社になる予定である。とはいえ会場が広いことに変わりはなく、歩きやすい靴や服装での来場をおすすめしたい。
※写真は前回JIMTOF2024のものです。(主催者提供)
工作機械はAI活用や 自動化・自律化機能に注目
JIMTOF2026の各ブースには大型の工作機械から小さな工具まで、新製品や主力製品まで幅広いソリューションが展示される。立形・横形・門形のマシニング・センタ、多軸加工機、複合加工機、レーザー加工機、放電加工機、CNC旋盤、ターニング・センタ、研削盤、金属3Dプリンター(アディティブ・マニュファクチャリング装置)のほか、鍛圧機械、工作機器、切削工具・超硬工具・工具材料、研削砥石、歯車・歯車装置、油圧・空気圧・水圧機器、直動案内機器、ニードルベアリング、精密測定機器、光学測定機器、試験機器、制御装置および関連ソフトウェア(CAD、CAM等)なども展示される。
これまで工作機械は高精度化や高速化を目指して進化してきたが、近年は自動化や自律化が新たな価値として提案されている。たとえば、ワークの搬送や着脱の自動化、パレット・ハンドリング・システムや搬送ロボット(AGV/AMR)との連携、工具の寿命管理、加工後の自動測定、AIを使った異常検知・予知保全、AIによる加工パラメータの最適化などがキーワードとして挙げられるだろう。夜間や休日の無人運転の安定化も重要なポイントといえる。
省エネもトレンドのひとつだ。単なる環境対策(CO2排出削減)にとどまらず電力料金に直結するため、待機時電力の削減、各部のモーターやポンプの高効率化、消費エネルギーの見える化機能なども押さえておきたい。
加えて装置の省スペース性もポイントになるだろう。搬送ロボットや協働ロボットの導入を考えると、従来の間締めのように装置を密に並べるのではなく、ある程度の距離やスペースを確保して設置することが望ましいからだ。カタログからはなかなか分かりづらい実機の大きさを確認できるいい機会といえるだろう。
また、女性の現場進出が増えていることを考慮し、小柄な作業者から見た操作性や作業性も確認しておきたい。
積層造形の最先端に 触れられる企画ゾーン
市場の伸びが著しいアディティブ・マニュファクチャリング(3Dプリンティング)に関しては、南4ホールに「アディティブ・マニュファクチャリング・ゾーン(AM ZONE)」が設けられ、積層造形技術を活用したワーク展示が行われる。また、ドイツのフランクフルトで毎年開催されている世界最大級のアディティブ・マニュファクチャリング展示会「Formnext」とのコラボレーションが発表されていて、Formnextの主催者ほかが登壇するセミナーが南4ホール内のステージで開催される。
アディティブ・マニュファクチャリングのメリットとしては、製作や保管に費用のかかる金型を必要としない、一点や小ロット生産に適する、鋳造や射出成型では難しい中空構造や曲面表現にも対応できる、既存の金型の補修を含め金属部品への肉盛りが可能、異種金属の積層もできる、などが挙げられる。
当初は試作部品向けというイメージが強かったが、造形方式の多様化、造形精度の向上、樹脂素材や金属粉末の種類の増加などが進み、積層条件の最適化などによる品質管理、造形後の熱処理による応力除去や強度向上、および表面研磨などを適切に行えば、最終製品に十分に組み込めるだけの品質を担保できるとの認識が広がっていて、実際に製品採用も増えている。
JIMTOF2026には数社が3Dプリンターの出展を予定している。AM ZONEと併せて該当各社のブースも訪れていただきたい。
講演では市場動向や 先端技術を紹介
次に講演会およびセミナーを紹介しよう。10月26日(月)13:00からの基調講演では、株式会社ナカニシ自動車産業リサーチで代表アナリストを務める中西孝樹氏が「変化する世界自動車産業の構図 ―日本OEMと関連産業へのインプリケーション」と題して、自動車産業の競争構図が変化する中で日本の自動車メーカーの勝ち筋について講演する。
特別講演は2本だ。10月27日(火)13:00からは、「自動車業界における3DAモデルを通したデジタル活用 ―開発と製造におけるスピードアップと日本品質の両立―」と題し、3Dモデルに寸法や公差などの情報を付加した3DAモデルの活用をテーマに、関係者によるディスカッションが行われる。ファシリテータは株式会社ミツトヨ 顧問の山本隆邦氏、登壇者は一般社団法人日本自動車工業会の小林久紀氏、トヨタ自動車株式会社の袴田章義氏、本田技研工業株式会社の増﨑正彦氏、および、株式会社エリジオンの相馬淳人氏の4名である。
もうひとつの特別講演は同日15:00から開催される。米Honda Aircraft Companyで2022年まで社長兼CEOを務めた藤野道格氏が、「ホンダジェットの開発と事業化への道」と題して、日本の組織の中で生み出した革新的な技術を世界市場で事業として成功させる哲学や戦略について講演する。
南4ホールではセミナーが開催される。学生向けとして企画されているが一般も聴講できる。
10月30日(金)13:00からは「未来をつくるWomen in STEM」と題して、航空宇宙業界で活躍する女性研究者やエンジニアが悩みややりがいを語る。登壇者は、宇宙航空研究開発機構 大塚聡子氏、宇宙航空研究開発機構 上嶋博子氏、宇宙航空研究開発機構 矢野幸子氏、NTT株式会社 髙橋円氏、株式会社Kanatta 井口恵氏、川崎重工業株式会社 松下悠里氏、三菱電機株式会社 小西麻緒氏の7名である。
同日15:00からは、数学や物理を扱うYouTuberのヨビノリたくみ氏による「あなたの話が伝わらない10の理由」と題したセミナーが開催される。
翌31日(土)13:00からは産業ジャーナリストの那須直美氏が「未来を動かす機械ビジネスの醍醐味」と題して、これまでの取材経験をもとに、グローバル市場に挑戦する企業の姿や未来を動かす仕事の醍醐味を紹介する。
以上の講演やセミナーを聴講するにはJIMTOFの公式サイトから事前に申し込んでおく必要がある。ただし、席に余裕がある場合は当日の申し込みも可能だ。
出展社ワークショップは 40本以上
主催者企画として東展示棟ガレリアで行われるのが「“あらゆる現場で働くロボットの未来図”日の丸ロボティクスの進化を支える工作機械」である。国内ロボット・メーカーの協力を得ながらヒューマノイド型ロボットの実現に必要な機械加工技術や量産化の壁を取り上げる。
また、南4ホールでは、「“ものづくりNEXT STAGE”きさげロボットと匠との協業」と題して、きさげロボットを交えながら来場者とともに工作機械づくりの未来を模索する催しが行われる。
各社が最先端の技術やソリューションを紹介するのがワークショップだ。会議棟6Fと南4ホールを会場に延べ40本以上が予定されている。聴講するにはそれぞれの出展企業に問い合わせるかウェブから申し込む。
また、工作機械業界やものづくりに興味のある学生向けに、ジグフライス盤を使った工作体験、出展メーカーと学生との交流会およびトップセミナー、ツアー形式によるブース案内といった企画も予定されている。
以上、JIMTOF2026の概要を紹介した。ベテランの技術の伝承や新卒を含む若手人材の確保は製造業全体の大きな課題であり、工作機械の活用を通じて加工技術の定量化や省人化を進め、こうした難題に挑む企業も増えている。さまざまなソリューションが一望できるJIMTOF2026を課題解決や設備投資計画の一助にしていただきたい。