NamiTech Japan 設立1周年・新製品発表イベント

人手不足時代のコンタクトセンター運営
AIエージェント活用で課題を乗り越える

NamiTech Japan 設立1周年・新製品発表イベント

ベトナム生まれのAIベンチャー、ナミテクノロジーが日本に進出して1年が経過した。日本語の音声を扱う技術は高く評価されており、コンタクトセンターを運営するBPO事業者をはじめ多くの企業が同社の技術を活用している。いま、日本の人材不足は深刻で、採用に苦労しているコンタクトセンターは少なくない。こうした中で、AIへの期待はますます高まっている。AIにより通話内容がデジタル化され、様々な企業システムとの連携が容易になる。業務効率向上のみならず、サービス品質を高めるとともに、事業成長のための気づきを得ることもできるだろう。では、先進企業はこうした変化をどう受け止め、どのような取り組みを進めているのか。「NamiTech Japan 設立1周年・新製品発表イベント」で語られた現場の声から探る。

AI活用は実証実験から実運用へ。
現場は何を求めているのか

 幅広い産業分野で人材不足が続いている。一方では、AIをはじめとするテクノロジーの進化が加速している。こうした背景もあって、コンタクトセンターにおけるAI活用が本格化している。コンタクトセンターは、いま大きな変化の中にある。音声認識精度の向上は大きな要因だが、それだけではない。業務にAIを組み込む上での、様々な懸念を払拭する仕組みが整ってきたことも大きい。

「人材採用が難しくなる中で、AIへの期待は大きい。私たちは様々な模索を重ねながら、徐々にAIを業務に取り入れています」と語るのは、コンタクトセンター向けのアウトソーシングサービスなどを展開するベルシステム24 執行役員の加藤寛氏である。

 同様の事業を手掛けるSHIFT PLUS代表取締役の綿貫健吾氏は、最近の市場の変化を実感しているという。

「以前はAIのリスクを心配する声が多かったのですが、この1年ほどでお客様の空気感が変わりました。技術的な要因が大きいことは間違いありませんが、人々がスマホなどを用いてAIと対話するのが当たり前になったこともあるでしょう」

 ベルシステム24とSHIFT PLUSは、ともにナミテクノロジーのAI音声認識技術をコンタクトセンターに導入している。

加藤 寛 氏

株式会社ベルシステム24
執行役員
加藤 寛

綿貫 健吾 氏

株式会社SHIFT PLUS
代表取締役
綿貫 健吾

 両社の発言からは、AI活用に対する期待が高まる一方で、実運用の現場では「精度」や「安全性」が導入判断の重要なポイントになっていることがうかがえる。ナミテクノロジーはベトナム発のAIベンチャーで、約1年前に日本に進出。日本市場を重視し、日本語対応の技術を進化させてきた。特に高精度の音声認識や滑らかな音声合成技術を強みとしている。

 AI導入に積極的なユーザー企業も、単なる効率化ではなく、業務品質向上との両立を重視している。その代表例が、2026年初めにナミテクノロジーの技術を導入した東邦ガスだ。

「近年、当社は中核のガス事業に加えて、新規事業にも注力しています。これに伴い、お客様からの問い合わせが増加。ただ、オペレーターを増員するだけでは生産性低下につながる可能性もあります。生産性を高めつつ、お客様対応の質を高めるために、ナミテクノロジーの技術を導入しました」と東邦ガス イノベーション推進本部 DX推進部長の長谷川順一氏は説明する。長谷川氏はこう続ける。

「ソリューション選定で最も重視したのはセキュリティです。お客様の情報をAIが学習しない、個人情報が漏えいしないことが重要。現場での円滑な活用を考えると、高い認識精度も必須の要素です」

 精度が低ければ、AIによる会話の文字起こしや要約の質は下がる。オペレーターによる修正が必要になる場合も多く、業務効率の低下につながる。綿貫氏は「音声認識はシステムに入力するデータを生成します。そのデータの質は後工程、例えば顧客ニーズの分析などにも影響するので極めて重要。音声認識精度はナミテクノロジーの大きな強みだと思います」と話す。

長谷川 順一 氏

東邦ガス株式会社
イノベーション推進本部 DX推進部長
長谷川 順一

進化するコンタクトセンターを
基盤として支える

 こうした企業の声に応えるためにナミテクノロジーが提供するのが、統合AIボイスエージェント基盤「CHI Platform」と各種AIエージェント群である。パネルディスカッションで挙がった課題を踏まえながら、その特徴を見ていこう。

 ナミテクノロジーが提供するエンタープライズ向け統合AIボイスエージェントプラットフォーム「CHI Platform」は、すでに多くの日本企業で活用されている。コンタクトセンターを運営するBPO事業者、一般のユーザー企業など様々だ。

 CHI Platformは3つの基盤で構成される。①音声認識や声紋認証、ノイズ耐性技術などを含む音声AI基盤、②自動学習や自動評価、人によるフィードバック、ガードレールなどの機能を備えたAI運用基盤、③PBXやCRM、CTIなどのシステム、端末、ワークフローとの連携を可能にするエンタープライズインテグレーションハブ。コンタクトセンターでのやり取りを企業のナレッジとして活用するための基盤が、CHI Platformである。

「コンタクトセンターでの会話をデジタル化するケースは多いのですが、それを全社で活用する企業は少ないのではないか。多くの企業は電話以外にもチャットや店舗など、様々なチャネルを通じて消費者との接点を運営しています。マルチチャンネルから収集する情報を統合すれば、あらゆるニーズを把握し商品・サービスの改善につながるでしょう。周辺システムと容易に連携するCHI Platformは、そのための基盤になります」と、ナミテクノロジー・ジャパン ビジネスデベロップメントディレクターの大西真太郎氏はいう。

 CHI Platformは、コンタクトセンターを支える機能をバランスよく備えている。

「音声認識の精度はもちろんですが、ビジネス活用においては安全性やセキュリティ、最適コストなどの要素も重要です。加えて、CHI Platformには、企業が活用を続ける中でAIモデルを育てる仕組みもあります」(大西氏)

大西 真太 氏

ナミテクノロジー・ジャパン株式会社
ビジネスデベロップメントディレクター
大西 真太郎

 ナミテクノロジーの技術、ソリューションの進化は加速している。その1つの方向性は自動化、自律化への取り組みだ。「Contact Center AI Agent Suite」は、顧客対応オペレーションの継続的な進化を支えるソリューション。ナミテクノロジー・ジャパン シニアセールスディレクターのグエン・クイン氏はこう説明する。

「自律型コンタクトセンターを目指す企業は多いと思います。ただ、そのためにはいくつかのステップを踏む必要があります。まずは会話の理解、その上で自動化、さらに自律化へと進むのです。理解の段階を疎かにすれば、自動化や自律化への取り組みは危ういものになるでしょう。例えば、全通話を同じ基準で評価する(評価者によるバラツキをなくす)、お客様が相談事などを繰り返す前に、AIエージェントが適切な回答を提示する、反復問い合わせの根本原因を早期に把握する。これらの機能が不十分であれば、十分な理解に達したとはいえません」

 初期段階では、人主導でAIエージェントの理解を深める。一定レベルに達した後は、Human in the Loop環境での自動化、さらにAIが主導し人が監督する自律化のフェーズに入る。このようなコンタクトセンターの進化プロセスを、Contact Center AI Agent Suiteは強力にサポートする。

「コンタクトセンターには、ときにシステムが対応できない難しい問い合わせが寄せられます。そのときは人が関与して解決に導く。そのやり取りは次回からナレッジとして活用され、自動化のレベルが一段上がります。AIの提案力と承認済みナレッジに依拠する厳格な統制を両立させることで、コンタクトセンターの信頼性と生産性を高める。それが、ナミテクノロジーの考え方です」とクイン氏。進化するコンタクトセンターは業務の生産性を高めるとともに、サービス品質と顧客満足度の向上に寄与する。

グエン・クイン 氏

ナミテクノロジー・ジャパン株式会社
シニアセールスディレクター
グエン・クイン

AIエージェントの
集合体としての「NamiGen 2.0」

 先ごろアップグレードされた対話型音声AIエージェント「NamiGen 2.0」も、ナミテクノロジーの技術力を示すソリューションの1つである。

「音声オペレーションを構築、テスト、実行、改善するためのエージェント群を1つのガバナンス基盤で提供する。それがNamiGen 2.0。単一の音声ボットは市場に多く存在しますが、これはボットを構築し、音声オペレーションを継続的に改善するための仕組みです」とNamiGen プロダクトマネージャーのホアン・アン氏は語る。エージェント群の中からいくつかを紹介しよう。

ホアン・アン氏

ナミテクノロジー・ジャパン株式会社
NamiGen プロダクトマネージャー
ホアン・アン

 オンボーディングエージェントは導入時、業務ニーズを記述するだけで音声エージェントを構築することができる。最初の音声エージェントは数分で稼働し始め、数週間で本番稼働に導くことができる。

 システム公開前に自動でテストを行うエバリュエーションエージェントの役割も大きい。従来は人が数週間をかけてテストしていた工程を、数分間で実行。サービス品質を担保する仕組みである。

 オートラーニングエージェントは、解決済み通話とエスカレーション通話の中から、うまく対応できなかった場合のギャップを検知し、改善を促す。ナレッジを更新した後にはテストと、人による承認を経てシステムに実装される。

 これらのエージェントが集合体として、コンタクトセンターの進化を促す。AIエージェントの業務活用が広がりつつある中で、ユーザー側の期待は大きい。

「多くの方々から、『コンタクトセンターがつながりにくい』という声をよく聞きます。企業にとって大きな課題です。AIエージェントは完璧とはいえませんが、接続性という観点では圧倒的な優位性があります」と綿貫氏はいう。また、「人であれば、会話の中にちょっとしたおもてなしの言葉をはさむことができるでしょう。AIがそれに近づくことを期待しています」と語るのは長谷川氏である。加藤氏は「業務領域によって、AIに任せられるところ、まだ十分とはいえないところがある。ただ、その領域は徐々に拡大していくでしょう」と話す。

 AIエージェントはいま、着実にコンタクトセンターに浸透しつつある。人手不足や応対品質の向上といった課題への対応が求められる中、その活用は実証段階から実運用のフェーズへと移り始めた。ナミテクノロジーは、日本市場において企業とAIが協働する次世代コンタクトセンターの実現を支援していく考えだ。

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